先日。
お友達から
「この話、好きなの。語りでどお?」
と、ご紹介いただきました(・ω・)ノ
“からいも盗人”です。
うさ吉の心のふるさと(笑)『まんが日本昔ばなし』では、
“からいも と盗人”と、紹介されています。
からいも盗人
むかし、天草の須子の辺りに太助どんという、たいそう子煩悩な船乗りの頭がおった。
その頃。
天草辺りは不作続きで、太助どんの家も飯の度に近所の子供が集まるものだから、もうすっかり食べ物が底をついておった。
「もう、米びつにもお米がないよ。どうしようねぇ…」
との、かかぁの声を切なく聞きながら、仕事にむかった。
その日、太助どんは天草から薩摩へ荷を運ぶ事になっていた。
薩摩の荷主に荷を届けた太助どんは、荷主の家でご馳走になった。
出された夕食の膳の中に見たことのない食べ物があった。
一口食べると、ホクホクと甘い。
「こりゃあ、旨い!」
太助どんは初めて食べるカライモ(サツマイモ)の旨さに驚いた。
荷主はたいそう喜んで、
「このイモは育てるにも土地を選ばす、水も少なくて育つ。手がかからんイモでごわす。」
と、言った。
太助の頭に、子供たちの顔が浮かんだ。
「天草は今、日照りで何も採れねえ…
このイモを分けていただけんじゃろうか…」
なんとかこれを自分の畑で育てたいと、荷主に譲ってくれるよう頼みこんだ。
じゃが、カライモは御禁制品であり、薩摩から他国に持ち出すことは許されんのじゃった。
「すまないでごわす…私の手が縛られるでごわす」
翌日、太助どんが薩摩から船を出す時にも、御禁制品の持ち出しがないか、役人の取り調べがあった。
それは厳しいものじゃった。
そうして取り調べも無事終わり、太助どんが船を出そうと帆を上げた時じゃった。
荷主の旦那が港に走り込んできた。
「太助どん、子供さんの土産の手鞠を忘れてごわそう?」
荷主の旦那はそう言うと、お役人に頼み、船に手鞠を投げ込んだ。
太助どんが手鞠を良く見ると、糸の間からカライモの苗が覗いておった。
「大切に育てなされよーー!」
「旦那、ありがとうございます……。」
こうして御禁制のカライモは薩摩から天草へ持ち出されたんじゃと。
作り方も分からないままに、太助どんは夢中でカライモを育て始めた。
「どんな大きな木になるじゃろ?」
ワクワクしながら手入れをした。
春が過ぎ夏になって、畑一面に蔓が伸び、小さい花をつけたが、どういう訳か実は一向にならなかった。
「はてさて…花が咲いたに、実がつかん…。
育て方が悪かったに違いない…残念な事をした…」
そして秋になり。
太助どんがカライモのことを忘れかけていた頃、毎夜、不作の畑を荒らす盗人が出るようになった。
ある夜、またしても現れた盗人を追いかけて、太助どんはカライモの畑へ足を踏み入れた。
「みんなが苦しんでいるときに、自分だけ助かろうなどどは不届きな奴だ!」
焦って逃げる盗人は、長く伸びた蔓に足を取られて倒れてしもうた。
「許してくれ…! おらうちも、ひもじ かったんじゃぁ…!!」
「そんなの、みんな同じじゃ! 許せるもんじゃね!!」
と、言いながら、盗人を見ると…
「ああ!」
と声を上げた。
そこに太助どんが見たものは、
盗人の足に絡まった蔓の先になった、たくさんのカライモじゃった。
「そうか! カライモは土の中に生るものじゃったのか。」
そりゃあもう、たいそうなカライモが土の中からごろごろと出てきたという。
「盗人! 主のおかげじゃ!!
好きなだけ持っていけい! ははははは!」
太助どんは、嬉しそうに大きな笑い声をたてた。
それから天草ではどこの家でもカライモを作ることになったそうな。
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良いお話ですねぇ♡
手毬を作って、語りにすると面白い作品になりそうですね(≧∇≦)
ではまた。