現在、紅葉真っ盛りの吉野山でこれを書いています。
 
 
 
 
 
夜行で来て夜行で帰る忙しない帰省なのが残念ですが、それでも今年もこの紅葉を生で見られただけで生の幸いを感じます。
 
 
 
 
 高城山展望台、そして吉水神社は最盛の紅葉が見られました。
 
 
 
西行庵はあと少しという所でしたが、これはこれですばら!
 
 
こんな感じで20巻の表紙になってもおかしくないなと思います。
 
 
秋のこの紅葉シーズンは、吉野山の二番目の繁忙期でもあります。
桜のシーズンとは比べるべくもないですが、それでも平日ながらいらしている方は沢山。
西行庵付近でもよくすれ違いました。
 
人のいない状態で紅葉を撮りたい場合は、一泊して早朝に撮りに行くか、それが難しければなるべく早めの空いてる時間に行くのをお薦めします。
 
 
 
 
そして、繁忙期の楽しみと言えば普段は開いていない店も開いていること、そして特別なメニューがあること。
 
 
魚歌屋さんで、初めて見た「鹿の鉄板焼き」を頂きました。
枳殻屋さんの鹿肉の串カツ並の柔らかさで、ジューシーで旨味たっぷり。
旦那さん、お父さんが共に猟師だそうで、血抜きなどの処理がとても上手であることが察せられる味でした。
 
柿もこのシーズンは吉野山のそこかしこで売っているのですが、本当に甘みたっぷりで食感も良く美味です。
二等品であれば、蔵王堂手前の青木酒店さんで7個300円とかで買えるのでお土産にアリです。
 
 
 
 
さて、以下はネタバレを含みますので未読の方はご注意下さい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
祝・玄さん一人浮きトップ!!!!
 
 
準決勝を闘った新道寺と千里山。
その大将と、玄さんが実際に対峙した先鋒の二人ずつが試合を観戦しながら玄さんの成長に驚いています。
 
麻雀という競技の性質で、敵ではありながらも宮永照を倒すために共闘もした奇妙な絆。
 
準決勝ではチャンピオンに押さえ込まれてしまっていましたが、一度龍が舞い始めればこの火力。
それは煌さんもびっくりです。
 
千里山の服装にもびっくり……と言いたい所ですが、最早この世界ではこれが普通と思い流してしまう自分がいるのも否定できません。や、なぜか脱いでた時が最高潮だったというのもありますが。
 
ともあれ、竜華がまた玄ちゃんと呼んでくれていることが私は凄く嬉しい……
 
 
怜がまた何やら凄いことを言い始めました。
 
「宇宙の一周分未来予知」。
dreamscapeでも回る物なら原理的に予知可能とは言われていましたが、宇宙と来ましたか。
冗談なのかも判別しづらいですが…………
 
もし仮に怜の体力を医学的に何とか補強することができたら、最強の戦士が爆誕してしまうかもしれません。
 
 
そして問題の次のコマの背景。
 
 
ええ、見た瞬間に私は大号泣でした。
 
吉野山が背景として描かれる。
その事はただでさえ嬉しい訳ですが、ましてや本編で初めての吉水神社とあっては。
 
一応、これまでにも阿知賀編[特別編]で数コマ描かれたことはありますが、咲-Saki-本編で登場というのはまた違った意味を持つエポックメイキングな出来事ですよ。
 
しかも、よりにもよってこのタイミングで。
一年前に個人的な思い入れも更に深まった、それに重なる季節に初登場という偶然。
なんちゅー偶然、素敵! では済まない位の何とも言えない奇跡に飛び込ませてもらっている感。
 
上のコマに関しては、「立先生、また何でそんな所に……」という所ではあるのですが笑
 
 
ときに(怜だけに)横のあらすじ、
 
「宮永照の連荘が始まるも、それを阻止した松実玄。勢いそのまま最下位から首位に立った」
 
世界にこんなに泣けるあらすじがかつて存在したでしょうか。
 
現実であることを思わず再確認してしまうような、でもそれはそれで玄さんの全身全霊の努力に失礼に当たってしまうようなそんな感じです。
 
 
吉水神社が描かれた、ということはロンオブオモチその中にいる人々も登場。
子どもたちは以前もはやりんと共に登場していましたが、新子望さんはここに来て本編では初登場ですね!
 
もし万が一、誰だかわからないという方がいたら『咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A』という福音書を読んで下さい。人類の義務にして救済です。
 
ギバードの「クロチャ〜〜」がここに来て聞ける嬉しさと言ったらもう…………
 
そして、10年前のインターハイで赤土さんをチームメイトとして、無二の友人として最初から事後まで支え続けた、でも、麻雀的には責任も感じ続けていたかもしれない望さんがのこの感慨と回想もまた泣ける要素しかなくてですね…………
 
阿知賀を全力で応援して練習試合もしてくれた小走やえさん、特に玄さんとは直接闘って敗北している訳で、その玄さんが活躍している喜びは彼女にとってもひとしおでしょう。
 
37P左下のコマは、松実館で応援する私たちですね。私はここの枠外で屈みこんで喜び咽び泣いているともっぱらの評判です。
 
 
タコスも、ドラ女から「松実玄」と名前で呼んでくれるように。
 
そして、ここであまりに思いがけない事実が判明します。
 
 
物議を醸した39P最終コマ。女性しかいないのはdreamscapeで指摘されていたように、この世界では女性同士で結婚して女性同士で子供を産めるという証左だ、というのがストレートな解釈です。
 
しかしながら、個人的には顔の見えない方が男性か女性かは不確定であり、右から二番目の方はいかにも外国人っぽい風貌に見えますがそうと確定している訳ではないのでまだ解釈の余地は色々とあります。
 
 
ともあれ、生まれた時から家庭環境的にタコスを食べる状況にあり、自然と好いていったという優希。
 
そして、涙無しには読めない事実が。
 
前回の感想で、和は転校が多く親しい友達を作り辛い、孤独になりやすい立ち位置にあったことに触れましたが、意外にも社交的で誰にでも屈託無く接することができそうな性格に思えていた優希も、同じようにかつては疎外感を味わっていたようだと。
 
そんな中で、特に優しくしてくれたのが和。
 
何と、優希が麻雀を始めたのは阿知賀の皆が和と麻雀をしていたことを羨ましいと思ってのことだったと…………!
 
阿知賀女子の皆がいたからこそ、優希も今ここにいるのだ、と。
 
うう、ううう…………立先生、立先生!!
 
何という…………何というエピソードを放り込んで来るんですか…………!!
 
泣くでしょう!!普通に考えて!!!!
 
 
麻雀が紡いだ絆。それがこんなにも複雑に、強く、尊く結びついているとは…………
 
元来、私は優希も大好きなので、相手が玄さんでさえなかったら滅茶滅茶応援してる所ですよ。
 
「優しい希(のぞみ)」。
どのような真意で今回描かれた親御さんに名付けられたかは定かではありませんが……
ともあれ、そう名付けられた彼女の何という優しさに抱かれたいたいけで切実な希望であることか。
 
底抜けに明るい能天気なキャラクター、というイメージの強い優希がここに来てその過去の痛みを曝け出すギャップの威力は絶大です。
 
そう考えると、優希が常に携行するセアミィにもまた涙を誘うエピソードが隠されていそうな気がします。それこそ和のエトペンと同じように。
 
こんな描かれ方をしてしまっては流石に優希が和了することはほぼ確定、流石の私でもそう思いつつ、でも、諦める訳がない!
 
「もはや清澄にやれることはないだろう」
とタカを括っているガイトさんと、一方で何かを感じている素振りの照。
ここは、個人戦1位と3位の差が表れている所かな、と思いました。
 
池田、衣、煌に応援されながら、一見クズ手にも思えた配牌から連続で有効牌を引き入れ役満一向聴まで行く優希。
しかし、ガイトさんの1pを鳴いて役満を崩して跳満テンパイに切り替えて行きます。
 
この1p鳴きが勝負の大きなアヤとなりました。
 
まあ、普通に考えれば鳴く牌ですよね。
1位との点差的にも、また団体戦でのチームの点数的にもそうですし、ましてや速度も非常にある、実際に全員テンパイしているこの面子です。
いくら役満一向聴といえど、跳満をテンパった方が遥かに期待値は高いでしょう。
 
しかしながら、それは普通ならの話。
間違いなく、この優希の流れならこの後も2巡連続有効牌を引いて役満を和了したことでしょう。
かつて同じように椅子を回した時にも引けた時と引けなかった時の感覚には確実に差があり、この時は前者の感覚を覚えていたでしょう。
でも、優希はその道を選ばなかった。
その見切りが凄い。
32000点あれば一発逆転ですし、白糸台・臨海との差も非常に大きく広げられます。
でもそんな幻想の誘惑に流されず、リアルの実利を優先する姿はまるで福本作品の雀鬼のよう。
 
優希は最後に鳥さんをツモって和了するというどこかの島根のかわいくて強い女の子のようなことをやってのけますが、1pを鳴いていなければガイトさんがツモって和了していた牌でした。ツモ平和で決して高くないとはいえ。
 
これにはガイトさんも49pの表情。
「解ってて鳴いたのか……?」
そんな風に問いたげに見えます。
一方で、すべてを察しているとでも言わんばかりの照はやはり照。
 
照もガイトさんもリーチをしなかったのは、手替わりを待っていたり他家のテンパイ気配を感じていたのもあるかもしれませんが、何より玄さんによりリーチした後にドラを摑まされることを警戒していた部分も否めないのではないかと。
着実に龍王の支配が及んでいるのが見て取れて私は大歓喜です。
 
この優希の和了は、優希を褒めて然るべきもの。
流石の久も嬉しい誤算と述べるレベル。
人は予想を超えてくる、はここでも顕在。
優希もまた、最上の舞台で今この瞬間に高みへと引き上げられ、成長している。
 
この局によって点数状況は以下のように。
 

南二局2本場 優希、ホンロートイトイ三暗刻

阿知賀 125300(-6200)

清澄 109200(+12600)

白糸台 88000(-3200)

臨海 77500(-3200)

 
依然阿知賀がトップですが、その差は僅か15600点。
普通の麻雀であればそれなりの差ですが、ことこの第71回インターハイ決勝戦の先鋒戦においては薄氷の如き点差に過ぎません。
 
優希 8回和了 143700点、平均17962点 new!
智葉 7回和了 93600点、平均13371点
照 12回和了 111100点、平均9258点
玄 6回和了 135000点、平均22517点
 
優希も跳満を和了して平均和了点がやや下がる異常事態。
もはや、異常が正常。
 
そして最後に久が恐ろしいことを言い放ちましたね。
 
「とても恐ろしい2局かもしれない」と。
 
ビハインドとなりながらも親を残している智葉とラス親の照が爆発する……
それが一般的な考え方かもしれません。
 
しかし、私は勿論違います。
ドラもリーチも封じられ、今までと違って思うように点数を伸ばせず苦慮することが必至の照。
その間隙を、龍が喰らう。
そう私は信じています。
 
ドラゴンが復活してから、龍の支配力は更に高まっていっているのがここまででも描かれています。
そう、玄さんもまだまだ成長途中。
照が3,4回くらい連荘することはあるかもしれません。
が、最後に和了して終わるのは阿知賀であることを願って止みません。
無限の可能性を世界に知らしめて、先鋒戦を終える。
そんな未来を数順先で見てきたかのごとくに信じて、応援します。
 
それにしても、前号までを読み返す日々の何と幸せな営みか。
2019年は最高の年でした。
 
寒くなってきましたが、立先生にはご自愛頂いて元気に無理なく愛する咲-Saki-世界を描き続けて頂きたいです。