エアコンのドライと冷房、省エネはどっち? 臼井弘文

一体型とセパレート型エアコン 写真

1972年製の「一体型」(左)と現在主流の「セパレート型」(右。上が室内機、下が室外機)

みなさんは、「部屋を涼しくしたい」ときに、エアコンのどの機能を使っているでしょうか? 一般的な製品には、3つの使い方があります。「冷房」と「ドライ」、そして「送風」です。送風機能は、扇風機と同様、単に空気を送り出すだけです。最近のエアコンでは、モードとしてはあえて用意していない製品も出てきています。

気になるのが「冷房」と「ドライ」の違いです。日本の夏は高温多湿ですから、湿度を下げることで、気温は少々高めでも快適に過ごせるようになります。「冷房だと電気代がもったいないし、冷えすぎるのもつらいのでドライに」と考える人も多いようです。

エアコンで「室温を下げる」場合には、「熱交換」のしくみが使われます。この際、空気の温度が下がると、空気中にあった水分は気体のままではいられなくなり、液化して水になります。その水は、ホースを伝って室外に排出されるしくみです。逆にいえば、エアコンで気温を下げると、「自動的に湿度は下がってしまう」のです。

それでは、「ドライ」とはいったいどういう機能なのでしょうか? 私たちがドライ機能に求めるのは、「温度を下げすぎずに湿度だけを下げる」ことです。しかし、梅雨時のように特に湿度が高い環境では、湿度を十分に下げようとすると、どうしても同時に室温も下がりすぎてしまいます。

 実は、暖房機能を使って冷えた空気を温め直すことで、気温の調節を行うのです。これを「再熱除湿」とよびます。一方で、ごく弱く「冷房」をかけることで除湿を行う場合もあります。再熱除湿では、湿度を下げるための「冷房」と、室温を上げるための「暖房」を同時に行う瞬間があるため、冷房運転よりも電力消費が上がってしまうことがあるのです。「ドライなら電気を食わない」は必ずしも正しくないので注意しましょう。