『いつの日か』733

<遼サイド>
 葵が落ち着くまで、僕はキッチンの片付けを手伝っていた。食洗機から食器を出してカップボードにしまって行く。母さんが何気ない質問を僕に投げてくる。
「会社の方には、みんなご挨拶したの、遼?」
「うん、終わったよ。やっぱり、凄くさみしいよ。
みんないい人ばっかりでさ、僕は恵まれているとおもったよ。」
「しばらくは、かえって来れないもんね。」
「でも、連携してやる仕事もあるからね、永遠の別れってわけじゃない。パリの赴任期間が終われば、かえってくるのは同じ部署だから、そうなれば、また一緒に仕事ができるんだ。」
「そうだわね。永遠の別れじゃないものね。」
母さんが、念を押すように反芻する。
「少しの間、離れるだけよね。」
「ああ、そうだね。」
僕と会話しているのに、母さんの視線は、葵の背中に注がれていた。


<つぶやき>
PC壊れて、大ピンチ!
キーボードが全く反応しなくなりました。
タッチパネルで打つのは、手間です。
白おおかみ