誠に残念ながら、今回の東京都知事選の出馬を断念しました。


昨年(2011年)4月の東京都知事選敗北の直後、選挙事務所に、ご年配の女性から泣きながら「残念だ、次は期待している。私たち年寄りの生活を守って欲しい」と電話がかかってきたこと、選挙戦の街頭でシングルマザーの方が、小さな子どもの手を引きながら、「この子が、高校に行ける東京にして欲しい」と託されたこと、年老いたご夫婦から「年金がないんだ、何とか安心して年をとれる東京にしてくれないか」と手を握られ託されたこと、中小企業の経営者の方から「会社が来月どうなるかわからん、東京の景気をなんとかしてくれ。経営を知っているあんたにしかできん」と肩をたたかれたこと、そんなたくさんの事が頭から離れず、何とかもう一度挑戦すべきだという思いを持ち続けてきました。
前回の選挙は「3.11東日本大震災」があり、テレビ討論の場もなく、「東京都の未来をどうするのか?」といった議論も深まらなかったため、もう一度しっかり都民の皆様に「政治や行政に経営を持ち込む大切さ」を訴えたいという強い気持ちもありました。今回、突然の石原さんの辞職。それこそ、私にとって「想定外」でした。石原さんは4選出馬のとき、「4年はやる」とおっしゃっていました。
 もし、やめることがあるのなら、オリンピック誘致の結果が出て、都知事としての仕事にひと区切りをつけてからと、勝手に「想定」していました。それゆえに、現在から半年間は、フルにスケジュールを入れていました。なんとか、調整できないかと、検討を試みてみたのですが、この1週間位で、結論を出すことは不可能と判断しました。今、都知事選に出ることは、それこそたくさんの方とのお約束を「投げ出し」「無責任」に当たると考えたのです。
 来年1月には、バングラデシュにおいて、先生を教育するための小・中・高一貫校を開校する予定です。「公益財団法人School Aid Japan 」の事業で「学校法人郁文館夢学園 」が全面的に協力します。また、来年1月30日には「NPO法人みんなの夢をかなえる会 」共催の「みんなの夢AWARD3 」が開かれます。日本武道館に1万人の若者が集まります。ノーベル平和賞のムハマド・ユヌス氏とのコラボレーションでこのアワードを機会に日本中にソーシャルビジネスを広げて行こうと考えています。
 ワタミ 会長の仕事も2年半をイメージしていました。厳しい国内外食 の戦いあり、海外の本格的展開 あり、5,500人を超える老人ホーム御入居者様を守らせて頂く仕事高齢者の生活インフラとしてのお一人住まいの高齢者の方々にお弁当をまごころ込めて届けさせていただくこと あり、2020年ワタミグループで使うすべてのエネルギーを自然エネルギーへの風力発電プロジェクト あり、「TPP」に向けて日本最大規模の有機農業の持続可能なビジネスモデル確立の仕事 あり、この2年半で、もう一度決着をつけようと、全力で日々の仕事に取り組んでいました。

 これら様々な状況を考えた結果、残念ながら、今回の都知事選への出馬を断念することにしました。もう一度、28年半年前の創業の心に戻り、あるべき「モデルづくり」に専念したいと思います。「外食 」「介護 」「宅食 」「農業 」「環境・エネルギー事業 」「学校 」「病院 」そして「発展途上国の子どもたちへの支援 」「日本の若者の夢の応援 」「ソーシャルビジネスの育成 」「森づくり 」。今まで、心からやりたいと思い挑戦してきたことをより深く、より広く、磨き上げて、日本のモデルとしていくこと、それこそが今の私に出来る最大のありがとう集めであるという、認識に立ち返りました。大変申し訳ありませんが、前回、貴重な1票を頂いた101万3,132人の方々には、そのような形で恩返しをさせていただきたいと考えています。
 「今回の都知事選、期待しているよ」と、お声をかけて下さったたくさんの皆さまに心から感謝致します。お金の入るありがとうも、お金の入らないありがとうも、一生懸命全力で今日からまた集めて参りたいと思います。そしてこれからは、都政をしっかりと見守らせていただこうと思います。
今後ともご指導のほど、よろしくお願い致します。