ウィリアムテンプソンです。
お久し振りですね。ブログはなんと9ヶ月振りの更新となります。今まで二日に一回投稿していたのが嘘の様です。
お陰様で大塚家具のベッドはとても良く、寝てばかりの生活です。夏だから海島綿のガーゼケットを買おうとしたら売り切れでした。残念。
ところで今回、突然ブログを書いたのも理由があります。
久々に良い技を思い付きました。YouTubeの方でアップしましたが、単刀直入に【曇ったガラスレザーをコンパウンドで研く】という物です。
鏡面磨きの技はよく思い付きましたが、その他ケアの殆どは皆さんと同じやり方です。それは確かに綺麗には磨けますが探求心の強い私にとっては真似事みたいで燃えないのです。その点鏡面のコンパウンド磨きは燃えました。
しかも今回、その鏡面磨きの技としてやるコンパウンド磨きをガラスレザーに転用出来たというのが嬉しいのです。
その嬉しさと、この素晴らしき功績を文字に残したい一心で久々の更新をするに至った訳です。
動作などについては動画の方が見やすいかもしれません。
上がアフター、下がビフォー。
サムネイルだけでかなりの違いが分かるかと思います。
この中古で4000円弱と、安価で購入したリーガル2589Nですが、劣悪とまでは言えませんがかなりの使用感がある状態でした。
このブログの記事でも何故か人気の「リーガル2589をとことん愛す」みたいな変な記事の方はサイズが大きすぎて泣く泣く手放しました。同じ靴に27000円を払う気にはなれず、しかしロングウィングチップ嫌いの私が何故かこの靴を欲するという不可解な衝動を発動させ、定番品で出品が多かったので安めで状態の悪くなさそうな物を購入しました。
その中で最初、似たようなロングウィングの物がリーガル インペリアルというので気の迷いで買ってみたら、韓国の偽リーガル「金剛製靴(クムガン ジェファ)」というクソ靴で、コピー品と気付いた直後に撮影した怒り動画もアップしています。
そんなこんなを経て本家リーガルの2589N、サイズはピッタリの物を購入しました。
届いた時は、傷は少ないですがかなり曇った印象で本当にガラスレザーか疑ったほどです。
水洗い後に様子を見ようとしましたが、それでもやはり相当曇っていたので何か良い方法はないかと模索していたら突然ピンと来ました。
「そうだ、コンパウンドで削ってみよう!」
もともとガラスレザーを紙ヤスリで削った事はあるのですが、それはガラスレザーの樹脂を破壊する為に行った物で、見事に失敗しました。
毛羽立ちはしますが磨けば光ります。しかし水に弱く、それでいてガラスレザー感もあるので最低となりました。
その経験を活かし、上手く行くかどうかはやってみないと分からないですが、強く擦らないようにという事だけを意識していました。
用意するコンパウンドはこの三つ。
上から、10000番の一般的な仕上げ目であろう今回の粗め。
真ん中が、モノタロウのダイヤモンドコンパウンド 60000番。
下が、モノタロウで買えるどこかの100000番ダイヤモンドコンパウンドの仕上げ目。
ただ所有するコンパウンドを適当に選んだだけなのでもっと適した良い物があるかもしれませんが、とりあえず今回はこれらを使います。
まずはネル布に粗めを気持ち多目に取ります。
あ、拭き取りは乾燥しない様に早めに行ってください。
次は馴染みのないダイヤモンド コンパウンド 60000番を使います。
量はこのくらいが丁度良いです。注射器型なので、何か変なのを押して出したあとは、何か変なのを引けば後から出てこなくなります(放置すると徐々に出てきてしまう)。
同じ様にちょんちょんと塗っていき、伸ばします。
といってもコンパウンドが鏡面磨きでお馴染みの100000番になっただけで、やり方は繰り返すだけです。
同じ様に置いていき、伸ばす。10000番よりは滑るのでやりやすいかと思います。
100000番なら爪先や羽根、ヒールや履きジワ部分の目立つ箇所を少し強めにやっても滑るし粒子も細かいので、気になる点を攻撃するのに向いているかもしれません。
とりあえず拭き取りました。あと馬毛。
ここでもう一手間。
最後に山羊毛でやるとスゴく光ります。
工程は以上です。片足30分前後、両足で約一時間は掛かると見込んだ方が良いかもしれません。意外と時間取られます。
ここからのケアは普段のメンテナンスと変わりません。
いかがでしたでしょうか。ガラスレザーの表面は樹脂ですが、コンパウンドで研磨するだけで「元の艶」がこれ程までに増します。
クレムやワックスでの艶出しは表面にロウを乗せて凹凸を埋める(谷を埋める)という原理ですが、コンパウンド磨きならば表面の研磨による凹凸の除去(山を削る)となるので劣化以外で艶が落ちる事はありません。
谷埋めの場合は表面上の艶のみですが、山削りの艶は奥から底光りする迫力のある光り方をします。
ガラスレザーは履いている内にどうしても曇り始めてしまう為、長年愛用しているガラスレザーの靴などがあれば是非お試しください。
しかしこれは研磨なので頻繁にやってしまったり、ピカールやコンパウンドの粗目等の粒子の粗い研磨剤で研いてしまったり、強く擦りすぎたりすると更なる曇りの原因となってしまう為、数年に一度もしくは酷い曇りが表れた時、今回の様な中古靴を買われた際に行う事をおすすめ致します。
よくガラスレザーは味が出ないと言いますが、いや確実に出ます。ケアされ続けたガラスレザーの靴はコードバンとは違うギラ付きを放ち始めます。私はガラスレザーは好きではありませんが、ガラスレザーの靴と向き合うとしたらそれはそれで楽しむべきだと思います。
今回の2589Nもそうです。
好きになった靴がガラスレザーでしかもロングウィングチップだったというだけ。【リーガル 2589N】が好きなのです。事実リーガル インペリアルのW105は苦手でした。殆ど同じ、それどころかアチラの方が41000円もする格上です。
これが例えコードバンのオールデン975であろうと、フローシャイムの60年代のケンムールだろうと、私はそそられません。
ロングウィングはリーガル 2589Nだけにそそられるのです。
なら尚更なぜ偽リーガルに手を出したのか?、、それは一時の迷いです。。許してください。。
ドレッシーな靴ばかりになっていたので、ライダースなんかに合わせられそうなこのアメリカンなディテールのロングウィングは一足くらいあっても良さそうですし、今後このガラスレザーのコンパウンド磨きがどう変化していくかの経過も見ていきたいので、ガシガシ履きます。
それでは。