こまきのブログ

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今日、クルマの趣味サイトを見た。記事の書き手は競技経験者で、走り、セッティング関係について解説をしている。すでに講師としての立場を確立しているようだ。しかし、記事を読んでいくと、どうもおかしい。意味不明な箇所あり、初歩すら理解していないと思える箇所あり、デタラメな解説ありで、「ちょっと書き間違えた」 レベルではない。

まずはこれ。
http://minkara.carview.co.jp/userid/428159/blog/17522864/

此処での注意 と書かれた斜体の下線部

FR車の場合のフロントタイヤは上記のように走行中は転がり抵抗などによって後方に力が掛かりタイヤは開く方向にあります、逆にFF車の場合は駆動力が掛かっている為に常に先行するように力が掛かっている為に上記の開きは逆になってしまいます

ふむふむ、FR車は前が開き、FF車は前が閉じるという事だな。言い換えると、何もしなければFR車はトウOUT になり易く、同様にFF車はトウIN になり易いという事だな。そりゃそうだ。

したがってFF車の場合には特に開きづらいジオメトリーのセッティングが望まれます

ん? 何を言っているのかな? 日本語が少々アレだが、それはともかく 『したがってFF車は特に開きづらくせよ』 と書いてあるんだよな? どうしてそうなるw 

次。

直進時はフロントの各アライメント値を出来るだけ少なくしておくことでジオメトリー変化でステア時のタイヤの踏面の働きを増やすと供に旋回初期から旋回安定期まででタイヤ踏面を最大限働かせる様にセットする


いやいや、それはおかしい。旋回中の 『タイヤ踏面(接地面)を最大限働かせる』 セッティング(初期値)というのは、どうしても “旋回を優先した=直進を犠牲にした” ものとなるはずで、レース車両が思いっきりハの字なのもそれだ。こんなの誰でも知ってるよな?

例えば初期値でキャンバー角(ネガティブ)を減らせば、当然旋回中のキャンバー角(ネガティブ)も減る。初期値で減らしたことが、その後大きなキャンバー角(ネガティブ)を生む事は物理的にあり得ない。これは、市販車においては通常どんなサスペ ンションでも、ロールによるアライメント変化で外輪が直進時のキャンバー角(ネガティブ)を超える事はない(※)からだ。アライメント変化は、基本的に 「不都合を多少減らす」 程度の効果しかないのが実際の所。(というより正しく言えば、その程度に抑えた設計にしておく必要があるため、そう作っている)

(※ これすら解っていない関係者が多すぎて辟易する。前にクルマを預けた店のメカニックも、左右の車高アンバランスで 「高い方に対して低い方のキャンバー角(ネガティブ)が大きくなります」 と言って譲らなかったし・・・低くてネガティブになるのは単なるローダウンだしょ (´・ω・`)。このメカニック、「これだから中途半端な素人は困るんだよ~」 みたいな顔してたが、車高が狂う前と後のアライメントデータを両方とも見せてやったら黙ったなw)
↓↓↓
いくら考えてもこのメカニックと同じ結論になってしまう人は、実際に左右のキャンバー角を測ってみよう。まず通常の測定。次に、左右どちらかの車高を上げ、反対側を同じだけ下げて測定。ほらね、下がってる方のキャンバー角がネガティブ側へ変化したりしないでしょ。実際には、上がっている方がネガティブ側へ変化し、下がっている方がポジティブ側へ変化する。これは構造から言って当然の結果なので、これを質問してみれば、相手がサスペンションを理解しているかどうか判る。


この人、ジムカーナの経験が豊富なようだが、ともかく理解がひどい。


次、別の記事。
http://minkara.carview.co.jp/userid/428159/blog/21021823/

結果タイヤは上下の荷重が少なくなることで、コーナリングフォースが少なくなりロールセンターと重心が近いと、この場合リヤが近いとリバースステアになりやすいのであります

記事の最後に強調した部分が間違っているという・・・(ー。ー;)

(また日本語がアレだな・・・「上下の荷重」 って何だ? 単に 「荷重」 の事なのか? あるいは内輪で荷重が減る事と外輪で荷重が増える事を上下と表現していて 「左右輪の荷重差」 の事だろうか。あと、リバースステアじゃなくオーバーステアね)

先に基本をおさらいしよう。

基本1:
フロントもリアもコーナリングフォースは 「左右輪のトータルで」 決まる
基本2: タイヤのグリップ増加率は、荷重の増加率より低い&飽和していく

(仮に荷重を1.5倍にしても、グリップは例えば1.4倍とかになっちゃうってことね。しかも荷重を増やせば増やすほど率は悪くなってくる)


この二つは基本中の基本だが・・・

◇その1: 『上下の荷重』 を単に 『荷重』 と解釈した場合
荷重が少なくなることで』・・・いや、ならんだろ。他
の条件は同じという前提なのだから、フロントもリアもロールセンター変更前と荷重は変わらない。「フロントにかかる荷重=フロントの軸重」 「リアにかかる荷重=リアの軸重」 なので、荷重が少なくなるなどという怪現象は物理的にあり得ない。当然ここで変化するのは軸重ではなく、前後それぞれの軸重が左右輪へどう配分されるか(荷重の偏り)である。

◇その2:
『上下の荷重』 を 『左右輪の荷重差』 と解釈した場合
左右輪の荷重差が少なくなることで、コーナリングフォースが少なくなり』・・・いや、逆だろ。左右輪の荷重差が少ないクルマの代表格が、
背の低い(重心の低い)レースカーだぞ。おかげでタイヤのグリップを最大限に発揮できる。逆に背の高いクルマは外輪では増えた荷重ほどグリップが増えず、内輪では減った荷重ほどグリップは減らないが、増加の方が分が悪いのでトータルでグリップは減る事になり旋回性能が落ちる。こんなの初歩だろ。

・・・というわけで、いずれにしても通らない。

で、オーバーステアが起きる本当の理由は何かというと、「リアでのみ左右輪の荷重差が大きくなる事」 だ。
以下説明。

ロールセンターを高くすれば(重心に近づければ)、当然ロール角が減る。仮に 「フロントもリアもロールセンターを高くした車両A」 があったとすると、ロール角は

[ノーマル車両] > [車両A]

となる。

次に
フロントはノーマルのままで、リアだけロールセンターを高くした車両B」 があったらどうなるか。当然だが、車両B のロール角はノーマル車両と車両A の中間

[ノーマル車両] > [車両B] > [車両A]

になる。

この車両B、フロント君はノーマルなので 「あれ? もっとロールするかと思ったら、もう止まっちゃったよ。リア君が頑張ってくれてるから楽だなぁ~」 であり、ロールセンターを高くしたリアから見れば 「あれ? なんでこんなに大きくロールしちゃうの。俺めっちゃツライじゃん~」 の状態だ。

つまり、本来のロール角に達しないフロントは左右輪の荷重差が減ったのであり、リアはその逆。言い換えれば、フロントは背の低いクルマと同じで、リアは背の高いクルマと同じ。

したがって、車両B のフロントは本来よりコーナリングフォースが増し、リアはコーナリングフォースが減る。結果、オーバーステアになりやすい。これが正しい説明だ。

次。




いや、もうやめよう。たぶん切りがない。

自己紹介を見ると、このサイトの主は相当のクルマ好きを自認している。なぜクルマ好きなのに魅力的な仕事を辞める事になったのかはわからないが、『以前はカーメーカーでシャシ部品のエンジニア、その後研究所に在籍』 と書いてある。これって 『自分は専門家だ』 と言いたいんだよな?
 

(もっとも、「シャシ部品のエンジニア」 と言えば聞こえはいいが、ネジやブラケットの設計をしていただけかもしれないし、素材の選定ばかりしていたかもしれない。少なくとも記事のレベルから言って、自動車工学を理解しているとは思えない。いや、正直なところ、中学校の理科すら怪しいレベルだが...)

なにも 「専門家のくせに」 ってだけで突っ込みを入れたわけじゃない。あえて取り上げた理由は五つほどあるw

このサイトにはアライメントに関する解説ページが結構あるが、そのいくつかが
wikipedia の丸写し Σ(=°ω°=;ノ)ノ
だったのも理由の一つ。普通の引用ではなく、もろにパクリ。解説記事にwikipedia の文字はどこにもない上、リンクもwikipedia の記事へ飛ぶのではなく 「wikipedia 内の画像URL」 だけを使い、出所がwikipedia だとは判らないようにしてある。その上で自分の文章との組み合わせ。

wikipedia の記事と画像をパクっておきながら、
そこに書き加えた解説が思いっきり間違っている というのだから、もはや救いようがないエセ講師だ。また、ここで取り上げていない別の記事では、上記の 「基本2」 がかなり正しく説明されているなど、別人のような内容だったりする。それはどこから持ってきた?
 
(ちなみにwikipedia の画像の主がURL を変更したので、いくつか使われていたURL はもうリンク切れw)