ウィリアム テンプソンです。


週一の靴磨きとして14足を適当磨きしたら、服全面がビッチョリになりました。靴磨きって暑くなりますよね。。ブログはサボっていますが靴磨きはしているんですよ。


さて、今回はチャーチ ディプロマットについてです!
ラスト173を用いたセミブローグのチャーチ ディプロマット

Church's        チャーチ
まず、チャーチは1873年にトーマス チャーチ等が靴の聖地であるイギリス ノーサンプトンで創業した老舗高級靴メーカーです(よく分からないけど)。

チャーチといえば007!なんてテンプレはあまり言いたくないですけど。とにかくファッションでも評判の高い大人気映画で採用される程の靴だという事ですよね。イコールして素晴らしいとはなりませんが( ˙-˙ )

81ラストを用いたスエード チャッカブーツのチャーチ ライダー3
Church's Rider Ⅲ

何はともあれ、元々左右対象だった靴を初めて右足左足の区別を付けた、というのは素晴らしいですね。


007といえば個人的にはクロケット&ジョーンズか先に持っていたライダー3なのですが、ディプロマットも使われてたのですね。007よりトムアダムス扮するチャールズバインが主役の殺しの免許証の方が好きなので知りませんでした。



チャーチに限らずですが、こいつもまた年々価格が高騰しています。
80年代は三万~四万という信じられない程の低価格、90年代から2000年頃までは五万円くらいになり、プラダ買収後に七万、八万とどんどん跳ね上がり、最近では十万前後となりました。。。

品質が上がっているのならまだしも、革質もステッチやウェルトのピッチも荒くなる一方で「質」重視の方には満足のいかない品かも知れません。それなら正直、三万か四万のリーガルかスコッチグレインを買う方が得策だと思います。


しかし!
チャーチにはチャーチの良さがちゃんとあるんですよ!
まぁそれはディプロマットを見ながら話していきます。まずは木型、ラストの話からです!


チャーチ 73 , 100 , 173 ラスト

ラストは173です。


1940年代に登場した廃盤の73ラスト、、
こちらは73ラストを用いた三都市モデルの旧チャーチ コンサルです。
Church's Consul


こちらも73ラストの旧チャーチ、クロムウェルです。
Church's Cromwell


どちらも爪先の形はラウンドとスクエアの中間的なセミスクエアトゥ。しかし旧チャーチの73ラストの方がウエストの絞りは控え目な感じに思えます。
そしてヒールは大きく爪先の捨て寸が少なめ、甲やボール部は大きいので、良くも悪くもバランスが悪い感じがします。
奥が73ラストのコンサル、手前が173のディプロマットです。173のくびれはかなりありますね。


こちらは2000年に登場した100ラストのバーロウ。Church's Barlow
クラシックな73ラストの後継型。最初は知らずに買いましたが、確かに173っぽいなと思いました。ただ爪先は丸っぽいですね。
なんというか、ラストは173で穴飾りの大きめな所やダブルソールな所から、バーウッドとチェットウィンドの融合型、と思い込んでいました。正しかった様です。

若者受けを狙い、ボリューミーな丸い爪先にしたそうです。


100ラストは73の逆を行くパンキーな木型です。
甲は薄くボール部はシュッと細身、それでいて捨て寸はゆったりとしておりウエストの絞りもかなり控え目です。なのにヒールはまあまあ大きめです。

これまた良くも悪くもバランスが悪い感じです。。


クラシックな73ラスト、モダンな100ラスト、これらを融合したのが両方を加算した173ラストとなる訳です。
甲が高すぎたり低すぎる、捨て寸が無さすぎたりありすぎる、ウィズが広すぎたり細すぎる等の極端な部分をプラマイゼロにし、更にウエストを絞りヒールカップを小さくする事でデザインを洗礼しているのが173ですね!


左から173ディプロマット、100バーロウ、73コンサルです。
確かに爪先が角張って甲がガッチリとした73に対して、100は爪先が丸っぽく甲が低め細身です。
173がその融合型と言うのは、正しいですね。



さて、それでは早速ディプロマットにクローズアップしていきましょう!

Church's DIPLOMAT
                チャーチ ディプロマット
DIPLOMATは英語で外交官という意味となります。外交官がよくセミブローグの靴を履いていたのが由来だそうです。
1945年に登場してから未だに現行モデルとしてのうのうと世を渡り歩いているのです。


スコッチグレインのインペリアルⅢもこの様な「ザ・セミブローグ」という感じのデザインですが、あれよりは全体的に丸みを帯びたフォルムで甲は低く、ウエストが絞られています。それはまぁラストの話ですが、デザイン的にはキャップが小さめでレースステイ(羽根の部分)も短く、野暮ったい雰囲気はありません。逆にキャップが小さすぎて寸胴な、これまたそっくりさんのエドワードグリーンのカドガンとは違い、黄金比を分かっているという感じです。

とはいえ個人的にはどのセミブローグも好きなので、こちらの黒のチャーチ ディプロマットに加え、焦げ茶のスコッチグレイン インペリアル3、赤茶のエドワードグリーン カドガンを集めたいです。

履き心地的には、エドワードグリーンがピカイチですがね。。立体感があります。
スコッチグレインは芯がないというか、爪先と踵に頼りすぎている感じですね。その点はチャーチも同じです。


クロケット&ジョーンズ ハンドグレードライン ウェルベック ラスト337
セミブローグは他にクロケット&ジョーンズ ウェルベックやスコッチグレイン オデッサⅡ、E.T.Wrightを持っていますが、ウェルベックとオデッサⅡはラストがもっとスタイリッシュでキザっぽく、E.T.Wrightはボッテリしていてカジュアルすぎる。。これらの中間で使いやすいのが例のインペリアルⅢとカドガン、そしてディプロマットなんですよ。
スコッチグレイン オデッサⅡ


その三つの中でもやはり一番はディプロマット!

このくびれが堪りませんね!!

カドガンもインペリアルⅢもこういうベヴェルドウエスト的な極端なくびれではなく、自然的なくびれがあります。

SNSでよく見かける、靴や靴の艶をすぐエロティックに表現する奇妙なフェチは非常に苦手ですが、それでいうならばインペリアルⅢはがたいの良い男性、カドガンはふくよかな女性、そしてディプロマットはボンキュッボンな女性モデルですね。
パーフォレーションはチャーチ特有の物。大きめの親穴で、穴同士の感覚が狭いやつです。


サイドです。

ラストが多少は現代風(爪先がセミスクエア、捨て寸が大きめ、ウエストが絞ってある、甲が低め、ヒールが小さめ等)ではありますが、この超普遍的でクラシカルな、ある意味洗礼されているセミブローグのデザインのお陰で、英国靴らしさがかなり出ています。

こちらは内側。とても綺麗です。

ヒールはこんなです。
カドガン、インペリアルⅢと明らかに違う部分がこちらですね。(カドガンはメダリオンが違いますが、、)

カドガンはトップラインまでパーフォレーションが延びており、インペリアルⅢはドッグテイルっぽいデザインとなっています。チャーチはだいたいこの形ですね。宮殿のカーテンみたいな感じです。


メダリオンはリーガルやオールデン、トリッカーズ等でも使われているデザインですね。
革はネバダカーフと呼ばれるチャーチ特有の革です。

コッテリと安っぽい顔料染めではなく、透き通った染料染めの革なので見た目は美しいです。
そして質ですが、一昔前に比べて良くなってきている気がします。履き皺は光の関係で深く見えますが、実際は普通で、別に気になりません。

とはいえこちら、実は私がウォルナットだったのを黒く染めてしまったので、染料染めなのは当然なのですが。。
どのみちチャーチの革は染料染めです。
チャーチにはポリッシュドバインダーカーフだとかブックバインダーカーフという、簡単に言うとガラスレザーの物があるので、それにはお気を付け下さい。

味なんて殆ど楽しめませんよ。


革質は同じデザインでも物によって全く異なるので、もし今回のこの記事を参考にしてくださっている方々が「現行チャーチ ディプロマット=全てがこんな革」みたいな勘違いをされると困ります。
私物の現行チャーチを参考に、見てみましょう。


こちらはウイングチップのチャーチ チェットウィンドのウォルナットです。ちなみにLONDON PARIS NEWYORK MILAN TOKYO と記載された最新の5都市モデルですが、東京があるかないかで革の変化も作りの変化もラストの変化も何も御座いません。

2013年に表参道にチャーチの直営店がオープンしたのに対して追加されたという事だけです。
脱線しました。革はそんなに悪くはありません。まあ9万もする靴なので、悪い方がおかしいのですがね。

こちらもウィングチップのチャーチ チェットウィンドのエボニーです。
左足の革は良さげですが、右足の革は最悪です。ABCマートの靴の革の方が良いです。それでもこちらは私の大のお気に入りですが、靴職人が悪いのかウォルナットの方と比べて革はもちろん、ステッチやパーフォレーション、ピンキングやウェルト等がよろしくないですね。

ただ、ネバダカーフ特有のヌラッとしたコードバンのカーフ版みたいな艶は健在、というか十分に発揮されています。


こちらはディプロマットです。

まだあまり磨いていないのでそのヌラヌラ感は少な目ですが、その要素は感じられますね。


ちなみにこちら、インソックに「Custom Grade」の表記はなく、代わりに「Heritage COLLECTION」とあります。

ヘリテージ コレクションと言い、これはチャーチがアメリカ市場に向けて販売する為に数年前まで生産していた物なのだとか。実際、名前もDiplomatではなくHighgroveというモデル名です。

こちらが通常のカスタム グレード。
この文字、すぐ消えるから嫌なんですよね。。
せっかくチャーチを履くのだから、残しておきたいです。。


ちなみにヘリテージコレクションとカスタムグレードには大きな違いは無く、ネーム、インソック、ソールの三点のみとなります。
分かりづらいですが、半カラス仕上げ的な、色が前半部と後半部でコンビになっているのです。

簡単に言うとこんな感じです。
分かりましたか?
これがまたヘリテージコレクションの特徴らしく、日本未発売の物なので貴重なのだとか。お陰でソールの色を赤く出来ません。。まぁチャーチをチャーチとして見るならば、余計な事はせずにオリジナルで楽しみたいですよね。

それにしてもウエストの絞りがとても良いです。


オリジナルなんて言いましたが。。
先程も申した通り、元々はウォルナットでした。。けっこう綺麗な色ですよね。ただどうもこの色味とセミブローグが合わないと思い、黒くしてしまいました。


履き心地

とりあえずはディプロマット云々より、チャーチのラスト173全般で語ります。

履き心地はまあまあ。サイズはUK6.0F、24.5cmですね。スニーカーサイズは26.5cmなので、かなり大きめな作りとなっています。でもまあなかなかタイトに攻めていますので、目安としてはスニーカーサイズ(実寸)より1.5cmを引いた数にすると良いでしょう。6.5でも問題ありませんでした。しかし、7.0だとかなり大きく感じます。これが旧チャーチやラスト100等になるとまた多少変わりますので、あくまでも173と覚えておいて下さい。

靴としては固めではありますが、リーガルよりはましです。
ウエストの絞りはロングカウンターではないので柔らかいですが、優しい感じですね。
ヒールは少し大きめ、甲は普通くらいなので閉じはしない、かもしれません。
捨て寸はありますので爪先の圧迫感はありません。クッション性はほぼ無いです。ソールは、安定はしますがトップリフトの化粧釘が滑ります。
セミブローグなので、フルブローグやプレーントゥ等に比べて指付近に負担が掛かります。靴擦れ覚悟です。



脱線しまくって長くなりましたが、ディプロマットはとにかく良い靴です。
品があり、何かと合わせやすいのでおすすめですよ!

また、チャーチ好きになるなら、三大四天王(日本語を理解していない)のコンサル、ディプロマット、チェットウィンドは揃えるべきです!
色やデザインで何にでも合わせられます。
コンサルは黒のみでフォーマルやビジネス。
ディプロマットは黒や焦茶でビジネスやカジュアル。
チェットウィンドは黒や焦茶や茶色でビジネスやカジュアルに応用できます。
雨の日用には黒や焦茶のグラフトンやシャノン、冬には茶のライダーⅢという手もありますから、9~10足程度で全てが揃いますよ。


私もチャーチが七足となりました。
上段の左から、
旧チャーチ 73ラスト コンサル
チャーチ 173ラスト ディプロマット
チャーチ 173ラスト チェットウィンド
チャーチ 173ラスト チェットウィンド
下段の左から、
チャーチ 100ラスト バーロウ
旧チャーチ 73ラスト クロムウェル
チャーチ 81ラスト ライダーⅢ
となります。
上記の通り、カジュアルからビジネス、フォーマルまで揃えました。ただやはりチャーチ好きとしてエボニーのディプロマット、ブラックのチェットウィンド、雨の日用にブラックのシャノンかバーウッドかグラフトンが欲しいですね!


動画  靴磨きの基本 フルメンテナンス 道具紹介

動画 フルメンテナンス ケア編

動画 フルメンテナンス ポリッシュ編



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