壊れていないのに炊飯器を買い換える理由とは? 臼井弘文

IH炊飯器 図版

IH炊飯器のしくみ
誘導加熱で内釜が直接発熱し、米と水を温める

国内では現在、年間約600万台の炊飯器が出荷されていますが、このうち「故障」を理由とする買い換えは、約27%しか存在しないのです(パナソニック調べ)。実に4台に3台は、製品寿命がくる前に新商品へと買い換えられているのです。

炊飯器は、構造的には比較的シンプルな家電であり、故障の比率がかなり低く、製品寿命の長い製品です。ほとんどの家電、特に“白物家電”は故障するまで買い換えないケースが多いのですが、炊飯器だけがなぜ、「まだ使えるのに買い換える」人が多くいるのでしょうか?

調査によれば、その理由は「おいしいご飯が食べたいから」。特に近年は、6万円を超えるような超高級炊飯器の売り上げが伸びており、対照的に1万円以下の低価格製品の売れ行きは鈍っています。少々高価であっても、毎日食べるご飯だけに、しっかり満足したいという消費者の「こだわり」が反映された結果です。

それでは、炊飯器を手がけるメーカーはどんなご飯を「おいしいご飯」と定義しているのでしょうか? 実は、各メーカーの言葉はほぼ共通しており、「腕のよい料理人がつきっきりになって、土鍋で炊いたご飯」が理想とされます。