ちはやふる5


泣くな おれはまだ泣いていいほど懸けてない
"悔しい"だけでいい


マンガ大賞2009を受賞したとか。ずっと応援している作品なので嬉しいですが、
個人的には常に80点位で安定しているという印象なので大賞になるとは吃驚。
とはいえ、面白いマンガである事は確かです。

相変わらず端役の立て方が良く、チームメイトが空気になっていない。
緊張で張り詰めた大会の後の、幕間の話で息を抜きながらも
奏と机君の対話の中でテーマである百人一首の本質を語らせつつ
それぞれのジレンマとその解消を生み出している辺りが巧さ。

巻末の作者コメントにも染み入る物があります。
末次先生にはどうか漫画の無限に挑み続けて欲しい。

しかし、クイーンはもっと完璧超人っぽいのを想像していたら意外と
お茶目でした。敵無き境地で何の為に戦ってるんでしょうね。


孤高の人3~6


「手前の意見を口にできねー奴はこの世にいねぇのと一緒なんだよ!!!」

凄い。主人公が事件を経て高校生から社会人になるのと同時に
作品自体も一気に化けたなあという印象です。

ド迫力且つ緻密な画力と勢いはそのままに、最初と比べて
意外な展開、社会的な柵との闘争、心象を暗喩する描写など
一気に冷厳な話になってきました。扱われるギミックも黒い物へ。
台詞やモノローグでなく、絵でここまで感情が叩き付けられているのは凄い。

3巻ラストの大いなる悲劇と比類なき荘厳な美しさ、その真逆の事象が
矛盾する事無く成立している様態がまさに山という名の孤高の境地。
心象では「孤高」よりも「孤独」が強く描かれている印象ですが、
テーマにどんどん斬り込んで来て、痛みすら感じます。
孤高に達する事は決してハッピーエンドとは言い切れないとしても。
作者コメントにもその辺に対する静かな熱さが現れてますね。

そして、K2東壁という最大目標が掲げられている事で
色々な要素がありながらも、ブレずに話を追っていけます。

今の所、間違いなく傑作。