筑波大学で過日

「映画文法」

なるものについて

文学博士で教授の
今泉容子さんのミニレクチャーで
初めて知ることが出来ました


その内容は
ほんのさわりとはいえ

映画の構成要素の分析
…物語のなかに観客を誘うための
映像的手法の解説で

話を聴いていた夫が
文学作品にも通じるようだと
話してみると
教授は

映画とはもともと
イギリス文学に影響を受けて
無声映画から発展し
今日の姿になったものなので
文学作品と同じであると仰いました


ところで
その事を知ってから
ヴェルディのオペラ
『イル・トロヴァトーレ』の
レオノーラの第一幕のアリア

静かな夜
Tacea la notte

を歌ってみると


侍女イネスに向かって
想いの人との出会いと
心情を伝えるために
この映画的な手法で
語っていることに気付きました


「静かな夜は、穏やかに
銀色に輝いた月は、喜び満たされた顔を向けていた.…」

こうして舞台となる場面の
詳しい描写から始まり
次第に彼女の見るものに
フォーカスされてゆきます



もちろん文学作品から
台本作家が台詞を書き
そこから生まれた
舞台芸術であるオペラは
映画とおなじで当然なのかもしれません


でも映画のように
クローズアップできない分

作曲家がどう声の調子で
心の高まりを表現し
全身の佇まいで
登場人物の心情を表現して欲しいかを
考える視点を持つと


映画的な手法を
そのままオペラで置き換えることは
演出の領域のようですが

もしかしたら
より歌が立体的に歌えるように
なるのかも知れません


少しまた
レオノーラに近づけそうです

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レオノーラでの舞台デビュー当時


ciz.