MOTHBALL「What a Wonderful World」 | Rotten Apple

Rotten Apple

"Rotten Apple"検索でgoo辞書に勝ちましたありがとうございます


[Japan,PianoPunk]

01.FlyAway
02.Mayday
03.343
04.It'll be OK
05.Sunset
06.Pianoman
07.Gloom
08.ROB
09.ASAYAKE
10.WWW


まだ10年代も半ばなのに00年代リバイバルは早すぎないかと思いつつ、これはそう呼ぶべき流れだろうなと。そして何故か日本のロックシーンでのみ起きているみたいだ。
思い返せばMAN WITH A MISSIONが古くさいミクスチャーサウンドをヒットチャートに持ってきたのが始まりだったのかもしれない。04 Limited Sazabysが今年出したアルバムもメロディック云々というよりはどちらかといえばELLEGARDENのアルバムに感触は近かったし、WANIMAMONGOL800の後継じゃないかという印象を持った。もっと言えばSEKAI NO OWARINicky Romeroを招いたEDMなドラゲナイから、Dan the Automatorを招いたGorillazのようなアンタイヒーローに時代を戻している。そしてこの流れを決定付けたのはMONOEYESの結成だろう。あの続きを彷彿とさせるサウンドはエルレ世代とthe HIATUS以降の世代をも巻き込み熱狂させている。
いくつか名前をあげたがその中でもキーとなるMAN WITH A MISSIONMONOEYESに共通するのは、00年代に活動していたバンドが形式を変え今再評価されているということ。00年代リバイバルというよりは00年代再評価の方が近いかもしれない。前置きが長くなった。

MOTHBALLは、"「Kフレア」「アイスG」という2体のエイリアンによる宇宙海賊チーム「MOTHBALL」が通りすがりの人間を利用して組んだバンド" として、メンバーの正体を明かさずに活動を開始した新バンド。いきなりネタバレで申し訳ないけれど (少し調べれば出てくるので)、MOTHBALLの正体は楠後譲柴山慧によるユニットで、柴山慧はsoulkidsのVo.としても知られている。前メンバーにはCAPTAIN HEDGE HOGKAZUO "0343"や、GOOFY'S HOLIDAY土佐優貴も在籍していて、MOTHBALLも先述した2組と同じく今までやってきたサウンドが、(マーケティング含め) このタイミングで注目されただけとも言える。とはいえこのアルバムがめちゃくちゃ良い。00年代をリアルに過ごした世代には懐かしく、若い世代には新鮮に聞こえるのかもしれない。

様々なジャンルを取り込みながらメロディックパンクとピアノサウンドをクロスオーバーさせた、誰々を彷彿とさせる美メロピアノパンク。
簡単に全体の流れを追えば、ゴッドタンの主題歌となった「FlyAway」~「Mayday」の疾走感溢れる序盤から、「It'll Be OK」はパワーポップ、「Sunset」はエレクトロポップ、「Pianoman」ではピアノエモと幅の広さも見せる。再びピアノパンクに戻った「ROB」、ストリングスを混ぜた日本語詩「ASAYAKE」、そしてハードコアなショートチューン「WWW」で幕を閉じる気持ちのいいアルバムだ。

青春時代を過ごした音楽に再びスポットが当たり、巡って、今の若い子達の青春の音楽になることを考えると何とも言えないうれしさが込み上げてくる。この流れは今後もっと大きくなるはず。ヒットチャートから少し離れたティーンエージャーのための音楽は、10数年経って聞いてもやっぱりかっこよかった。MOTHBALLMONOEYESが好きなら教えてあげたいバンドがいくらでもいる。めんどくさいかもしれないけど、こういうときくらい昔話するのを許してほしい。