ヴィジュアル系~シーン考察・能書き | にいちゃんのブログ~個人的耽美論~

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昔からヴィジュアル系(V系)は、大人にとっては子供に触れて欲しくないジャンルの代表格であった。

奇抜なヘアースタイル、メイク、衣装。
耳を裂くような激しいサウンド。
世間にケンカを売る様な背徳の歌詞。
ライヴハウスの外では誰かが暴れ、有頂天になったファンは失神。

良い子ちゃんであろうとすればするほど、反比例した意識がそのスリルに身を寄せる。

中でもほんの一握りの、演奏力やパフォーマンスに優れたバンドがインディーズ→メジャーの道を歩む事が出来たが、その先にあるモノは、決して華々しいモノとは限らない。



現実的な話ー


一般的にレコード会社は、シングルCDを制作するために原盤制作費および宣伝費などを含めて100万円前後の予算を組む(メジャー・レーベルによるフルアルバムの原盤制作ともなれば、1000万円以上)。
そしてシングルCDを一枚1000円から1500円で販売し、アルバムCDは3000円から4000円で販売し、費やした制作費を回収して利益を得るために大変な労力を割かねばならない。

要するに、お金が必要。 CDが売れなければ意味が無い。

V系衰退の原因は、まず資金不足。その原因は、実はファンによる所が大きい。

バンド、レーベル、または楽曲制作に時間と金銭を投資した関係者らの許可なく、音楽ファイルがネットにアップロードされてしまう事。
そしてネット上の多くのユーザーが、他のV系ファンへ音楽を無料でダウンロードさせることに誇りと喜びを持っており、さらに重要なことには、それが権利者(アーティスト、音楽プロダクション、レコードレーベル、著作権管理団体、撮影者など)の許諾なく行われているという事。
認知度は高くても資金が調達出来ないのであれば、活動を続けては行けない。

故に、メジャーデビュー後に生き残る為楽曲をPOP路線に移行したり、メンバーがタレント活動を始めて知名度を上げたり、いわゆる「一般化」する事を余儀なくされる事が多いと思われる。

2006年頃から使われ始めた「ネオ・ヴィジュアル系」と言う言葉。
その周辺の若手バンドは、自主制作CDおよびグッズならびにライブチケットなどの販売不振を補うため、インスタントカメラ・チェキで撮影したポラロイド写真を一枚1000円程度の売価で売り始めた。チェキ一枚にかかる製造原価は100円以下であり、単にレコード会社がCDを制作して販売するよりもよほど利益率のよいビジネスモデルを構築したといえる。需要と供給が一致した結果、ネオ・ヴィジュアル系バンドの物品販売ではCDよりもポラロイド写真のほうが売れるという状況(チェキ屋)が生み出された。

そしてV系の活動範囲は、専門媒体、専門レコード店、V箱(ぶいばこ)と呼ばれる専門ライブハウスなどでのムーブメントに終始する事が多く、狭く深い世界観を好む為一般の聴取者へと裾野を広げられるものではなかった。


「ルックスの良さがまず先にあって、ある意味でアイドル的な盛り上がり方に似ています。ライヴも、よりエンターテインメント性が強く、芝居の要素を取り入れるバンドも目立っていて、そんなライヴの雰囲気をファンは楽しんでいるようです」。      
ー 月刊誌『SHOXX』編集部

音については、ハードなものからキャッチーなものまで、一言では括れないほど細分化されていて、そんなサウンド面も重要な要素ではあるものの、ヴィジュアル的な点で気に入るかどうかの方がファンには重視されているらしい。   ーオリコンスタイル


と言う訳で、その道で生きて行くには恐ろしく鋭いイバラの道を通らなければならない。

今記述した事全てが額面通りの話では無いとして、要するに未来を見据えてどう音楽活動をして行くか、だと思う。

2014年現在、あの頃一際異彩を放ち、V系シーンのフロンティアとなったXのメンバーも50歳近い。勿論自分自身も年齢的な顔面の劣化には勝てないし、音楽で飯を喰うなんて忘却の彼方の話。

でも、いつか、もう一度、堂々とステージに立ちたい。

計画も何も無いが、前を向いた時点からスタートなのだから。