かっぱの話ということで。
かっぱのお膳
昔、十人村の甲田池に一匹のカッパが住んでいました。
ある日、村のお百姓さんが池の土手に馬をつないでおいたところ、
いたずら好きのカッパは
「馬を池に引きずりこんでやれ」
と、池の中へ引っぱりました。
ところが馬は驚いて、カッパを引きずってお百姓さんの家の馬屋に帰りました。
お皿の水がなくなって動けなくなったカッパは
「助けてくれれば、この家にお祝いごとがある時にはお膳を用意してさしあげます。」
と言いました。
やさしいお百姓さんはその言葉を信じてカッパを放してあげました。
それから、お百姓さんの家にお祭りでたくさんの人が集まる時は、その晩に必ずお客の数だけ、
とてもきれいなお膳が庭先にそろえてありました。
ところがある時。
「こんなに良いお膳を持ってるなんて…。
さぞかし、銭こを貯めてるに違いない。
貧乏な私が一つくらいもらったところで、たいして困りゃしないだろうよ」
と、隣の欲深なおばあさんが、そのお膳を一つかくしてしまいました。
困ったのはお百姓さんです。
お膳を返そうと数を数えたら、一つ足りないのです。
お百姓さんは一生懸命探しましたが、とうとう見つからず、カッパに全てのお膳を返せませんでした。
それ以来、お百姓さんの家にお祝いごとがあってもきれいなお膳は二度と見ることはできませんでした。
そしてお膳をかくしたおばあさんの家には不幸が続き、とうとうその家はつぶれてしまったそうです。
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馬に引きずられるくらい、こちらのかっぱも小さかったようですね…
この様な民話は、日本各所にもあるそうです。
貸してくれるのがお椀だったり、
助けたのが龍だったりと、
バリエーション豊かですよ。