沖縄にいた頃は、本当に毎日食べていた島豆腐!

炒めてはもちろん、鍋物、汁物、白あえ、揚げ豆腐などなど、どんな風に料理しても、とにかく美味いのが島豆腐!

今でこそ島豆腐をこよなく愛するワタシだけど、子供の頃はこの豆腐が大っ嫌いだった(笑)



さいの目切りにした島豆腐と茄子、にんにくの芽、島にんにくの炒めもの




ワタシがまだ幼かった頃の1970年代。
まちやぐゎ〜」と呼ばれる小さな商店のレジ横にどでーんと鎮座していた島豆腐には、大抵ハエがブンブンたかっていた(笑)

その当時の島豆腐は今みたいにカットされて販売されてはおらず、木枠から出した3丁分の豆腐に濡れた木綿を被せて常温で保管し、お客さんの要望によって、店の人が大体の感覚で(笑) 1丁とか半丁とかに切って売っていたんだ。

ちなみに、
本州の木綿豆腐の1丁って約300〜350gだそうなんだけど、沖縄の島豆腐の1丁は約1kg (☉。☉)!





母に連れられてまちやぐゎ〜に買い物にいくと、このドデカい豆腐は大体子供の目線の高さにあって、その強烈な存在感に幼かったワタシは圧倒されまくっていた!

しかも、年中暑い南国の沖縄。
当時はエアコンも普及してなく、扇風機だけで暑さを凌いでいたので、ほとんどの建物には熱気がこもってる状態だった💦
 
沖縄では豆腐を冷やさずに、出来たての熱いうちにメーカーから各商店に卸されるので、アチコーコー(あつあつ)の島豆腐は当然ながら、時間の経過と共にどんどん腐敗が進んでいく。

幼いワタシの臭覚を刺激する淡い豆腐の腐敗臭と、ブンブン飛び回るハエ。

これだけでも豆腐を嫌いになるには十分すぎるけれど(笑)
島豆腐特有の豆臭さが、またワタシには大の苦手だった💦

家族の中で唯一、ワタシだけがずっと豆腐を食べられずにいた。





ところが!
そんなワタシに突然、改革が起こった(笑)

豆腐が嫌いというワタシを不憫に思った人が、スーパーの豆腐じゃなくて市場の豆腐なら絶対に美味しいから食べてみてほしいと熱心に勧めたのだ!

子供の頃の記憶から、どうしても豆腐を口にする気にはなれなかったけれど、その熱心さがありがたく、言われるがままに少し食べてみようと思ったんだよね。。。それで農連市場に買い物に行ったとき、思い切って島豆腐を買ってみたワタシ。

その時にはもう近代化が進んでいたので、子供の頃にほぼ裸で売られてた豆腐はビニール袋に入れられて、少しは衛生的になっていたのも幸いだった。

並んでいる豆腐をビニール袋の上からひとつひとつ触って確認し、一番熱い豆腐を選ぶ。

豆腐が入ってるビニール袋は封をされていないので、少し開けて腐敗臭がしないか確認する。。。うん、どうやら大丈夫(*^^*)

そうして豆腐を連れ帰り、まず勧められたままに手で豆腐をちぎって醤油を垂らして食べてみた。





ん??





んんん???





んま〜っ!!!
ヽ(。◕o◕。)ノ.


子供の頃、あんなに大嫌いだったのが嘘みたいに(笑)
その時の豆腐はめちゃめちゃ美味しかった✨

思うにやっぱ、子供の頃に母が料理していた豆腐は若干傷んでいたのではなかろうか。。。そうでなければ、こんなに美味い豆腐を嫌いになるワケがないっ!!

それくらい、その時の豆腐はマジ美味かった(笑)






それで火がついたワタシは、次にちゃんぷる〜を作ってみることにした。

大嫌いな豆腐だったので、当然ながら料理するのは初めて。とりあえず熱したフライパンに切った諸々の野菜と一緒に投入し、炒めてみる。

フライパンの中でひときわ大きな存在感を放っていた豆腐は、火が通るより先にどんどん水分が出てきて、最終的に汁じゃかじゃか〜(汁気の多い)の代物と変わり果てた(爆)





あれれ〜???
豆腐ちゃんぷる〜ってこんなんだっけ??
ತ_ತ




ワタシに豆腐を食べるように勧めた人に聞いてみると、
「豆腐は野菜より先に炒めておかないと、水分が出てしまうんだよ」。。。にゃるほど✨
そーゆーコトね(*^^*)

何にでも極端にハマってしまう性格のワタシはこの日以来、毎日豆腐ちゃんぷる〜をつく
るようになった(笑)

そしてワタシなりに、美味しい豆腐ちゃんぷる〜の作り方を身につけたんだ。

その作り方とは、
①薄く油を引いて熱した鉄のフライパンに、手で大きくちぎった島豆腐を、全ての面に焼き目がつくまでじっくり焼く。
②焼いた島豆腐を別皿に取り出し、新たに油を加えて好みの野菜を炒める。
③野菜に火が通ったら島豆腐をフライパンに戻して火を止め、塩を適量振ってざっくり野菜と混ぜる。

野菜は本当になんでも合うし、塩以外にお味噌を使っても美味🎵




島豆腐とパプリカ、ピーマン、茄子の味噌炒め





今や全国的に有名となった沖縄の豆腐ちゃんぷる〜。東京の沖縄料理屋さんではご立派な値段で提供されてもいるけれど、うちなーんちゅ(沖縄県民)にとっての豆腐ちゃんぷる〜は本当に日常のなんでもない料理のひとつ。

なんでもないっていうのは、豆腐ちゃんぷる〜に失礼かもしれないけれど(笑)

お金が無い、時間も無い、ストックしてる食材もそんなに無いって時に、半ばやっつけでかーちゃんがつくるのが豆腐ちゃんぷる〜だった。

ちなみに、
そんな感じのやっつけ料理では他に、
□茹でたそうめんとシーチキン、ツナを炒めたソーミンちゃんぷる〜
□キャベツをメインに手元にある野菜を炒めてつくるタマナーちゃんぷる〜
□からし菜と島豆腐を炒めるチキナーちゃんぷる〜
□専用の器具を使って、削った人参と卵を炒めてつくるニンジンシリシリ〜
。。。などがあるのだ!

つまり、メインになるものに適当に野菜を加えてチャラチャラ〜(炒めた)したら、それがちゃんぷる〜(笑)





日本で唯一の地上戦の舞台となった沖縄は戦後、アメリカによる統治時代もあって、本州とは何から何まで大きな格差があった。

それが1975年の沖縄海洋博、
1987年の沖縄国体、
1990年代の安室奈美恵の大プレイク、
2001年のNHK朝のテレビドラマ「ちゅらさん」の大ヒット
等の歩みと共に観光地としても発展し、今では国内に留まらず海外からも観光客が押し寄せる一大リゾート地として認識されるに至った。

現在の10代、20代前半のうちなーんちゅには、幼かったワタシを取り巻いていた貧しい沖縄の姿は想像もできないだろうな。。。

貧困にあえぎ苦しみ、
差別にあえぎ苦しんだ先人たちの忍耐とがんばりの血と涙の上に、今現在の沖縄の発展がある事は死ぬまで忘れない。




。。。あ、話がそれちゃった(笑)

そうそう!
島豆腐は炒めずに生のままサラダにしても、めちゃめちゃ美味しい🎵


島豆腐と黒オリーブ、ブラウンレンズ豆、アボカド等のサラダ




よく島豆腐はチーズにも似てると言われるけれど、確かに豆腐にしては濃厚な味わいはチーズを思わせる。

小さく切った豆腐に紅麹で熟成させた豆腐ようは、まさにチーズそのものといった味わいだしね✨




アーサとゆし豆腐




あと、木枠に納めて固める前のゆし豆腐は、そのまま食べても美味しい🎵

ワタシは久米島の白味噌を溶いて食べるのが好きなんだけど、これにアーサ(あおさ)を加えるとめちゃめちゃウマい❗

沖縄では味噌を加えずに、ニガリに浮かんだあたたかいゆし豆腐を汁ごと食べるのが主流。これに刻んだネギとお好みで紅ショウガや七味をトッピングして食べる。




長く奴隷時代が続いた黒人たちの料理をSOUL FOODというけれど、複雑な歴史的背景のある貧しかったうちなーんちゅにとってのソウルフードが島豆腐であり、ちゃんぷる〜だと思っているワタシ。

沖縄料理は概して大味で不味いという評価がある一方で、島豆腐に関しては口にした誰もが美味しいと認めるんじゃないかな?!

Veganであるワタシにとって島豆腐は、美味しくて手軽に食べられるタンパク源として毎日食べるものだったけれど、東京に来てからなかなか食べられずにいるのが本当に残念で。。。島豆腐が恋しい♡



最近ではニガリではなく、本州と同じように凝固剤を使って大量生産されてる沖縄の豆腐も多くなってきたけれど、昔ながらの製法を守る豆腐屋さんが消えることはないと確信してる。



今月末から6日間、母の一周忌で沖縄に帰るんだけど、これでもかっ!てなくらいに島豆腐を食べまくろうと思ってる(笑)



変わりゆく沖縄がある一方で、
いつまでも変わらない沖縄がある。



そんな沖縄と島豆腐を
ワタシは心から誇りに思っている。