雪の日の脱輪 | わしじゃもりじゃ

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暖かくなったと思ったら
また寒くなるこの季節のかわり目。

皆様は体調いかがでしょうか。




娘Aがまだ2~3歳のころのことである。
彼女は39度過ぎの高熱を出していた。


39度でも元気なら心配はいらない。
でも、39度以上が20時間以上も続いた娘は
ぐったりしていた。



そこで、
毛布でぐるぐるに包み、車に乗せ
病院に向かった。


おりしも外は、もう3月なのに
イタチの最後っ屁のような
寒気が来ての大雪だった。


雪国の方から見たら
たかが20~30㎝の積雪など、雪のうちに入らない
・・・とおっしゃるかもしれないが


雪に慣れない地方の者にとって
20~30㎝の積雪は、一つの事件である。


なんせ、道と田んぼの境目がわからない。

昔はあぜ道だったであろう所に、
アスファルトを敷いたような田んぼの中の道、 
見通しがいい代わりに
どこが道だか田んぼだか、区別がつかないのである。

案の定、夫が運転する車は
・・・田んぼに落ちた。

毛布の中でぐったりしている娘。
よりによってこんな時に・・・


車の後ろを私が押したり、入れ替わって
夫が押したりしていると

いつの間にか、ひとりふたりと
どこからともなく人が手伝いに集まってきてくれたのである。

周りは真っ白な田んぼばかり・・・
ところどころ、田んぼをつぶして小さなマンションが建っていたり
離れたところには人家も見える。

そこから来てくれたのだろうか…

失礼な言い方だが
私には、わいて出てきた・・・ように見えた。

だって、マンションも人家も離れているんだもの。

しかも、私たちは
騒いだり大きな音を出したりしていたわけではない。
ひっそりと脱輪しただけなのだ。

この脱輪情報をどうやって知ったのか・・・
素朴な疑問である。

だから、わいて出てきた、と。

高校生ぐらいの女の子は、
この雪の中、素足にサンダルで出てきてくれていた。
さすが、雪を知らない地方の高校生女子。

30代くらいの男の人、50代くらいの男の人
サンダルの高校生女子・・・
あと、ひとりふたり・・
みんなが一斉に、車にリズムを付けながら押してくれた。

ただやみくもに車を押すのではなく、
30代くらいの男の人の掛け声、というか知恵で
車を前後にゆすり、
その揺れをだんだん大きくしていきながら
弾みをつけて車を道路に押し出す。

あっという間に車は道路に戻った。

お礼を言っているそばから人々は、
わいて出てきたときのように
雪にしみ込むように消えて行った。



サンダルの女子、足、冷たかったでしょうに。
男の人たち、お忙しかったでしょうに。
みなさん、雪で靴がびしょびしょになったでしょうに。


このことを思い出すたび、
私の心は、幸福感に包まれる。












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