アメリカから帰国したばかりのとき、あの頃の東京にはおしゃれな人たちが溢れかえっていて、その様子はわたしの目にキラキラとまぶしく映りました。
その当時、わたしは東京のストリートファッションを撮影するフォトグラファーをしていました。そして、その写真を海外に向けて発信していました。
街中でおしゃれな人を見かけたら、声をかけて写真を撮っていました。それをきっかけにたくさんの素敵な人たちに知り合えたし、新進気鋭の若手ファッションデザイナーにも出会えました。
この間、たまたまそのときの写真を見ていたら、懐かしさを感じながらも、すごく切なくなってしまいました。
この二年で、世の中は大きく変わってしまったからです。今はみんなマスクを付けているから無表情だし、当時と比べたら、街中におしゃれな人たちも一段と減りました。それはまるでカラフルだった世界が、瞬きひとつでモノクロな世界になってしまったかのようです。
もうファッションデザイナーをやっていない人たちも何人か知っています。たった数年でこんなにも世界が変わってしまったんだ、となんともいえない気持ちになりました。
撮影した写真で、好きなものは何枚もありますが、ここには一枚しか載せられないから、その中でも、活気があってワクワクが溢れていた、あの頃の東京の様子が伝わってくる写真を一枚選びました。
過去に戻るという発想は好きじゃないけれども、キラキラとまぶしかったあのときに、戻れるものなら戻って「時間」を止めたいという衝動に駆られてしまいます。
でも、そう感じるからこそ、できる限りこの「今」を楽しみながら、最期の瞬間まで、悔いのないように生きようと改めて思いました。