遠野のカッパの話をご紹介していますが…
今回のお話は、かなり衝撃的です。
原文を載せると、削除される恐れがありますので…
うさ吉的現代語訳で、お楽しみください。
原文を知りたい方は、「遠野物語 55」で検索していただくと、たくさんヒットしますよ。
遠野物語の著作権は平成13年に消滅しているそうですから。
遠野物語 55話 河童の子
川には河童が多く住んでいます。
猿は石川に大変多くいますが、
松崎村の川の端にある家では、
2代も続けて、河童の子を身ごもった嫁様たちがいたそうです。
生れてきた子は、大変醜かったそうです。
人の形をしていなかったので、見られたものではなく。
憎しみを込めて樽に入れ、土に返したと言われています。
また、新張村の何某では、
これも川の端にある家でしたが、
その家の主人が、ある人に婿をもらった娘の事をこう話したそうです。
ある日、その家の者が全員畑に行って働きました。
夕方になって家に帰ろうとすると、娘は川の汀(みぎわ)にうずくまり、にこにこと川を見ながら笑らっていたそうです。
次の日も、昼の休みにまた、昨日と同じ様に川を見ながらわらっていたそうです。
そんな事を何日か繰り返していたら、しだいに
「あそこン家の娘の所へ、夜な夜な通ってくる男がいるようだ。
婿さん、可哀想になぁ」
という噂が立ってしまいました。
始めは、婿さんが浜の方へ駄賃附(だちんづけ…馬で荷物を運ぶ仕事)に行った留守に来ていたようですが、
そのうちに、婿さんが横に寝ている夜にでさえ、やってくるようになったそうです。
「そんな事が出来るのは河童に違いない」
という評判がだんだん広がっていくにつれ、
娘を守ろうと、一族の者が集まってみはりをしたのですが、その甲斐もなく。
婿さんの母親も駆けつけて、息子の嫁の側に寝たのですが。
深夜に嫁様の笑う声を聞き、
「さては男が来ているのだな」と起きようとしましたが、身動きができず。
結局、だれにも逢瀬を止める事ができなかったのです。
そして、娘は子を孕みました。
そのお産は大変な難産となりました。
ある者が言うには、水を入れた馬槽(うまふね)の中で産めば、安産になるとのことだったので。
早速これをやってみると、その通り、スルリと赤子は生まれました。
しかし、その子は手に、水掻(みずか)きがありました。
この娘の母も、かつて河童の子を産んだとのことです。
この家の河童の子は、2代や3代続いているだけではないという者もおります。
この家は如法(にょほう…仏教の教えを守って生活する)の豪家でして、何の某という士族でありました。
村会議員をした名家でもありました。
ーーー・ーーー・ーーー
村会議員までする名家に、何代も続く、河童の誕生…
家からは出ないし、見張りを付けているのに懐妊してしまう…
これは何を示しているのでしょうね…
『名家の子女は自由奔放だから、恋愛も自由だったために起こった悲劇』という見方をする方もいましたが…
ちょっと違うような気がしています。
なぜ、産まれたばかりの子に、憎しみを込めるほどの酷い事をして、さらに○める必要があるのか?
それはら何かを隠したかったのではないのかと、勘ぐってしまう、うさ吉なのです。
続く。