数年ぶりにドラクエ4を遊ぶ。

少年時代、ファミコン~PSで何度もプレイ
した傑作だが、
近所のブックオフで、廉価のDS版を発見し
懐かしさから思わず購入した次第である。


就寝前などに、こつこつ、まったりと、
少しずつ進めているが、
物語への感じ方が、昔とだいぶ、違っている
なぁと思う。


例えば「ももんじゃ」というモンスター。
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上の図でおわかりの通り、
めちゃくちゃ可愛い。

もふもふ。もこもこ。

とにかく、ひたすら可愛い。

あまりに可愛いくて、倒すに倒せない。

こんな可愛い仔を、鉄の槍で突き刺すとか、
こん棒で殴打するとか、メラで焼くとか、
鬼畜の所業である。
どちらがモンスターだかわからない話だ。

やむを得ず、逃げた。
倒さずに、こちらから逃げた。
無益な殺生は避けたい。

…とは言え、
そんなことをし続けていたらストーリーが
進まんので、泣く泣く、ももんじゃを撃破
して道を行くわけである。

昔は、こんなことで感傷的になることなんて
なかったのに、おかしなもんである。


ももんじゃだけではない。
もっと可愛いモンスターがいる。

それが、ホイミンである。
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ぷにぷに。ふわふわ。

その見た目だけでも愛くるしいのに、
仲間になって喋るもんだから、
ますます可愛いのである。

ホイミン
「今日はいい天気だね。日向ぼっこしたら
気持ち良さそうだね」

しよう。日向ぼっこしようねホイミン。

私が画面の中のホイミンに笑顔で語りかけた
のは、言うまでもないだろう。


ホイミン
「僕は魔物だから、町の人たち、僕を見たら
驚かないかなぁ?」

街の人
「ひー、怪物!出て行けっ!」

ごめんねホイミン。人間が愚かでごめんね。

私が画面の中のホイミンに涙ながらに謝罪
したのは、言うまでもないだろう。

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それにしても。

ドラクエの、短い会話の中に、
決して複雑ではないストーリーの中に、
込められたメッセージの力は、
たいしたものである。
時代を、世代を越え、色褪せることがない。

その根底に優しさが溢れている。

それは少しの切なさと、
しかし、くじけぬ強さ、信じ抜く誇らしさ
を感じさせ、プレイヤーの胸を打つ。

不朽の名作。

今夜も私は、そんな世界を旅するのである。

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で、
そんなドラクエ4(DS版)をクリアした。
過去に数度クリアした経験があるゲームだが
それでも感慨ひとしおである。

明日から夜寝る前、私は布団の中で一体何を
して睡魔を待てば良いのか。
軽い「ドラクエ・ロス」症候群である。

せっかくなので、ネタバレにならない範囲で
私をワクワクさせてくれた、ボスキャラを
紹介する。

まずは中盤の山場。
「地獄の帝王」エスターク。
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もう一人(一体?)
「魔族の王」デスピサロ
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おわかりであろう。
ドラクエ4の世界において、
このフォルムこそが「強さ」と「悪」の
シンボルだと言うことが。

音符音符音符音符音符

話しは少し変わるが、このドラクエ4、
実はノベライズも出版されている。
元祖ラノベの女王・久美沙織氏の筆である。

この小説版ドラクエ4、私はマイ・ベスト
セレクションに入れている。

ゲーム原作だけに、若年層向けに書かれて
いる箇所もあるのだが、
単なるジュブナイル物と思って、
油断して読んでいると、
ギュイーンと胸を打ち抜かれる。


例えば、亡父の仇討ちを志す姉妹の、
姉の独白。

『むかし、愛を踊ってたことがある。初恋の
ときめき。片思いの切なさ。甘い嫉妬と、
いつも遅すぎる後悔。
(中略)
男たちが夢に見るような女、色っぽくて、
ちょっとバカで、あふれんばかりに愛情深い
女の顔を、とてもじょうずに、
してみせてあげた』

『そばにいれば良かった。もう、おとなだから、もう、父さん父さんって、服の裾にしがみついて甘えられるようなトシじゃないと思ってたから。だから、離れていたけれど。最後の時を、守ってあげることだって、できたかもしれないのに。
あたしは、寂しい。あたしは悔しい。
こんなことなら、もっと、もっと、素直になって、ずっと、離れずに父さんと一緒にいれば良かった…』


これである。これなんである。
こういう文章が、
今も昔も私は実は大好物なんである。


もう一つ。
伝説の勇者を探す旅を続ける、
孤高の壮年戦士の独白。

『今になってわかる。俺はいつも、少しずつ
早すぎたことが。探し求めていた仲間たちに
出合うためには、俺はただ、どこかで、
ほんのちょっと振り返ってみれば良かった
はずなのだ』

『死んだ青年のことを考えようとすると、
自然と脳裏に浮かぶのは、にくにくしいせりふを吐く時のそれでもなく、最期の苦悶の表情でもなく、自分のぶっきらぼうな感謝のことばに、はにかむように微笑んだ、あの顔だった』


こんな感じである。こんな感じなのである。

私は、自分ではコメディばかり書いているが
実はこんなハードボイルドも、
愛してやまないのである。


ゲームでもノベライズでも楽しいドラクエ4
オススメの作品である。

【引用文献】
『小説ドラゴンクエストⅣ』
1巻~3巻
著者:久美沙織
出版社:エニックス