(ANNnewsCH 4月15日)
今回の熊本大地震、政府が出した「屋内避難指示」に批判が出ている。
生命に関わるこの問題、本来ならば、きちんとした検証が必要なはずだが、「安倍様マスコミ」は、このままスルーするつもりだろう。
そこで、可能な限り検証をしてみたい。
■ 状況
14日 午後9時26分 1回目の震度7地震が発生
15日 午前 安倍晋三が「屋内避難所を確保する」よう指示
15日 午後 河野太郎が「目途が立った」と報告
16日 午前1時25分 2回目の震度7地震が発生
つまり、「大地震⇒屋内避難指示⇒大地震」ということになる。
地震で亡くなった48人 3分の2は下敷き
一連の地震で亡くなった48人について、NHKが発見された当時の状況を取材したところ、およそ3分の2にあたる30人が、建物の倒壊に巻き込まれ下敷きになっていたことが分かりました。
もし政府の指示によって屋内避難した結果、2回目の地震で建物の下敷きになって亡くなった方がいたとすれば、これは大問題だ。さらに1000名を超える負傷者についても、この点を明らかにする必要がある。
(日刊ゲンダイ 4月17日)
■ 机上の空論がトップダウン
報道を追っていくと、指示の内容が変わっている事が分かる。
安倍晋三
「屋内に避難所を確保する」(発表)
↓
河野太郎(防災担当大臣)
「屋外に避難されていた方を屋内に今晩までに収容するメドは立った」
↓
松本文明(現地対策本部長)
「今日中に青空避難所というのは解消してくれ」
↓
蒲島熊本県知事
「現場の気持ちが分かってない」
14日の大地震から、被災地では震度2~6の地震が頻発していた。その恐怖感はどれだけのものだろう。さすがの安倍様県知事でさえ反発するのは当然の事だ。
いくら翌日が大雨になるとはいえ、東京だけで考えた、まさに「机上の空論」、それがトップダウンしてくれば、現場としては、たまったもんじゃないだろう。
(産経新聞 4月15日)
■ なぜ屋内避難だったのか…?
安倍晋三の発表と、河野太郎の認識は大きく違う。
(安倍発表)屋内避難所の確保 ⇒ (河野認識)避難者の収容
この二人は官邸でサシで話をしている。それは、どんな内容だったのか…、河野のブログを見てみよう。
午前11時15分、(略)、総理からは屋外に避難している人を確実に今日中に屋内に収容せよという指示がありました。
これを読む限り、安倍晋三が「避難者を収容すること」を最優先に指示したことは明確だ。なんだか強制収容のような指示、マスコミ向けの発表は、それをソフト言い換えたのだろう。
「どうして『避難者の収容』が最優先なの…?」
考えられる理由はふたつ、で、そのひとつはこれ。
(毎日新聞 4月15日)
GW中の外遊やロシア訪問、さらに伊勢志摩サミットを控えて、安倍晋三はこうした状況を大きく報道されたくないのだろう。
その後のNHKニュースを見ても、報道されるのは支援の手が入って、整然としている避難所ばかり、本来の、もっと雑然とした避難所の光景は一切、見えてこない。政府への批判を抑えるための指示なのだろう。
そして、もうひとつはこれ。
(日テレ24 2015年11月8日)
これは昨年11月に行われた、伊方原発の非難訓練。
伊方原発で大地震が発生し、放射能漏れなどの過酷事故が発生した場合、安倍晋三は周辺住民に屋内退避命令を出すことになっている。
これを実践しようとしたのではないか…?
今回、安倍晋三は屋内避難指示を出し、住民を収容することで、原発事故が起きた時、屋内退避が可能だという、実績を作ろうと考えた、つまり、熊本大地震を「原発事故の避難シュミレーション」に利用しようとした、というワケだ。
そう考えると、河野太郎のブログにある「確実に、今日中に屋内に収容せよ」という、まるで強制収容のような指示の意味がよく分かってくる。
そう思うと、恐ろしい限りだ。
今回は蒲島知事が反発し、安倍晋三の目論見は失敗した。
蒲島知事の反発を抑えられなかった松本文明は、その責任を取って更迭、安倍晋三は仕返しとばかりに激甚災害指定を遅らせ、25日まで引っ張って、補欠選挙のアピールに利用したのだろう。
こう考えると、最初から被災者なんてまるで関係ナシ。熊本大地震を、とことん政治利用しようという魂胆しか見えてこない。
やはり自分の身は、自分でなんとかするしかないようだ。
日本政府の指示を、カンタンに信用してはいけない。
<おわり>