第7章4部
My promise ① 環34才、遼27才
<遼サイド>
母さんと葵が帰ってきた日は、僕は空港まで2人を迎えにいった。
帰りにスーパーに立ち寄って、食材を買って帰宅した。
3人で買い物なんてここ何年もしたことなくて・・・なんだか楽しかった。
母さんの手料理も久しぶりで、3人で囲む食卓は、父さんがいたころを思い起こさせた。
今回の僕のパリ行きを父さんなら何て言うだろうか・・・そんなことを考えた。
同時に・・・環のことを・・・父さんなら受け入れてくれるだろうかと、そんなことも考えた。僕は父さんに似ている。だから、父さんならきっと僕の気持ちを理解してくれるんじゃないかって・・・。
その夜は、結局環のところには行けず、電話で話すことしかできなかった。
次の日は、母さんと葵と三人で、父さんの墓参りに行って、帰りにイタリアンレストランで食事して帰ってきた。このお店は、環が教えてくれたんだ。
「このリストランテ、私大好きなの。お料理もおいしいし、雰囲気もいいから。気取ってなくて、あたたかい感じのするお店なの。」
初めて二人で食事したとき、環が少し照れながら教えてくれんだ。
「ほら・・・時々、おいしいもの食べないと、ね。いつも、わたしのお料理じゃ・・・遼に申し訳なくて・・・。」
「そんなことないよ。環の料理もおいしいよ。」
「無理しなくていいのよ、遼。」
そういって、すまなそうに僕をみた彼女がいとおしくて・・・。
今日は何とかして会いに行こう・・・そう思った。
でも、神様はそうそう簡単には環に会わせてくれないみたいだ。
リストランテで少し飲みすぎたのか・・・ご機嫌だった葵の様子が、帰りの車の中からおかしくなった。妙におとなしくなったといえばいいのかな。
マンションにかえって、母さんが入れてくれた紅茶をのみながら3人で話しているときに急に泣き出してしまった。
これには、僕も母さんも大パニックで、どうしていいかもわからず、とにかく彼女が落ちくつくまで待つしかなかった。