Apple創業者スティーブ・ジョブズの死去。私の人生を変えたアップル | スマホアプリ開発記

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本日、MacやiPodやiPhoneという偉大な製品を発明したアップルの創業者スティーブ・ジョブズがこの世を去るという忘れられない一日となった。

私は今やアップルから新しい製品が出ればすぐ買うようなアップル愛用者であるが、昔からのアップル愛用者と比べると、私のアップル歴はあまり長くない。子供の頃、初めて買ってもらったパソコンのOSはMS-DOS(マイクロソフト製のCUIベースのOS)だった。その後、Windows3.1、Windows95と発売日に購入してはインストールして愛用するというように私の学生時代はWindowsと共にあったので、この頃のMacintoshにはほとんど触れていない。

今になってみれば、のWindows隆盛の時代は、スティーブ・ジョブズがアップル社にいなかったからこそ訪れた時代なのではと思ってしまう。スティーブ・ジョブズはアップル社を創業していながら1985年にアップル社を追い出されてしまう。その後、アップルにとっては経営危機まで囁かれる暗黒の時代、マイクロソフトにとっては倍々ゲームを繰り返す黄金の時代がやってくるわけだ。

しかし、2000年代に入り、ジョブズがアップルに復帰した後に発表されたiPodに度肝を抜かれる。

当時、CDからMP3に変換するソフトが充実してきたことやNapster等の音楽共有サービスの流行により、世の中には音楽をMP3というデータでPCに保存する文化が根付き出していた。それに伴ってMP3ポータブルプレイヤーが各社から出ていたのであるが、その頃に出ていた製品はどれも「軽い・小さい」を売りにしていた。数十~数百MB程度のメモリしかないものの、CDプレイヤーやMDプレイヤーとの差別化をはかるためにMP3プレイヤーの特長をメディアいらずで軽いというところに置いていたのだ。

しかし、アップルが送り出したiPodのセールストークは「何万曲もの音楽を一台で」だった。当時はまだパソコンに搭載されているハードディスクの容量ですら数十GBしかなかった頃に、携帯音楽プレイヤーだけで5GB~10GBという容量を誇ったのだ。しかし、中にハードディスクを積んでるので無骨だったし持ち歩くにも少し重かった。

それでも、iPodの登場には衝撃を受けた。発売と同時に購入した。iPodを触ってみると、とにかく使いやすいし、洗練されていた。以降、私はiPodの新製品が出るごとにそれを買うようになった。

その後、iPodは容量をどんどん増やしていき、他社もiPodの成功を見るやハードディスクを搭載し、「大容量」を売りにするようになっていった。

携帯音楽プレイヤーがどんどん無骨に高機能・大容量になって行く頃、アップルはiPod miniを発表した。iPodが発売される前の音楽プレイヤーがどれもそうだった容量は少ないながらも「軽い・小さい」を売りにした製品だ。しかし、これが大ヒットとなる。そのヒットを見るや他社はまたiPodを真似る。完全にアップルが市場のリーダーである。

そして、今は携帯電話の市場でも同じことが起こっている。

なぜ、これほどのヒットをアップルは続けられるのか?なぜ、常に創造的で革新的と言われるのか?それは、スティーブ・ジョブズが製品の開発にも深く関わってくるからと言われる。彼は実際に製品を隅々まで触り、ちょっとした操作感やデザインにも気に入らないところがあれば徹底的に口を出してくるというのだ。現場にしてみればたまったものではないだろうが、結果的には最高のユーザー体験を提供する最高の製品が出来上がるわけだ。そんな話は枚挙にいとまがない。

私は一年半前に会社を辞め、既に友人が立ち上げていた会社にジョインした。会社に入るなり、iPhoneのアプリを主戦場にしたビジネスを立ち上げた。一年半経って、今では会社の売上げの大部分を占めるようになった(会社的には特定のプラットフォームに依存した状態は早く脱却しなければいけないのだが・・・)。

Appleのエコシステムは非常によくできている。iPhoneの便利なアプリのためにiPhoneを買う。iPhoneを持っているとiTunesで音楽を落とすようになる。段々Macが欲しくなる。気づいたら回りが全てアップル製品に囲まれるのだ。かく言う私がそうだ。Windows愛用者だった私が、今や仕事はMac OSでないとはかどらなくなってしまった。iPhoneがなければ、Windowsと使い分けることはあったかもしれないがMacに依存するようなことにはならなかっただろう。

日本でこれが出来るはずの企業がある。ソニーだ。サービスもハードもソフトも持っている。ゲーム機もある。世界的にブランドも知られている。なのに、今やアップルには全くかなわない。PS3を買った人がWalkmanを買おうと思わないし、VAIOを買おうと思わない。アップルとソニーの違いが何かというと、スティーブ・ジョブズがいるかいないかだろう。

次に発売されるiPhone 4Sの4Sは「for Steve」なのではないかという話が広がっている。昨日のiPhone 4S発表イベントを平日深夜にも関わらずリアルタイムで見ていたのだが、疑問に思った。なぜこれだけのスペックを詰め込みながら「iPhone 5」という名称にしなかったのだろう?事前予想されていたiPhone 5のハードウェアスペックと変わらないながらも、iPhone 4と同じ外観にし、iPhone 4Sという名前にした。iPhone 5発売という期待を裏切ることになることはアップル社自身が一番わかっていたのではないか。事実、市場は落胆し株価は下がった。

しかし、本当はiPhone 5を発売する予定だったのだが、スティーブ・ジョブズが最後に作ったiPhone 4という製品に敬意を表すため(スティーブ・ジョブズはiPhone 4のデザインに非常にこだわったと言われている)、あえて4Sというネーミングにし、あえてiPhone 4と同じ外観にiPhone 5相当の部品を詰め込んだのではないか。

美談かもしれないが、スティーブ・ジョブズのアップル引退が8月24日、そこからiPhone 5の準備を進めていたアップル社が方針転換したため、ほとんどの報道機関がiPhone 5発売予想を外したのではないか。

そう思えてならない。

私の人生を、そして世の中を変えた根源をたどって行くと、どうしても一人の人間にたどり着く。

この世は偉大な人物を失ってしまった。

本当に心からのご冥福をお祈りします。