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初心者向け ヾ(*'-'*) eneloop などニッケル水素電池の知識と使い方あれこれ。
(本記事は長いです。記事の一番最後に8項目にまとめてありますので、時間のない方はそこだけ覚えてもらえればOK です)

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有名なeneloop などの乾電池互換型(=乾電池の代わりに使うための)充電式電池はニッケル水素電池という種類です。ニッケル水素電池はeneloop 誕生よりずっと前から存在しますが、広く一般的に使われているとは言えませんでした。ニッケル水素電池は経済的ですが弱点もあったため、一般向けとは解釈されてこなかったようです。eneloop はその弱点がほとんど克服されている新型ニッケル水素電池として脚光を浴び、今では広く浸透しました。そして他社も似たような新型を作るようになりました。

従来型のニッケル水素電池との最も大きな違いは自然放電(自己放電)が少ない事です。もともとニッケル水素電池は、ただ放置するだけで自然に放電してしまう性質が強く、充電してから時間が経ってしまった場合、使う前にまた充電し直すなどの気遣いは当たり前でした。

そして、ニッケル水素電池は過放電に弱いという性質もあります。
ニッケル水素電池では一般的に1.0V で 『電池を使いきった』 と解釈し、これを終止電圧と呼びます(使い捨てのアルカリ電池などでは0.9V が一般的)。そして終止電圧を下回る事=過放電です。過放電によって電池が傷むと、サイクル寿命(繰り返し充電できる回数)なども減りますし、ひどい時は致命傷になって使えなくなる事もあります。

従来型は 「自然放電が多い」 & 「過放電に弱い」 の二つが重なり、しばらく使っていなかった電池を久しぶりに使おうと思ったらすでに手遅れ・・・なんて事もあるわけです。それを防ぐため、保管中も数ヶ月に 1回は充電をするという管理が必要でした。相当運が悪いと、買ったばかりの電池が全く使えなという事もあり得ました。安かったのでまとめ買いしたら、長期在庫で放電し切っていたというパターンですね。

新型のニッケル水素電池でも過放電は良くないのですが、自然放電がとても少ないので、機器で使いすぎて過放電させない限り、保管中の電池が勝手に過放電状態に突入するという事はまずないでしょう(ただし、常に良いコンディションを保つため、 保管する時も半年に1度くらいの充電はメーカーも推奨しています)。機器での過放電というのは、例えば懐中電灯が暗くなったと気付いていながら使い続けてしまう と、終止電圧を下回るでしょう。あるいは子供のおもちゃでも、走る電車のスピードが落ちたと思ったらすぐに充電した方がいいです。

もっとも、充電のタイミングは電池が弱ったかどうかで決めず、とにかくまめに充電するのが最良です。と言うのも、ニッケル水素電池は深く放電するほど早期に寿命を縮めてしまうという事情があるからです(過放電ほどではなくとも、深い放電は電池に良い事ではない)。

・使い方その1: 「電池を使い切って充電×1回」
・使い方その2: 「電池を半分使って充電×2回」

一見両者は同じ事のように思えますが、電池の劣化は同じではなく、 “その1” の方が早く寿命に近づきます。仮に2
日くらい電池がもつ機器で使うなら、2日に1回の充電よりも毎日使った分だけ充電する方が電池に優しく、長期間使える(サイクル寿命が倍以上延びる)ことになります。つまり、「浅い
放電で使うほど、電池廃棄までに使える総容量が増える」 という事です。
http://www.doc88.com/p-1083922369495.html
(資料) 図14 放電深度とサイクル数の関係

ネット上では、どうも 「メモリー効果」 という言葉がひとり歩きし不安を与えている様子ですが、これが致命傷になり得たのは昔のニカド電池であり、現在主流のニッケル水素電池では劣化原因とはな りません。しかしネット上でも誤解が非常に多いです。ニッケル水素電池では、機器がメモリー効果の影響を受ける事はまずありませんし、さらにeneloop に関して言えば、これは特にメモリー効果に強い製品ですから全く心配無用です。そもそも仮にメモリー効果が出たとしても、深放電を1~2回すれば簡単に解消するのがニッケル水素電池です。致命傷になり得る問題と違って、メモリー効果など無視して良い事なので、『普段は継ぎ足し充電』 が現在の主流です。メーカーも、継ぎ足し充電せよと説明しています。
http://panasonic.jp/battery/charge/faq/#q5

【メモリー効果に対する強さ】
eneloop > ニッケル水素電池全般 > ニカド電池


ちなみに電池の容量はサイクル寿命が尽きるまで変化しないわけではなく、使い始めの頃は少し増えますが、ピークを過ぎた後はずっと減り続けます。サイクル寿命に関しては、定格容量の60%に低下するまでを寿命と定義しているだけであり、寿命が来たその日が明確に判るわけではありません。そうなる前に、全体的にパワーも弱くなっているので、早めに買い替えるのも良いでしょう。

上に機器での過放電を避けるように書きましたが、それとは別に、使用者の気づかない所で起きてしまう過放電もあります。以下、それを少し詳しく説明します。

その過放電とは、充電の失敗が引き起こす過放電です。具体的に言いますと、電池の充電が完了しないうちに 「終了」 の表示に切り替わってしまうという 「途中終了」 の欠陥を充電器が持っている事が原因で引き起こされます。SANYO やPanasonic の純正充電器でもそれが確認されており
、個人的にも経験していますしネット上で経験談も見られます

充電器に電池を入れて、普通に充電開始

なぜか一部の電池が早々と充電終了してしまう
(実際には電池は充電されていないが、充電が止まる)
(エラーなのに、ランプなどが通常の充電終了表示になる)

他の電池は通常通り時間をかけて充電され、充電終了表示になる
最後は、全部の電池が通常の終了表示になっている)
(なので、
充電が終わった頃に見ても異常に気付かない)
(何の疑いもなく全て充電できたと思い、電池を取り出す)

機器でそれらを使用し、未充電の電池を過放電させてしまう
(同時に複数使用する機器なら、致命傷になり得る)


という流れです。信じがたいですが、本当です。こういう事が古い電池では起きやすいと教えてくれているサイト もあります。そして、新しい電池でも起きます(確認済み)。

おそらく多くの人は気付いていません(充電中ずっと見ている人はいないので当たり前ですね)。コストを削っような充電器とはいえ、明らかな欠陥を持っているのは困ったものです 

上記サイトでは、この手のエラーは充電後数分以内に起きるので開始から数分後に1度ランプを確認するのが良いと教えています。ただ、個別ランプ表示のある充電器しか確認できない上に、1時間以上経過してからの途中終了というパターンもありました(つい先日経験しました)ので、こうなるとお手上げです。

そこでお薦めなのは、電池を充電器から取り出す際に” 電圧をチェックする事です。そこで充電できていない電池があれば、その電池は他の電池より低い電圧を示すはずですので、充電やり直しです。これが一番硬い方法だろうと思います。電池1本を確認するのに10秒もかかりませんし。

電池チェッカーは市販品が数多くあります。 ただし、安物はまともに測定できないものが多いので要注意です。信頼出来る物を選びましょう。

中には電池チェック機能を備えた充電器もありますので、そういった物であれば、例え簡易チェック(3段階表示など)であっても、充電完了の電池とそうでない電池の区別くらいはつくかもしれません。通常の使用方法とは違いますが、“電池を充電器から取り出すときに”
チェック機能を活用し、途中終了を見逃さないようにしましょう。

充電器というと、国内大手メーカーの物はどれも似たり寄ったりで、あまり魅力的なものが無いようです。逆に海外メーカーは多種多様で面白いのですが、手を出しにくい面もあると思います。でも、日本で正規販売されているものなら安心でしょう。お薦めはエナジャイザーですが、15分や1時間という “超”急速充電器があり 、かなり頼もしいです。実はこれ、電池は国産で、現在FDK が作っています(eneloop と同じ製造元)。パナソニック充電式エボルタもSONYサイクルエナジーもmaxcellエコフルも中国製を使っている事を考えれば、むしろエナジャイザーの方が安心かもしれません。


すこし前までは国内メーカーもバリエーションがあり、 “超”急速充電器も作っていたのですが・・・・なぜかやめてしまい、低コストの充電器ばかりになってしまいました。
(=´-ω-`=)

ただ、電池によっては “超”急速充電に耐えられない物(安い中国製電池など)もありますので、そういう電池には普通の急速充電器を使いましょう

他には、容量の少ないタイプの電池も、“超”急速充電はやめた方がいいです。(容量が少ないものは普通の急速充電でもそれほど時間はかかりませんし)


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(追記)

書き忘れましたが、しばらく使っていなかったニッケル水素電池は、数回の充放電で活性化し、本来の調子を取り戻します。買ったばかりの電池も、最初の数回は本調子ではない可能性がありますが、そのうち元気になりますのでご心配なく。

個人的な経験では、説明書に2~3回の充放電で十分と書いてあるSONY のサイクルエナジーシルバー
(min. 950mAh)で、購入後6~7回の充放電でも目に見えて容量が増え続けたという事がありました。電池がよほどぐっすり眠っていたのか 、そもそも「十分」の定義が「本来の8割以上」だったりするのか、そのあたりは判りません。

先日からのサイクルエナジーシルバー急に危うくなってきました。4本あるうちの1本はSONY純正充電器にすら異常と診断されてしまい、まともに充電できません。まだ30回も充放電していないの、ずいぶん早い寿命です。ずっと4本同時使用で微弱電流でも作動する機器に使っていたため、最も弱い電池が過放電になる事もあったかもしれません。

余談ですが、どうもSONY は充電式電池にはまるで力を入れていないらしく、SONY のサイトで情報を得ようとしても、主な商品という20の
分類電池は入っておらずその他の商品という扱い。そこから先へ進み、問い合わせのページでもやはり選択肢になく「上記以外」です。いよいよ問い合わせフォームで記入する段階になって製品の分類の選択肢にないため「その他を選ぶしかないという、ここまで来るともう、電池の販売を嫌がっているとしか思えませんw。


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同じ銘柄の電池であっても、(使用回数違う)新しい物と古い物は、
基本的に同時使用できません。理由は、たくさん使った電池ほど容量が減っており、使用中、先に終止電圧に達してしまうからです。そのため過放電リスクが高いわけです。出来る限り電池の劣化具合は同時進行させた方が良いでしょう。

例えば4本パックを買った場合、手持ちの機器が電池2本を使う物なら 「まず2本だけを使用、残る2本は大事に取っておく」 のではなく
2組を交互に使う方が、後に “4本同時に使” 場面があった時、問題なく対応できます。また、長期保存の不活性化も避ける事が出来ますし新しいうちに使い始める方が信頼性は高いでしょう。常に交換用の電池がスタンバイしていることは、深放電させる機会を減らす間接的効果もあり、持っている電池はローテーションさせる方がメリットが多いです。

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まとめ 【ニッケル水素電池の使い方】

1: 従来型は使っていなくても定期的に充電し、過放電を避ける
2: 同じく新型も半年に1回くらい充電すると良い状態を保てる

3: 長期間休んでいた電池は、数回の使用で活性化する
4: 新旧の電池、異銘柄の電池を同時使用しない
5: 残量のあるうちにマメに充電し、できるだけ深放電させない
6: メモリー効果の事は忘れ、影響が出たら解消すれば良い
7: 本当に充電出来ているか、充電器から取り出す時チェック
8: 安い電池や低容量タイプには “超”急速充電器を使わない

正しい使い方をすれば、電池長期間、調子良く使えるでしょう。