閲覧ありがとうございます。
いつもいいね!とペタを
どうもありがとうございます。


今回はお笑いホラーを書いて見ました。




「アルバイト死神・茂田」



今日はだいぶ飲んだ。

もう立ってられない。
ちょっとムカムカする。
ええい、こうなったら最終手段だ。
寝転んでしまおう。

そう思いつつ俺は、いきなり6帖の畳の上に
身を投げ出し、思い切り伸びをした。

あ~、楽だ…
ついでだ、このまま寝てしまおう…
ぼんやりとそんな事を考えつつ、
蛍光灯を消したのだけは覚えてるが、
そこから先の記憶がない。

そして目覚めたのは…
多分、翌朝。

あまりの明るさに、
あ、寝過ごした!なんぞと
慌てて起き上がったのだが、

窓の外は真っ暗。
時計をみたら午前3時。

じゃあ、この明るさの光源は何だ?
確か電気消して寝たよな?

途端に不審感が込み上げ、
俺は周りを見渡した。

すると、俺を見下ろしてニンマリと笑ってる
半袖の黒Tシャツに短パン姿の太った男が
立っていて、光を放っていたのだ。

だ、誰だよ!?お前??

まぁなんつぅか死神、みたいな…

みたいなってなんだよ?
死神だろ、早い話が?

まあ、アルバイトって言うか…

死神にアルバイトってあんのかよ?

ええ、まあ…

死神と名乗るその男は、
非常に言い出し難そうに口ごもりながら、

まあ、お迎えに来たっつぅか何つぅか…
あのぉ、そんなワケなんで、
ご一緒してもらえません?
そう訊いてしなだれ掛かってくるので
俺はあまりのその気色悪さに、

キモいからやめろよっ!
と怒鳴って突き放したが、
その途端に記憶が途切れてしまった。

そして今後こそは朝なんだろうか?

またも、
あまりの眩しさに俺は目が覚めた。
しかし、時計をみたら午前3時。
さっきと同じ午前3時…
例によって窓の外は真っ暗。

またアイツか…?
嫌な予感と共に見上げたら、果たせるかな其処に
居たのは、例の黒Tシャツ短パンのアイツだった。

またお前かよっ! てか、俺の部屋で
ずっと潜伏してんだろっ!?
俺は立ち上がって、
思わず男をブチかまそうとしたのだが、
見事に抱きすくめられてしまった。

センプクだなんて…
そんな人聞きの悪いコト言わないでくださいよ!
幾ら僕が新米で学生バイトだからって…
う、うっ、グスングスン…
ヤツはそう言うなり、
哀れっぽく泣き出してしまった。

そしてその様を見ていた俺は、その
あまりの見苦しさを見るに見かねて

頼むから泣くなよ…
まだ新米だろ?その内慣れるさ!
なんぞと声を掛けたのがそもそもの間違いだった。

俺の言葉を聞いた途端、ヤツは
山本さ~ん。。」なんぞと叫びまくって
俺に抱きつき、頬擦りして来やがった!

俺はあまりの気味悪さに

よせっ!オマエ、変態だったのかっ!
と制して、
ヤツを突き放そうと躍起になったのだが、
次の瞬間、背後から、

茂田っ!違うだろっ、此処は!
と、じぃさんのような怒鳴り声がしたので
ドキッとした。

この人は山本一郎だろうがっ!?
お前の受持ち先は山本二郎だっ!
間違ってるだろ!?バカか、お前はっ!?

よくよく見れば、怒鳴っているのは
真っ黒いスーツに真っ赤な蝶ネクタイをして髪を七三に分けた、まるで高級レストランの支配人を思わせるようなじぃさんだった。

其処のあなた様、どうも相済みません。
部下が失態をやらかしまして…
じぃさんはそう言うと、深々と頭を下げ、
茂田とやら言うアイツに向き直ると、
強い口調でこう言った。

おい茂田、お前みたいにモタモタするヤツは
今日限りでクビだ!

ちょっと、クビはやり過ぎでしょ…

俺は思わずそう言って止めようとしたが、
如何せん、
その後の記憶が途切れてしまったのだった。

そして次に目覚めた瞬間、
今度こそ朝であってくれと願いを込めて目を開いたのだが、期待どおり其処は、
正真正銘、朝の光に満ちた俺の部屋だった。

が、しかし…

俺を覗き込んでるヤツの顔が目前にあり、
思わず俺は飛び退いてしまった。

その顔とは、
アルバイト死神・茂田の顔…

クビになったもんで行くとこなくて。
暫くご一緒して構いません?
そう言ってヤツがニンマリ笑っている。

そう言えばお前、
クビになったんだっけな…







エッセイ・随筆ランキング