初心者が行く!印旛新川ベイトでオカッパリ

初心者が行く!印旛新川ベイトでオカッパリ

バス釣りド初心者の中年バサーがベイトオンリーで印旛新川に挑みます。

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ご無沙汰しております。ビジ夫です。

2018年のバス釣りシーズンも既に終盤に近づいて、これからどんどん寒い季節に入っていきますね。

「寒いよりは暑いほうがいい」生粋のサムガリータである僕としては、ああ、今年もまた冬が近づいてきたと若干鬱な気持ちにもなりますが、

さて、皆様は2018シーズンをどのように楽しまれましたでしょうか。

 

僕はといえば…、と、若干言い訳がましい話から入ってしまうのですが、

実はほぼ丸2ヶ月、バス釣りには行っておりませんでした。

 

仕事自体もそれなりに忙しくはあったのですが、それだけが原因ではないのでして、

実は家族の付き添いで、土日はほぼ毎週病院にいたのでした。

 

健康であることは、それだけで幸せなことなんだと、大病を患った人たちは口々に言いますが、

しかし健康が当たり前と感じている大多数の人々には、なかなか響かない言葉であることも事実です。

僕は今回、家族を通してそれが身にしみたのでした。

 

ということで、言い訳が終わりましたので釣りの話に戻るわけなのですが、

釣りに行っている気配が全くない僕に対して、心配した友人たちの何人かは、

「ちゃんと釣りには行けていますか」と気にかけてくれていたのでした。

 

あたかも釣りに行けているかどうかが僕の健全な生活のバローメータであるかのような問いかけに若干引っかかりもしないではないのですが、

しかしこうやって、気にかけてくれる友人がいるということは幸せなことに違いありません。

 

9月末、そんな友人の一人であったカタヤマさんと、カタヤマさんのマイボートに載せてもらって釣りをしてきました。

 

 

 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サウザーというメーカーのボートなのだそうですが、

 

このサウザーとは日本のメーカーであることを知ったのは、実はつい最近の話です。


バス釣りはアメリカから始まったものですから、日本にバス釣りが伝わった当初は当然のようにタックルはすべてアメリカからの伝来品だったわけですが、

日本メーカーもアメリカに追いつけ追いこせの精神で、ロッドやリール、ルアーやラインなどは、

既にオリジナルであるアメリカを凌駕するところまで来ていることは、日本のバサーであれば周知の事実だと思います。


しかし、こと船にまつわる道具の数々については、まだまだアメリカ主導で事が進んでいるものと僕は思っていました。

ところが、サウザーというメーカーは「ジャパニーズ・バスボート」をコンセプトとして、

日本の小中規模の河川や湖をターゲットとしたボートを展開しているらしいのです。


 

ということで、この「ジャパニーズ・バスボート」というコンセプトなのですが、

人によっては、「こんなものはバスボートとは認めん!」という方もいらっしゃるようです。

もっと言うなら、「こんなものを新艇で買うくらいならよっぽど中古でいいバスボートが買えるのに理解できん!」とまで言ってしまう方もままいらっしゃるようです。

…まぁ、それは人それぞれ、いろいろな考えがあると思いますので、それをどうこうというつもりもないですし、そもそもバスボートの定義ってなんでしたっけ、という話でもあるのですが、

僕は個人的には、この「ジャパニーズ・バスボート」というコンセプトはそれなりに理にかなったものだと思っています。


250馬力のエンジンで数十分も走り続けなければ目的のポイントまでたどり着けないようなフィールドは、

日本にはおそらく琵琶湖と霞ヶ浦くらいしかないわけですので、

日本のバス釣りのメインとなるフィールドといえば、中小規模の河川や湖、人工のダム湖ということになるわけです。


そんなフィールドで本場のバスボートはその性能を活かしきれないばかりか、かえってその大きな船体を持て余すことになってしまうわけですので、

合理性だけを追求するならば、サウザーに代表されるような小型のバスボートや、アルミボートが最適解という結論に至る人たちが多いということも、僕としては充分にうなずけるわけです。



…どこかのバスプロの方が「日本みたいなスレきったフィールドでは、バスボートよりレンタルボートの方が釣れる」とおっしゃっていたことを覚えていますが、

これも、「ジャパニーズ・バスボート」というコンセプトを肯定する意見だと思われます。



しかし僕は一方で、「バスボートに理屈を求めるんじゃねぇ!バスボートはロマンだ!」という方のご意見も非常にわかります。

実は僕も船舶免許を取得してから過去に2度ほど(ブログには書いていませんが)バスボートをレンタルして釣行してみた経験があるのですが、

初めて自分の手でバスボートのエンジンをかけ、アクセルレバーを入れ、ステアリングを切って桟橋から出船したときには、

ぶっちゃけ相当感動したわけです。


つい先日、電車で座っている20歳前後の女の子が、

女の子といっても、髪がキンキラで先っちょがクルクルしていてお化粧も若干お厚めの、いわゆる「ギャル」っぽい女の子が、

自分が座っている隣のシートに座っていた30歳くらいの女性が電車を降りようと席を立ったものの、

その座席に財布が残されていることに気がつくや否や、

もの凄い勢いでその財布を手に取り、自分も電車を降りて先ほどのお姉さんに声をかけ、

あまりの勢いに「えっ、えっ」となっているお姉さんの手に無理やり財布を握らせると、

電車のドアが閉まる前に急いで再乗車しようとドアに駆け寄ったところ、

無情にもその目前でドアが閉まりそうになったところを、

そのドアの脇に立っていたサラリーマン風の男性が自分の身を盾にしてドアに割り込み、

そのギャルっぽい女の子を電車に引き入れた場面を見た時にも、

日本もまだまだ捨てたもんじゃないなと相当感動したわけなのですが、

初めてバスボートを運転したときにはそれ以上に感動したかもしれません。



なにしろ帽子がふっ飛ばされるくらいの向かい風を受けながら(実際飛ばされて回収に引き返した)湖面を疾走する快感たるや、

おそらくそれは自分自身の手でステアリングを握って経験してみなければ、一生理解ができないものだったでしょう。


なので僕としては、小型バスボートに関する議論については、

釣りをするためのツールとしてのバスボートに合理性を求める考えもわかりますし、

一方で、バスボート自体にロマンチシズムを見出す考えも理解できるという、

非常にフワフワとしたスタンスでいるわけだったのでした。

 

…なんで突然、誰も求めていないようなバスボートの話なんかしだしたんでしょうね、僕は。

自分でもよくわかりませんが、そんなわけで、僕は生きてます。


残念ながら10月、11月も週末が立て込んでいて、

ひょっとすると上で書いた9月のカタヤマさんとの釣行が今年の釣り納め、なんてことにもなりかねないのですが、

とりあえずお伝えしたいのは、皆さん健康には充分すぎるほど気を使いましょうということで、

釣りも健康な体ありきの趣味ですから、末永く楽しむためにも、まずは自分自身をいたわりましょう。



釣りシーズンなのに釣りに行けてないのか?と心配してくださった方々、ありがとうございました。

 

バス釣りあるある



「バスを釣るとiPhoneの指紋認証が反応しなくなる」









ビジ夫です。こんにちは。


7月8日。

釣り友達のけんけんさんとぺりきんさんが定期的に開催している身内大会に参加させていただくことになった僕です。

今回のフィールドは「戸面原ダム」とのことで、実は僕はこのダムの存在をつい最近まで知らなかったのでした。


もともとは、ヘラブナ釣りのためにボートが開放されているダムだったらしいのですが、

たしか昨年のこと、満を持してバス釣りにもボートが解禁されたそうなのでした。


三島ダムが同様にバサーに解禁されたときにも書いたような気がするのですが、

バス釣りができるフィールドがどんどん縮小していっている中で、このように新たに追加されるフィールドというものは超貴重です。

そしてなにしろ、解禁されたばかりのダムということですから、豊英や三島のときのように開店記念的なフィーバーがあるのではないか…。





けんけん「サイズはあまり出ないんですけどね、数は出ますよ」

―おお、やはりそんな感じなのですか。


けんけん「一日で100本釣った人もいるとか」

―100本!?ウソでしょう?


けんけん「いや、ひたすら釣れるパターンに徹してればあり得ると思います」




…。

なんということでしょう。

この、すれっからしの関東バス界において、そんな夢のようなフィールドが残っていたとはにわかには信じられません。



けんけん「ただ、一つ問題があってですね…」

―問題?


けんけん「ボートが一人乗り専用なんですよ。で、大きさ的に船舶免許が必要なんです」

―あー、なるほど…。免許持ってる人しか釣りができないってことなんですね。同船も無理だと。


けんけん「そうなんです。あとエレキとかバッテリーのレンタルもないんです」

―そういうことですか。




なるほど、それは確かに低くはないハードルです。

免許持ちかつ、エレキ一式を持っている人でなければ遊べないダムというのは、僕は今までに聞いたことがありません。


…ただ、逆に考えることもできましょう。

戸面原ダムとは、「来るものを拒む房総最後の秘境ダム」なのだと。


…ひとたび釣れると聞けばワッとバサーが集まってあっという間にスレきってしまうのが関東バスフィールドというものですから、

高いハードルが防波堤となって、バスがスレることを防いでいる、と、だから人によっては100本も釣れるんだ、と、そういう見方はできないものでしょうか。




…ハッ。


…そういうことかと、今僕は自身の置かれた運命をはっきりと理解したのでした。

僕が船舶免許を取得したのも、友人からエレキを譲り受けたのも、まさにこの釣行のためであったのだ、ということを。


あとは運命に導かれるまま、戸面原ダムに赴いてひとしきり竿を振れば、結果はおのずと知れているというものでしょう。

そうだそうだ、そうに違いない、と合点がいった僕は、うんうんと一人うなずきながら、納得のうちに当日を迎えたのでした。




当日。


朝3時、同じく大会に参加することになった友人のWestさんを助手席に乗せて、一路戸面原ダムへの道のりをひた走ります。

道中、最近の釣り事情がどうの、プライベートの仕事がどうのと会話が尽きることはありませんが、

僕はどこかWestさんの話を上の空で聞いています。


なにしろ今から向かう場所は関東に残された最後のユートピアなのです。

ここ数年、自分自身が納得のいく釣行が何回あったかと聞かれても、答えられないくらいの不甲斐ない僕ですが、

今日これから行く場所が、そんな僕の負の歴史を払拭してくれるに違いありません。


なにしろ今から向かう場所は関東に残された最後の桃源郷なのです。

今日は誰と同船するわけでもない一人っきりの乗船ですから、周りに気を使う必要もありません。


このところ、おろそかにしていたあの釣りだったり、この釣りだったりを駆使しながら好きにバスを釣れば良いわけです。

そんなことを考えているだけでも、2時起きの眠気も吹っ飛ぼうというものでしょう。




…相変わらず助手席から熱心に話しかけてくれているWestさんに相槌をうちながら、今日は最初に何をしてバスを釣ってくれようかと、

頭の中はそればっかりを考えていた僕だったのでした。





館山道を走る車はやがて君津インターを通り過ぎ、富津に入ります。




…海釣りではなくバス釣りで富津に来ることがあろうとは、ちょっと前まで想像することもなかった僕です。

ナビは富津中央インターから目的の戸面原ダムまでの道のりを30分程度と予想していますが、おそらく早朝ということもあって20分ほどで着くでしょう。


集合時間は4時半ですから、時間ぴったりくらいに着きそうです。


―セブン、あったら寄りましょうか。

West「そうですね、別にセブンじゃなくてもいいんで、コンビニあったら入りましょう」


…いつかの女子校に気を取られている間のセブン通り過ぎ事件のことが軽く頭をよぎりますが、

幸いなことにインターを降りてそれほど走らないうちに、セブンイレブンの看板を発見した僕はさっと駐車場に車を寄せます。


―じゃあ、飲み物と、たぶん昼も買っていったほうがいいですよね、

などと会話しながら店内に入っていきますが…。





…え、朝4時のコンビニにレジ待ちの列が発生している。

しかも並んでいるのは因縁の女子高生ではなく、皆さん年季の入ったご年配の方々。


彼らが着ているベスト、かぶっている帽子、

これは…、間違いない。



「ヘラ師」だ。


ヘラ師がこんな大勢で、いったいどこに行くつもりなのか?




…その間にも駐車場には続々と後続車が入場してきます。

まさか、これから向かう戸面原ダムへ行くつもりなのでしょうか。



―Westさん、彼ら、みんなヘラ師ですよ。

West「え、ほんとですか?気づかなかったな」


―まさか全員戸面原に行くつもりじゃないですよね。

West「まさか、三島ですよ三島」


―三島に行くヘラ師がこの時間にこんな場所に溜まりますかねぇ…。




…おそらく三島は適当に言っただけでしょうが、この不慣れな土地のどこにどんなヘラのフィールドがあるのか見当もつきません。

一抹の不安を覚えつつも、だからといってどうすることもできない僕は、Westさんの言う通りどこか別の場所にヘラの聖域があるのだと思い込み、

予定通り飲み物と食べ物を補充すると、再び戸面原ダムへの道をひた走ったのでした。

 

―…ナビだと、そろそろボ―ト屋さんの近くのはずなんですが。

West「あ、たぶんそれじゃないですかね、そっちの脇道」


―なるほど、たしかにそれっぽいですね。


車は脇道に入り、あまり舗装されていない道路をガタガタと進んでいくと、やがて駐車場らしきスペ―スが目に付きます。

―あ―、あったあった、たぶんあそこ…、



…え?

目に飛び込んできたのは、すでに2~30台は停まっていようかという車の列です。



―え、今まだ4時半ですよね?なんでこんなに車が??

West「あ、あの車、さっきセブンで見ましたよ」


―なんと。

…これはすべてヘラ師の皆さんの車ということか。


おそらく、大会かなにかが開かれるということなのでしょう。

このボ―ト屋さんの出船は5時半と聞いていますから、これからもまだ増え続けるのかもしれません。



―普通の駐車スペ―スは空いていないっぽいですね。そっちの隙間に停めちゃって大丈夫かな?

West「たぶん、大丈夫じゃないですかね」


…セブンでの悪い予感があたってしまった、そう思いながら車を停車します。

まずは受付をということでボ―ト屋さんのドアを開くと、そこそこ広いスペ―スに置かれたテ―ブルはすべて先に到着していたヘラ師の皆さんで満席になっています。

その光景に圧倒されつつ、女将さんらしき女性に「バスなんですけど」と申し出ます。


女将「はい、バスね。…ここは、はじめてですか?」

West「はい、はじめてです」


女将「じゃあ、免許証見せてもらってもいいですか?…ちょっと!この人達はじめてだって!」




…船舶免許を提示すると、振り返って誰かを呼ぶ女将さん。

すると奥から、店主と思われる男性がやってきました。


軽く会釈すると、ニコっと笑って何やら紙を出してきます。


店主「じゃあ、はじめてということで説明させてもらいますけどね、これが戸面原ダムの地図ね」

…そのまま地図を手渡されます。


店主「ボートはマウントを取り付けられるようにしているのが25艇あって、桟橋の右側に停めてますから。もう準備してもらって結構です」

店主「ボートは全部一人乗りでお願いしますね。安全のためなのでよろしくお願いします」


…なるほど、事前に聞いていたとおりです。

ここはすべてのボートが一人乗り専用で、かつ船舶免許が必要なのだと。


店主「ライフジャケットも必ず装着してくださいね」

―はい、わかりました。


店主「桟橋の前に直接車を付けてもらって構いませんからね」

―はい、では今日はよろしくお願いします。



…ということでボート屋を出ますが、受付をしている間にもお客さんは増え続け、今や駐車場はヘラ師の車で鈴なりになっていて、

とてもじゃありませんが、新入りの僕らが「ちょっとすいませんね」なんつって桟橋に車を乗り付けられる雰囲気ではありません。


―そこの手押し車で荷物運んじゃいますか。ちょっと車まで遠いですけど…。

West「けんけんさんたち、姿が見えないですけどもう来てるんですかね」

―もう、集合時間過ぎてますからね、来てないことはないと思うんですが…。


West「あ、ていうかそこで準備しているのけんけんさんたちじゃないですか」

―あ、ほんとだ。気が付かなかった。



…ではさっそく挨拶してきましょう、ということでそちらに向かいます。



―おはようございます。もう準備始めてたんですね。

けんけん「おはようございます。今日はよろしくです」

ぺりきん「ずいぶん遅い登場じゃないですか」

―いやいや、時間通りですよ。


そこにいたのは、主催のけんけんさんに、ぺりきんさん、

それと最近よく絡ませていただいているバンさんに、今回が初対面のマーハーさん。


どうやらマーハーさんは免許かエレキのどちらかをお持ちでないようで、バンさんのボートに牽引してもらっての参加だそうです。



…ふむ、なるほど、牽引という手段ならOKなのか…。


しかし、今日はヘラの人たちがすごくないですか、あれはきっとどこかの団体の大会ですよ、なんて会話を交わしつつ、

僕らも準備を始めることにします。


―出船は5時半でしたっけ。

West「40分ですね。ヘラの人たちの後だそうです」


…なるほど。そういえばたしか三島もそんな感じのシステムだったな。

もともとがヘラのためのボート屋さんということなのですから、それもトラブルを避けるためのルールということなのでしょう。


準備も終わり、釣りの近況などを話し合っていると不意に笛の音が湖面に響き渡ります。

「ピィーーーーーーー!!!!!」


えっ、と振り向くと、どうやらいつの間にか時刻は5時半を回っていたようで、この笛の音がヘラ大会開始の合図だったようです。

すると、桟橋を軽やかに走り抜けたおじいさん達が次々とボートに飛び移っていき、その反動を利用して勢いよく我先に飛び出していくではありませんか。




…まるでサーフィンだな。

呆然と見とれていると、隣りにいたWestさんも同じような感想をもったようで、



West「ヘラにあんなスタートダッシュあるんですね」



ヘラ釣りといえば、一度ポジションを決めてしまえば雨が降ろうが槍が降ろうが微動だにしないというイメージですが、

意外にもアグレッシブな一面があるのだと、妙に感心した僕だったのでした。



…さて、唐突な予想外の光景に多少面食らいましたが、気を取り直して次は僕たちバサーの出船です。



けんけん「ここは数が出るフィールドなんで、ルールはビッグフィッシュ一本勝負でお願いします」


…なるほど。

小バスをいくら釣ろうがポイントにはならないということですか。

逆に言うと、それは小バスなら際限なく釣れることを予想したルールということなのでしょう。


やっぱり、そのくらい自信があるフィールドなんだ。



間もなく店主の二度目の出船の合図にあわせて、このフィールドに慣れているらしいバンさんやけんけんさん、ぺりきんは迷いなく船を出していきますが、

さて、僕はどうしようか。


誰かに付いていってもいいのですが…。





―まぁ、大会だしなぁ。とりあえず一人で考えながらやってみよう。



…独り言をつぶやいて、彼らが向かった方向とは逆の方向に船を向けます。


朝イチということで、まずはシャローがあればやってみたいのですが、都合のよいポイントはあるでしょうか。










…おや、何やら遠くに岩盤らしき岸が見えます。

―岩盤か、ダムの岩盤といえば今さら言うまでもないセオリーの一つ、まずはあそこをやってみよう。



速力を上げて岩盤に向かいます。


やがて到着すると、まずは岸際に浮いている魚はいないかと、岸沿いにトップウォーターを投げてみることにします。

それで反応がなければ、撃ちモノ系のリグで岩盤に沿いながら底をとってみればよいでしょう。



プロップペッパーを結び、岸際に投げます。

…そのままキュルキュルと引いてくると…、






チャポッ!







…え?

あれ?今出た?出たよね今の?

よく見てなかったけど、一投目で出た…と思うけど?あれ?




しかし、ロッドに重みはなく、どうやら乗らなかったようです。





…なんだ、いきなり出るとは思ってなかったから油断していた。

もったいなかったなー、今の。失敗した。



…気を取り直してもう一度、今度は別の角度から岩盤に向け投げてみます。

…キュルキュルキュル…







チャポッ!!





!?

また出た!?



しかも今度はちゃんと乗ってるし、すごい、さすが一日100本はダテじゃない!!!






…それほどサイズも大きくないようですから、一気にゴリ巻いて取り込むことにします。



ボート脇まで寄せて、いっせーのせでブッコ抜き…、









スポーーーン!!












え!?

抜けた!?



嘘でしょ、最後の最後に!!






…クソー、掛かりが浅かったのか、大きくない魚だったから油断したけど、

ぶっこ抜くときにはちゃんと掛かり具合を確かめないとだめだな。



…しょっぱなの一匹目、しかもトップの魚を取り逃がしたということで思わず大きなため息が出ますが、

しかし、なんの実績もない初場所で、2回トップを投げたら2回とも出たというのは、これはとんでもないことです。



―いきなりポテンシャルを見せつけてくれるわい。

さすが、関東最後のフロンティア、といったところでしょうか。



その後、しばらくその周辺をやたらめったら投げ続けますが反応が無く、場所を移動することにします。


影になったワンドの奥。

水深がわかりませんがきっと先程の岩盤エリアよりは浅いのでしょう。


奥に向かってプロップペッパーを投げて引いてきます。






…チュポン


音もなくプロップペッパーが水中に消え、あれ?と思う間もなくいきなり竿に重みが乗ります!






―きた、やっぱり怪しいと思ったんだここ!


今度の魚もあまり大きくはないようですが、さきほどの失敗を活かして慎重に巻いてきます。



…一応、フローターで使っていたネットも持ってきているし、ちっちゃいけど抜くよりは使ったほうがマシかな。

などと考えた途端、



…フルン





竿から重みが消えます。



―えっ!

また抜けた?嘘でしょう!?






…2連続バラシ。

さすがにがっくりと肩を落とします。

今度は慎重に巻きすぎたのが悪かったのか。

大きくないんだからさっさと巻いて寄せちゃったほうがよかったのだろうか。



グルグルと頭の中をいろんな考えがよぎりますが、しかし魚の活性が高いことは今ので間違いはないのでしょうから、

嘆いている時間があれば投げ続けたほうがよいと、僕にしては割と建設的なことを考えて、頭を切り替えると再び竿を手に取ります。


―怪しいのは奥、だけど何度も連続に投げたんじゃスレてしまうかもしれないから…

とりあえず背中側の何もないオープンな領域に数投して、一級と思われる場を温めなおしてみる作戦です。
 


特に期待もなく巻いていきますが、



…あれ?

バスがチェイスしてる。

ていうか結構デカくないか、あれ?


ゆっくりルアーに近づいていって、さて喰うのか見切るのか、


…などと思う間もなく、






…チュポン!




…喰ったぁ!




―トップで見えバスを掛けたときはアワセは遅すぎるくらいでちょうどいい、

…自分自身に言い聞かせながら、はやる心を抑えてフッキング!!










ゴン!!




…乗った!!

やった、デケェ!これは楽勝40アップ!




慎重に、慎重に、これはネットを使った方がいい。

身をかがめて、横目でネットの位置を確認します。


―もうちょい、あと50センチ寄せたら右手でロッドを手繰って同時に左手でネットをこう取って…




頭の中で5秒後の自分をシミュレートした瞬間、







…バシャア!!!!












…ウソ。





水面で頭を振ったバスからルアーが外れ、弧を描いていたロッドの軌跡が一直線に戻ります。






―ウソだろー!!!


(ウソだろー ウソだろー ウソだろー ウソだろー…)











…僕の魂の叫びがワンドにこだまします。





朝イチから3連続バラシなんて、人生で初めてのことかもしれません。


…いや、単に僕が覚えていないだけで、ひょっとしたら以前にも同じようなことがあったのかもしれないけれど、

初めてだろうが2回目だろうがショックなものはショックだし、「前にもあったよ」と言われたところでなんの慰めにもならないのでした。

まして、3本目は確実に40を超えた、今日の大会ルールならいわゆる「キッカー」の魚だったのです。



…ハァ。

やっちまった。


けんけんさんの、「数は出るけどサイズは出ない」というワードが頭の中をぐるぐると駆け巡ります。



あれは、きっと、今日イチの魚だったんじゃなかろうか。



…時間を確認すると、始まってまだ1時間も経っていない。

まっとうな思考力を持った人なら、「まだまだ始まったばかりだ」と、「俺たちの冒険はここからだ」と、なりそうなものなのですが、

なにしろ40アップを含むバラシを3連発して頭のイカレた僕はそんな正常な思考に至りません。




…終わった。

1時間もしないうちに、僕の大会が終わってしまった。


しばらく呆然と、竿を垂らしたままワンドの奥にたたずみます。

傍から見ればヘラの大会に参加していると勘違いされても仕方がありません。

視点すら合っていない眼差しながらも一点をひたすら見つめ続けるその表情から、もはやすべての感覚をウキと一体化させたヘラ仙人ではないかと、道行く人々に手を合わせられたとしてもやむをえません。




…しかしふと、素朴な疑問が頭をよぎります。





―なぜ、バレた?




寄せてくる途中、あるいは寄せ切った後で、

バスがちょっと抵抗したくらいで外れるということは、そうとう口の薄いところに掛かっていたに違いない。


…ちょっと抵抗したくらいでバラしてしまう自分の腕は置いておいたとして、考えられるのは、




―実は活性はそれほどでもない?





思い返してみると、トップ特有の「バシュッ」とか「バシャアッ」というような勢いのある出方ではなかった。

出たのか出てないのか分からないくらい控えめな、「チュポッ」というような出方とともに、気づけばルアーが消えているような状況だった。



…確認してみようと、ワンドを出て先ほどの岩盤に戻ります。

思い切って岸際まで近づいてみると、カバーが絡んだようなポイントのところどころに浮いているバスが目につきます。


―やっぱり、魚は浮いてるし、ちゃんと上は見てるんだろうな。



距離をとって、プロップペッパーを投げてみます。

しばらく我慢強く投げ続けると…、







…チュポン






出た!!







…けど、乗らないか。

やっぱり、フックのところまでしっかりアタックしてないってことなんだろうなぁ。


だとすると、今のままムキになってトップを投げ続けるのもどうかという気がしてきます。




…うーむ、と悩みながら岸に沿って投げ続けていくと、地形が変わりいつの間にかシャローエリアに入り込んでいました。




シャロー、どうせなら朝イチで入ってトップを撃ちたかった場所です。


…が、ぐっとこらえてここは地形に沿った釣りをしてみましょう。




沖にポジションをとり、岸際に向けてヘビーキャロライナを遠投します。

そのままズリズリと地形に沿って引いていくと…、





…ククン





…ん?これはアタリか?あるいはゴミか何かに引っかかったか…。


しかし、迷うことはないのです。

ゴミだろうがなんだろうが、とりあえずアワセてみることに何の不都合もないはずです。


余計なスラックを巻き取って、スイープにアワセてみます。




…グン!!







魚だ!



トップを諦めた瞬間に起死回生の一本!

僕の大会はまだ終わってなかった、むしろ冒険はこれからだ!!

















…くっ。





しかし、言いました。

過去の偉い人がこう言いました。




「一本は一本」と。







まずは、一本。

とりえあず、負の連鎖からは脱出できたんだから、よかったじゃないか。


―どうやら、やたらめったらトップで魚を探していくよりは、

ちゃんと地形を意識して、それにあわせた釣り方をしていく方がよさそうだ。



自分自身に言い聞かせて、次のポイントを探します。




オーバーハングが絡んだ岩盤。

岩盤に刻まれた水深の跡から、今はだいたい2mほどの減水と思われますが、

満水時にはカバーになっていたと思われる木々が、今は崖の途中に宙ぶらりんに生えています。



…あの隙間にヘビダンが入らないかな。


ということで、やや距離をとってヘビダンのタックルを手に取ります。



よーく隙間を狙って、慎重にキャスト。


コツンと岩盤にあたって跳ね返ったリグが着水すると同時に、



…ググッ!





―きたー!

2本目!


朝のバラシを挽回する、乾坤一擲の…、



















…クソッ…。













…時は幕末、討幕思想によって様々な若者たちに影響を与えた吉田松陰は、

しかし晩年は獄中にあり、それでも牢座敷からこんな言葉を残して果てたといわれています。







「BASS IS BASS」である、と。









…そうだ、バスの大きさにいちいち一喜一憂するのは浅ましいこと、

あるがままを受け入れればよいではないか。




意識高い系バサーとして生まれ変わった僕はさらに岩盤を先に進みます。




…別のワンド。


お、どうやら先客がいるようです。



使っているのは、どうやらスピニングでしょうか。

ラインの先に付いているのは、やはりというか、ノーシンカーのワッキーのようです。



…そう、たぶんそれが正解なんだろうなという気はしていました。

魚は浮いているわけですから、別にシンカーを付けて無理に落とす必要もないわけで、

表層から下を、あまり活性の高くない魚に対してノーシンカーでじっくりと誘っていくようなやり方が合っているのでしょう。



…時間は、いつの間にか11時を過ぎています。

今日の帰着は15時だから、あと4時間弱か…。


そう考えたとき、ふとある事実に気が付きました。



―あれ、そういえば大会ももう半分を過ぎたのに、始まってからここまで誰も他の参加者に会ってない。

開幕でみんなと逆方向に来てしまったけど、あるいは場所が悪いだけでみんなが行った方は爆釣だったりしないだろうか。




…そう考えると急に不安になってきます。


あるがままを受け入れよという意識高い系バサーに生まれ変わったはずの僕だったのでしたが、

船を反転させると、全速力でボート屋方面に引き返したのでした。








速力を落とさずボート屋を通り過ぎると、朝イチとは反対の筋に入っていきます。

どうせこのあたりはみんなに散々叩かれているのでしょうから、誰かを見かけるまではそのまま突き進んでいくことにします。



…さっきまでやっていた方面より人が多い。

道中、大会とは無関係の一般客バサーが目につきます。


どちらかというと、こちら方面の方が実績が高いのでしょうか。



…あ、バンさんだ。

自分のボートの後ろにもう一艘牽引したバンさんは遠目からでも目立ちます。


どうやらちょっとしたインレットのあたりでやっていたようです。

バンさんの後に入って釣れるとは思いませんが、バンさんが近くにいるということは、この周辺は釣れるということに違いない。


速力を落とし、目についた筋に入っていきます。



鬱蒼と木々が茂った筋の中に入ると、気温がぐっと下がったように感じます。

水温はわかりませんが、さっきまでやっていた場所よりは間違いなく条件はいいでしょう。



そう考えて、ひたすら岸際にヘビダンを落とし、ちょっとしたカバーには直リグを入れてどんどん進んでいきますが反応はありません。


…うーん、と思わず手を止めて空を見上げます。




…まぁ、反対側に来たから絶好調なんて甘いことを考えていたわけではないけれど…。

これでは目指せ100本夢のユートピアどころか、ひたすらいつもの関東ダムという感じです。


ただ、魚影はかなり濃いようで、思い切って岸際に近づいて水面を覗いてみると、カバーの近くに浮いている魚がかなり見受けられます。



―でも、喰わないんだなぁ。

コイツらを喰わせるにはどうしたらいいか…。


浮いていて、でも活性が低い魚をスピニングのノーシンカーでフィネスに釣るのがセオリーなら、

僕はどうやるのが正解なんだろう。





―ステルスペッパー、かなぁ。


表層直下をゆっくり巻いてこれるステルスペッパー。

これでスピニングのノーシンカーに対抗できるとは思えませんが、浮いている魚には思わぬ強さを見せることがあるルアーです。


岸際に投げながらさらに進んでいくと、不意に、









…ググン!







え?


あ、魚!?



ビックリした、釣れると思ってなかったから…?






…あれ?





…ロッドから既に重みはなくなっています。

どうやら、掛けたもののすぐ外れてしまったらしい。



―今のも油断してたなぁ。

やっぱり、今日の活性だとトップに限らずハードルアーは全体的に掛かりが浅くなっちゃうのかもしれない。



しかし、それでも掛けたというのは大きな情報です。

表層直下をゆっくり巻く、これでもう少し押し通してみることにしましょう。


もう、さっきのように油断はせず、一投一投に全神経を集中して…、





―あ、チェイス!



…しかし相変わらずやる気のない追い方だなぁ。

男ならガツンといかんかい!



そのままバスはフラフラとしながら喰うでもなく見切るでもなくボートの近くまで寄ってきましたが…、


スッとルアーに近づくと、






…チョン





―触った!




乗っ…






た?


乗った!




でもこれ絶対すぐバレるやつ!

急いでネットで…










あっぶね。


これも小さいけど、でも久しぶりのバス。




時間を見ると、13時。

このペースなら、15時までにあと一本取れるかどうか…。




…気温も、おそらく35度を超えているでしょう。

今が一番暑い時間帯です。


キャップをとって額の汗をぬぐって、しかし頑張ってやっていくしかありません。


一番悪い時間帯に一本取れたんだから、もう少し時間が進めばまた状況が変わってくるかもしれない。

そう信じて、最後の希望となったプロップペッパーを投げ続けます。



帰着時間も意識して、ボート屋方面に戻りながら投げていくと…、





―あ、Westさん。


…本日初の、大会参加者との会話です。


―どうですか、釣れてます?


West「僕マックス39です」


―あ、そうですか…。




…駆け引きも何もないストレートな回答。





West「ビジ夫さん今日やることないでしょ」


―…まぁ、はい。お察しの通りですよ。


West「やりながらビジ夫さん終わったわと思ってました」


―いや、一応、ね?盛り上がりもあったりなかったり…。




―…ていうか、朝イチにトップで3回バラしたんですよ。もうそれ取れなかった時点で終わってたみたいです。

West「ああ…、なるほど」


―さっきステルスペッパーで一本釣りましたけど、日が昇ってからは全然ダメですね。


West「もう2時だし、ちょっと早いけど僕は上がります」

―う、じゃあ、僕はどうしようか…。



時間ギリギリまでボート屋さん近辺で粘ろうかと思っていましたが、

Westさんの39というリアルな数字を聞いて、ポキンと心の折れた僕は、

あっさりとボート屋へ引き返すWestさんの後を追って、帰着となったのでした。






2018/7/8(日)

弱風
気温:28→35度
水温:??
アタリ:7
バラシ:4
ゲット:3


そして全員帰着後、結果発表。






バン「俺マックス54です」



―はぁ!?54??

…で、何本釣ったんですか。


バン「30くらいっすかね」





…。






…目指せ100本の夢のシャングリラはたしかにここに存在したのでした。

ただ、僕にはどうやらその楽園の住人となる資格はなかったようです。


聞けばやはりバンさんの釣果はすべてスピニングとのことで、だとするとどんな釣りだったのかは想像に難くありません。

また、今日は大規模なヘラの大会が開催されていたことで、普段は入れたポイントが今日は入れなかったり、

あるいは、人的プレッシャーが強まったりという影響があったかもしれませんが…。



…まぁ、言い訳だな。

何しろ30本釣ってる人が目の前にいるわけだし。





…さて、次に僕がここを訪れるのはいつになるかは分かりませんが、

その時は無事に住人として迎え入れられるように、今から作戦を練っておかないとダメかなぁ。


こうして、僕の甘すぎる夢の100本計画は、こうしてあっさりと打ち砕かれて露と消えたわけだったのでした。

 

 

 

West「無事二級免許とりましたよ」


―おお、おめでとうございます。やっとですね。




…といった会話を交わしたのが、たしか今年の1月末くらいのことで、


僕の釣り友達であるWestさんが将監川をホームリバー宣言したのが2016年のことだったと記憶していますから、

遅きに失した感がハンパないというのは置いておいて、ひとまず素直に祝福した僕だったのでした。



…これで、Westさんが将監川に行きたくなる都度、僕が駆り出されることもなくなるのか、と思えば謎の寂しさも沸いてこようというものですが、

「エレキを買うより前にやるべきことがあるでしょう」と常々言い続けていた立場としては、おめでとうございます以外に言うべき言葉が無かったのでした。





以前にも書いたような気がしますが、船舶免許を取得するメリットというのはバスボートのような大型のボートを操船できるというメリット以上に、10ftを超えるボートしか置いていないボート屋さんを利用できるようになるという面の方が大きく、

Westさんも船舶免許を取得したことで、今まで以上に色々なフィールドに繰り出すことができるようになったはずなのでした。


では、シーズンに入ったら、ちょっと変わったところでも行ってみましょうか、なんて会話をしていると、いつの間にか季節は進んで、暦は既に春です。



実は3月、4月とWestさんと数回釣行をご一緒させていただいていたのですが、何の盛り上がりもない単なる散策で終わってしまっていた僕は、

初バスが5月になってしまったというニワカバサーなりの危機感を覚えながら、5月6日にもWestさんと釣行の約束を交わしていたのでした。





West「そういえば、今年もWestカップをやろうと思ってまして」

―お、なるほど。いいですね。


West「6月を予定しているんで空けておいてください」

―了解です。


West「ビジ夫さんはエレキなしでカウントしておきましたから」

―あ、ありがとうございます。それで大丈夫…、









…ん?



ここで僕は重大なことをここに告白しなければなりません。

僕のブログのタイトルにもある「オカッパリで釣行」うんぬんという、

このタイトルを完全に無視した内容になってきているというのは別に今に始まったことではありませんが、

しかしそれにしても、僕は非常に重大なことを今この瞬間に告白しなければなりません。





…実はわたくし、ビジ夫ですが、1年以上前からマイエレキを所有していたのでした。


キッカケは、以前に僕が主催していた大会にもご参加いただいたことがある一人の釣り友達の方より、

新しいエレキを買うので古いのをあげますよ、というまことにありがたい申し出を受けたところから始まっていたのでして、

いやいや、そんな高いものいただけませんよ、いえいえ、知っている人に使ってもらう方がいいですから、

などという大人のやり取りを挟みつつ、ありがたく頂戴いたします、となったのが、実に2016年末のことだったのでした。





そう、実に1年以上、僕はマイエレキを有しながらこれを活用するということが無かったのでした。







…これには、せっかくご厚意でくださった友人に対して失礼千万だというご意見もありましょう。

あるいは、釣り歴10年近くして到来した新領域を切り開くチャンスをみすみす無為にしたのだと見る向きもありましょう。


種々のご批判は甘んじてお受けしますが、しかし僕はそれでも一言だけ言いたいのです。釈明をさせていただきたいのです。














―だって、怖かったんだもん。














…何を言ってるんだ、コイツは、と思われることでしょう。

もはや釣り歴も10年を数えるほどになった40近い大人が、何をのたまったのかと混乱されることでしょう。


それは僕も充分理解しています。承っております。

しかし、僕はもともと「フットコンエレキ」なる存在を、非常にハードな、高難易度のツールと捉えていたフシがあったのでして、

言わば、高いリターンを還元する代償として相応の技量を要求する、チューニングされたスポーツカーのような印象を持っていたのでして、

実はこの10年、フットコンエレキを操縦したことはおろか、まともに操作方法さえ知らなかったのでした。




要するに僕がレンタルボートに乗った経験とはすなわち全て他人の同船ということになるわけですが、

熟練の友人たちですら、あやうく立ち木に突っ込みそうになったり、座礁しかけたりなどという場面を目撃しているわけでして、

そんなものを自分自身が操縦するなど、あまつさえ有するなどということは、僕は露ほども考えたことはなかったのでした。



…しかし、思いがけず手に入ったエレキ、いつの日か自分自身で操船して初のエレキバスを釣ってみる、

そのことに思いを馳せ、わずかながら自分自身の超保守的な思考が変化してきたのがつい最近のことで、

冒頭のWestさんからのWestカップのお誘いにより、唐突に僕の決意は固まったのでした。




―…一人でボートを出して、エレキを操船して、バスを釣ってみよう。







もともとWestさんと釣行を約束していた5月6日は「マイエレキで一人でボートを出してみます」と告げ、

僕は今更ながら、マウントがどうの、デッキがどうのというフットコンエレキの基本的な知識を勉強し始めたのでした。







5月6日。

Westさんは同じく釣り友達の「リョウ」くんにも声をかけたようで、

Westさん操船のボートにはリョウくんが相乗り、

そして僕は初の一人乗船ということで、当日の段取りが決まったのでした。





Westさんとリョウくんはリョウくんの車に相乗りして現地に向かうとのことでしたので、僕はマイエレキを自分の車に積み込み、自分だけで同じボート屋さんに向かいます。

…よく考えるとこんなこと自体が初めてのことです。



将監川沿いのボート屋さんに到着した僕は、ボート屋さんのご主人に挨拶をし、

「ボート1台と、バッテリーを1個お願いします」と声をかけます。

…こんななんでもないようなことでも、若干声が上ずります。




「セッティングするならそこに車を付けちゃっていいよ」とご主人からありがたい申し出を受けますが、

なにしろセッティングの方法がわからない僕はこれを謹んで辞退します。


僕にセッティングの方法を教えてくれるはずのセッティング先生はいまだに到着していないようですが、僕は車の中でオニギリを頬張りながら待つこととします。



―とりあえず、今日はバスを釣るというよりは、とにかくWestさんに付いて回って操船方法を覚えることだ。


と、今日の優先順位を確認します。




しばらく操船すれば慣れてくるのかもしれませんが、油断したところで事故を起こしてしまうようでは本末転倒というものです。





ちょうどオニギリを食べ終わったころを見計らったように、リョウくんの車が駐車場に現れました。

―待ちかねましたよと、Westさんとリョウくんに挨拶をすると、会話もそこそこにさっそくエレキのセッティングに取り掛かることにします。





慣れない手つきでデッキを取り付け、エレキを固定するとおもむろにWestさんが話しかけてきます。


West「バッテリーのコードは両方同時に付けたら大変なことになりますよ」


―そうなんですか。



West「これ、フリじゃないですからね」



―…。



なんでわざわざこんな僕をビビらせるような言い方をするのか理解に苦しみますが、

言われたとおりにコードを片方ずつ順番に取り付ける僕です。



―あれ、ペダルになんかペコペコしたもの付いてますけど、これなんですか。

West「それがアクセルペダルですよ」



―え?これが?

West「アクセルペダルを踏みながらペダル全体を前に踏むと右に曲がります。後ろに踏むと左に曲がります」


―あ、そゆこと?そういう仕組みですか。

West「で、横のダイヤルが出力ですよ」





―…なるほど。

…こんな基本的なことすら知らなかった、というよりも、知ろうとしなかった僕です。

しかし、こんな複雑な操作をしながら、平然とみんな釣りをしているというのか。










 

軽く狼狽しながらどうにかこうにかエレキをセットすると、僕の狼狽を知ってか知らずかさっさと出船しようとするWestさん。




―あ、ちょっと、置いてかないで…

あわてて追いかけようとアクセルペダルを踏み込むと、




「ガックン!!!」



―ビクゥゥゥ!!!!







West「…出力が高すぎですよ。最初はちょびっとにしないと危ないですよ」


―そんなこと言われたって、最初なんですからわかりませんよ、

…と、軽く逆ギレをしつつダイヤルを弱い方に回します。




恐る恐るペダルを踏んでみると…






…おお、ガックンしないではないか。


それで?前に踏むと…、おお、なるほど。

んで後ろに踏むとこうなると、なるほどなるほど。





West「踏み続けるとエレキの先端の矢印が周り続けますから。後ろを向かせればバックですよ」


―そういうことですね。なるほどね。




ハンドコンのエレキなんてものは操作も直感的でわかりやすいものですが、足だけで操作をしようと思えば、一見複雑に思えてもこれが最適解の操作方法だということなんでしょうか。




…フムフムといろいろ試している間にいつの間にかWestさんは対岸に向かって発進しています。

慌てて追いかけて僕も対岸に到着すると、眼の前にはいきなり美味しそうなカバーが広がっています。





―ひとまずこの状態で釣りを試してみよう、

 

 

ということでおもむろに立ち上がります。





―…む、もうちょっと岸と平行にした方がいいかな?ちょびっとだけ回頭して…、


およ、行き過ぎたか、慣性がつくから早めにペダルを離さないといけないな。

こんなもんか、こんな感じにして…、




…おお、いいじゃないか、岸とピッタリ平行になった。



よし、これであの美味しそうなカバーを撃ってみようではないか、と思ったときにはその美味しそうなカバーはとうの昔に通り過ぎてしまっています。





…え、ちょっとこれ、操作に手(足)一杯で釣りするヒマないじゃん。

いや、もう、ひとまずボートポジションとか適当でもいいから、まずは釣りができる状態まで持っていこう。


あそこにカバーが見えてきたからピッチングで突っ込んで…、



…お、いい感じにポケットに入ったぞ。ボートが若干流されてるから少しラインスラックを多めにしておくか…。





…しかし、反応、なし。


リグを回収しようとふとボートの流れている方向を見ると、目の前には今にもぶつかりそうな距離に立ち木が生えています。





―おわっ!あぶねっ!!


…あわててボートを急旋回し、なんとか激突は免れました。








―ちょっとWestさん!!

West「なんですか」


―これ、操船に集中してたら釣りができないし、釣りに集中しようとすると操船できないじゃないですか。

West「僕も最初はそんな感じでしたよ。慣れです。慣れ」


―慣れたからってどうにかなるもんですか、これ。

West「僕らはエレキを動かすときに先端の矢印見ちゃうじゃないですか。上手い人は釣りしながら右足の感覚だけで思い通りに操船できるらしいですよ」


―えぇ…。

West「その域までがんばりましょう」





…そんなの、もう、いつになることやら見当もつきません。


やはり、フットコンエレキなんて上等の品は僕程度のニワカが手を出してよいものではなかったのだ。

僕みたいな便所コオロギは友達にペコペコ頭を下げて、ありがたくボートの隅に同船させてもらうのがふさわしい分際というものなのだ…。




…そんな卑屈なことを考えながら、それでもどうにかWestさんのボートを追いかけつつ、釣りを続けていきます。




Westさんのボートから付かず離れずの距離を保ちながら撃ち続けていると、不意にWestさんはボートの速度を上げ、岸際を離れました。



…どうやら、今いる場所を見切って先のポイントへ行くようです。

あらためて岸際を見ると、どうやら水深は10cmあるかないかという程度で、なるほど、どうやら浅すぎると判断したようです。



―たしかに、この水深じゃバスは付かないかな。

…そう思いながら、僕は目についたカバーにリグを放り込みます。


カバーというよりは、ちょっとした竹が覆いかぶさったレイダウンと呼ぶべきでしょうか。

リグは竹の中には入らず、枝にそってレイダウンの表側に着底します。






…コツン。







―…む?









…たまに、水中の立ち木なんかを撃とうとすると、リグが沈んでいく最中に水中の枝に触れて魚のアタリかと勘違いするようなこともありますが、

今のは完全に着底してからの反応。


つまり、まず魚に間違いない。





喰ってるのか、離したのか、ロッドからはその先の反応が伝わってきません。





…いや、きっと喰ったかもしれない。喰っているはず。喰ったに違いない!




確信というよりは希望を込めてラインスラックを巻取り、

思い切りフッキングします!













…ゴッ!!

 





―やっぱり喰ってやがった!乗ったぞ!!


何ヶ月ぶりの魚の感触だろうか、そんな思いがチラリと頭をよぎりますが、余裕こいて引きを堪能している間にバラシでもしたら僕はすぐさま将監川に入水して自殺でもするしかなくなってしまいます。




一発気合を入れて、ロッドのパワーに任せて思いっきりぶっこ抜き、ボートの中に引きずり込みます!!






















…ヨッシャーーーーーい!!











―いやー、今年の初バスのわりになかなか良いバスじゃないの、やせてるけど。

40…あるかな、無いかな?ちょっと足りないか?


メジャーメジャー、と…。







…あ。そうか。

いつもボートに乗る時は、同船させてもらう方のネットなりメジャーなりを当たり前に借りていたものなぁ。




自分で用意するという発想がなかった僕は、ナチュラルにメジャーを忘れてきてしまっています。




―自分で船を出すときには自分で持ってこないといけないのか。まったく頭に無かった。



…どうやら、自分でも無意識のうちにかなりの甘え根性が身にしみてしまっていたようです。

こりゃ初心に帰って、気を引き締めなければならんなぁ、なんてことを考えますが、

それはそれとして、この手に持ったバスはどうすべきでしょうか。





―40…、ギリ無いと思うけどなぁ。無いならリリースしちゃってもいいけど、実は40ありましたなんてことだと悔しいし…。







…うむ。



こういうことは後悔先に立たずと言います。

ひとまず全速力でWestさんを追いかけ、速やかに全長を計測し、さっとリリースする。

これでいきましょう。




…そう考えるが早いか、エレキの出力を最大にして一刻も早くWestさんのボートに追いつくべく、勢いよくペダルを踏んだ僕だったのでした。








…幸い、それほど離れていなかったWestさんに追いつくと、「すいませんがメジャー貸してくれませんか」と声をかけます。



West「…え?なんでですか?」



振り返るWestさんとリョウくん、そしてバスを掲げる僕の目が合います。


リョウ「うそぉ!マジですか?」

West「え、いつの間に?どこですか」



―さっき二人が素通りしたところですよ。レイダウンぽくなってるところにいました。


リョウ「ちょっとWestさん!!」

West「…あそこかぁ。浅いからいつもやらないんですよね」



―岸際じゃないですよ。ちょっと手前に引いたとこです。


West「僕と同船してたら釣れなかった魚ですねそれ」

―はい、そのとおりです。


West「クソー、何で釣ったんですか」

―直リグですね。


West「あ、それもしかして前に僕があげたやつじゃないですか!?」

―そうです。前にWestさんにもらったWestさんの自作のやつです。


West「ワームも!僕があげたやつ!」

―そうです。前にWestさんにもらった光太郎の新作のやつです。


West「結局全部僕があげたもので釣ってんじゃないですか!!」




…さも「自分が釣ったも同然だ」とでも言いたげなWestさんに、「腕の問題っす」とだけ告げて、借りたメジャートレイにバスを載せてみます。


リョウ「40ありそうですねそれ」

―いや、ギリないと思うんだけどね、…て、あれ?あるわ。


リョウ「41!」

―41だね、痩せてたからちょっと小さく感じたのかも。



…よかったよかった、わざわざ追いかけてきた甲斐があったわい、ということでバスをリリースします。

水面を跳ねて戻っていくバスを見送ると、さて、では続きをやっていくとしましょう。



先ほどと同じように、ちょっとした張り出したカバーの外側などに狙いをつけて、直リグを送り込んでいきます。

チラリと横を見ると、先を行くWestさんもリョウくんも、岸際に絞ってリグを投げている様子。


…今日は気温も25度以上になるみたいだし、巻くよりはこのまま撃っていったほうが釣れるかもしれない。

浅からず深すぎず、なるべく先ほど釣ったシチュエーションと似たような箇所を探して撃っていくと、


不意に




リョウ「きた!!」







―え、とWestさんのボートの方に視線を向けると、リョウくんのロッドが大きくしなっています。



…リョウくん、掛けたのか。あれ、結構大きいんじゃないのかな。





West「デカイ!これデカイ!」

リョウ「やった、よし、オッケーーーー!!!」





…どうやら無事にランディングできたようです。


近寄って、魚を覗いてみることにします。



West「45はあるんじゃない?」


リョウ「…いや、44ですね。でも、よかったー」



―いい魚じゃない、おめでとう。カバーの奥?

リョウ「奥でしたね」


West「結構手前で掛けてなかった?」

リョウ「いや、奥で掛けて、そのまま手前に走ってきたんですよ」




…なるほど。

さっきの僕の魚にしてもそうですが、どうやらかなり魚は岸際に寄っているらしい。

となれば、広範囲を巻いて探っていくよりも岸際に絞って撃っていったほうが結果が早そうです。




…日が昇り、かなり気温が上がってきました。

たしか、ボート屋に到着した時点で気温は13度だったはずですが、今はおそらく25度は超えているでしょう。


この朝昼の寒暖差はこの時期ならではという感じです。

僕は羽織っていた上着を脱いで片付けるとインナーの袖をまくり、黙々と岸を撃ち続けます。


ボートの操船にもだいぶ慣れて、ちょっとした角度の調整や撃っているリグの間隔に合わせたスピードの付け方もこなれてきた気がします。



…強い日差しが肌をチリチリと焼く感触が伝わってきて、ひょっとするとこれが今年最初の日焼けになるかもしれません。



そうこうしているうちにたどり着いたのは、一昨年の年末にバスを釣り上げたポイントです。

Westさんいわく、この一帯は他よりも水深が深くなっていて、巻きでの実績が多いんだそうです。


僕が釣ったのは真冬ですから、状況が同じとは思えませんが、一応、クランクを巻いてみることにします。

ボートを少しずつ流しながら、グリグリ、グリグリとやっていくと…、





…ゴッ!



―…うお、ほんとにきた!?


追いアワセを入れ、一気にボートに取込み…、







…フルン



―え、え?バレた?







…バレた!!!うおおおおおおおおおお、クッソー…!











がっくりと肩を落とします。

…掛かりが浅かったか、ひょっとしたらスレだったかもしれません。


あるいは、それほど強い引きではありませんでしたから、魚自体が小さくてしっかり喰っていなかったのかもしれない。




West「…バレました?」



…見ていたらしいWestさんが声をかけてきます。



―ました。…まぁ、ちっちゃかったと思います。たぶん。

West「ほら、ね?付くんですよ、ここは」


…たしかに、なんでか理由はわかりませんが、ここに魚が付くというのは確からしい。


てことは?別に巻物にこだわる必要はまったくないのではないか。

むしろ、キャロかなにかでじっくり探っていったほうが釣れるような気がします。

だって、魚がいることはわかっているのですから。



思いついた僕は撃ち者用のタックルを一つキャロライナに変更して、魚の反応があったあたりを探ってみることにします。



―…ん、どうやらシンカーがコツコツと何かに引っかかる。たぶん、木か何かが沈んでいるのかもしれない。





…しかし反応はありません。


―あれ?別に水中のストラクチャーに付いているというわけではないんだろうか。



…しつこく探ってみますが、まったく反応なし。





―うーん、まぁ、一回掛けちゃってるということもあるし、散っちゃったのかもしれない。

次に来ることでもあれば、また試してみることにしましょう。



そのポイントを離れます。






…さて、ここからどうすべきか。

このまま進んで行ってもいいけれど、帰りの時間を考えるとボチボチ引き返したほうが得策か。


いつの間にか周囲にWestさんの姿はなく、どうやらさらに先へ進んでいったようです。



一人では若干不安だし、追いかけるべきか…。





…いや、40にもなろうといういい大人が、若干不安だしも無いだろう。

さっき釣った場所に戻って、もうちょっとじっくりねっとりやってみようか。




ボートの出力をあげ、初バスを釣り上げた場所に一気に引き返します。

さきほどの直リグではなく、4インチセンコーのノーシンカーを使って試してみることにしましょう。


…着水に気を付けながら、静かにカバーの表にセンコーを落とし込んでいきます。









…むぅ。


反応は全くありません。





バスが付きやすい場所というわけではなく、さっきのは宝クジのような幸運だったということか。





一般論として、釣り上げたシチュエーションに拘りすぎるのは愚策と言います。

しかし、それを繰り返して釣れた時にはパターンだと言います。



…バス釣りは難しい。




時間も時間ですし、このポイントは諦めましょう。




こうなると、もう見当もつかない僕はタックルを巻物にチェンジします。



ステルスペッパー。

自分の中では春先に調子が良いルアーですが、これでボート屋さんまで巻き続けて、それで今日は終わりにしましょう。



適当に岸際に向けて投げ、グリグリと巻きながらボート屋さんへ向かっていきます。




ボート屋さんまであと100mちょっとでしょうか、ぼちぼちタックルを片付けて本格的に接岸の用意でもしようかというところ。

おそらく水深は50㎝程度のシャロー。


今までと同じようにステルスペッパーを岸際に投げ、グリグリと巻いてみたところ、





…ずむっ






…と、何やら重たい感触。

魚の反応ぽっくはないから、どうやらゴミでも引っかけたか。



ゴミごと引き寄せようとタックルを強引に寄せてみたところ、







…ギュン!!!









―え!?






…魚だ!!

瞬間的に追いアワセを入れ、魚とのやり取りに入ります。



しかし、







―あ、これ結構デカいわ。


一匹釣っていることで割と冷静になっている僕は、魚の引きからなんとなく大きさを予測します。




…45あるな、これ。





となれば絶対にバラすことはできない魚ですが、掛けたロッドは巻物用のMLでラインの太さは10ポンドです。


魚が抵抗している時には無理に巻かず、巻ける時には思い切って巻くメリハリファイトで寄せてきます。



―もうすぐランディングできる距離、普通の魚ならここから思いっきり突っ込んだりするから慎重に…、










…あれ?











何やら若干の違和感を覚えます。


この、何とも言えない「のぺっ」とした引き。



キミはもしや…。











…やがて水中から姿を現したのは、ヘビのようなトカゲのような…、












―ああ、やっぱりキミ(雷魚)か。









バスプロよろしく勇ましくハンドランディングでも決めようかという体勢だった僕は慌てて身を起こしてプライヤーを手に取ると、

四苦八苦しながらぬるぬる雷魚を触らないよう悪戦苦闘してリリースしたのでした。







2018/5/6(日)

弱風
気温:13→27度
水温:??
アタリ:2
バラシ:1
ゲット:1



という感じで僕の初エレキ釣行はオチがついたわけだったのでしたが、

しかし、いざ自分で操船してみると、今までわからかなかった、わかろうとしなかったことが体感できたのでした。


自分で操船するということは、やはりそれなりの苦労を伴うものであるということは間違いないわけですが、

巻物をやりたい、あるいは撃ちたいという自分のフィーリングに合わせて、ボートのポジション、ないしは速度を調節できるというのは大きなメリットです。


なにしろ、今までは船長のやりたい釣りに合わせた釣りをやらなければならないというジレンマがあったわけですが、

というか、僕はそのジレンマに気づきもせずに「ボート釣りとはそういうもの」という意味不明な思い込みがあったわけですが、

自分のやりたい釣りを、自分のやりたいタイミングでできる、という点だけ取ってみても、これは大きな違いと言えます。


今まではそれが当たり前だったわけですが、自分で操船してみて、それがディスアドバンテージだったということに今さらながら気が付いたわけだったのでした。


…とはいえ、同船者とのちょっとした会話もできない孤独感と差し引きで考えると、相乗りもまんざら悪いものではないという気もするわけです。


さて、お誘いを受けたWestさんの大会ですが、今まで通り相乗りをさせてもらうのか、それとも自分で操船して、初めて誰かを後ろに乗せてみるのか、

どちらにしようかと、うーむと悩んでいる今日この頃だったのでした。