実家にいるパピヨンのメルの具合がよくない。

生理の血が止まらない。

ご飯が食べられない。

フラフラで歩けない。

もう14歳だもんね…。

覚悟はしないといけないけど、元気でいて欲しい。

子宮の癌じゃないかと獣医さんは言う。

摘出すれば出血は止まるけど、高齢なので手術中に死んでしまうこともある。

助かると信じて手術しても、癌が取り切れなかったり、転移してたら、術後、弱るだけ…。

若くて、体力があるなら手術しても助かるかもしれないけど…。

もし、手術が成功しても完全に治ることは難しそうだ。

命を賭けることはできない。

どうしてあげることもできない。

何をしてあげるのが一番いいの?

話すことができたらいいのにと思う。

食べれるものを好きなだけ食べさせてあげるか、撫でるしかできない。

心配させないように、できるだけ、いつも通りにしてあげないと。

だけど、メルのことを考えるだけで、暗い気持ちになる。

気付けば、泣いてる。


優しいこはるがなぐさめてくれた。

メルがいなくなっても、こはるがいるやん。メル、お空に行っても寂しくないで~。ママのじぃじとばぁばがいるでしょ?メルのこと、かわいがってくれてたんやったら、メルのお世話してくれるから、メル、大丈夫やでお~

「まだ、死んでないしぃぃ~ううっ...

泣き笑いでつっこみを入れてしまった。

確かに、こはるの言う通りだ。

きっと、メルはお空の上に行っても大丈夫だ。メルのことをちゃんと迎え入れてくれる人がいる。

だけど、メルとは14年の付き合いだ。

手のひらサイズの頃から、毎日、散歩に行ってたし、バッグや紙袋にも入るのが好きだから、そのまま、自転車のカゴに乗せてでかけたり、

先にお母さんにもなったし、

きっと、先に旅立つ。

実家を出てからは散歩に行ってない。

恨み言ひとつ言わないし。

いつも帰るときに、階段で見送りをしてくれる。

しんどい今でも、ジーーッと見つめて送ってくれる。

賢い子だから、きっと分かってくれてるのかな?

一緒に住めないわけ。

散歩に行けないわけ。

昔みたいに遊べないわけ。

前みたいにしてあげたいけど、ごめんね。

無理なんだよ。

ごめんね。

手を洗いなさい!」って言っても、聞かないこはるを牧羊犬みたいに吠えて追い立てて、怒ってくれるメル。

こはるには厳しいけど、ほんとはこはるのこと大好きなんだよね。

こはるが泣いたら、すっ飛んでくるもんね。

そのこはるが「メル、お空に行く」って言うんやで。怒って意地でも生きてよ!

また、代わりに怒ってよ。

帰りに見送ってよ。

まだ、早いって。

何もしてあげれなくて、ごめん。

今はできないけど、お空の上で再会したら、いっぱいいっぱい散歩しよう。

でも、まだ早いわ。

がんばって、食べて!

止血剤が効きますように。

これ以上、しんどくなりませんように。



今週の土曜日は幼稚園最後のこはるの運動会。

しんどいメルの横で、こはるは練習してるけど、眺めて見てるね。

うるさいやろうけど、いつもと一緒だよ。

もっと、一緒にいよう。

もっと、一緒にいたいよ。