ブログ最終日に、これだけはもう一度お伝えしておきます。

 

経済産業省の和装振興協議会でのテーマであった

 

「高付加価値のこだわり製品としてのきもの 」の消費者の動向

 

 

朝香沙都子が意見として具申したのは、

 

<高付加価値の製品を購入する消費者が売り手に求めるもの>

 

高付加価値なものになるには、そこに理由があるはず。

素材、技術、加飾表現の手間隙や稀少価値など。

 

•売り文句と商品があっているかいないか

商品と売り文句が違っていれば、その商品そのものに問題はなくても、消費者にとっては偽物となってしまうこともあります。

例)締機で織られた宮古上布らしい宮古上布を重要無形文化財として売っている呉服屋さんが多いですが、宮古上布の重要無形文化財の指定条件は、絣模様は緯絣のみであっても、手結い、手括りのみとされています。そして織歴が30年以上で宮古上布保持団体に入っている人が織ったもののみです。結城紬には重要無形文化財の証紙がありますが、宮古上布には重要無形文化財の証紙がありません。なのでわかりにくご存知ない着物業界の方も多いです。宮古上布の経済産業省の伝統的工芸品の指定条件の絣模様は、締機であっても、手結いであっても手括りであっても経緯糸の絣。これには伝産マークの証紙がつきます。

重要無形文化財も伝統的工芸品もどちらが良いものであるとか貴重であるとかの問題ではなく、文化財保護法に基づいて指定されたもの、伝産法に基づいて指定されたものの違いです。ですがそれに付加価値をつけて売るならば、その売り文句は正確であることが求められます。
 
•本物か偽物かではなく、売り手がその違いをきちんと把握し消費者に伝えることができているのか?
きものはファッションで、その人の感性で着るものだから、素材や技法のスペックにこだわるのは愚かとか、染織について突き詰めると肝心なものがみえなくなるとか…。着物業界の方の中でそうしたご意見があることは知っていますが、本当に感性だけで選ぶことを良しと思っているなら、ただのファブリックとして売ればいいわけで、そこに産地や作家名などは必要なのでしょうか、重要無形文化財や伝統的工芸品など付加価値をつけて売ることはどうなのでしょう。

 

 

<きものを購入する消費者の拡大に必要なもの>

 

•素材、技法、加飾表現、生産地の正確なスペック表示

※言い忘れたのですが、製造年も表示すべき

 

国産や産地、技法を高付加価値として強調するなら、正しくあるべきです。

糸、織り、染料は、着心地とメンテナンスに影響します。

 

糸 (国産かそれ以外か、生繭か乾繭か、手引きの座繰りか機械繰糸か、など)

染料 (草木染め、化学染料、大まかな比率)

絣(手括り、締機、捺染、など)

織機 (手織り、足踏み織機、高機、いざり機、力織機、など)

 

これらは価格に反映しますので、こういったスペック表示があることが望ましいと思っています。



•既存の季節の着用ルールの撤廃

着慣れている人は自由にできるのですが、真面目ゆえに慣例に従って我慢…という方もいらっしゃるので、日常では洋服と同じように慣例がなくても良いのではないかと考えています。そもそも日本列島は北から南まで長く気温も全く違いますし、5月は寒い日も暑い日もあります。

なので、着慣れていたら5月は単衣…とかじゃなくて、袷でもちろんいいのですけれど、単衣でも薄物でも、気温と体感に合わせて無理せず、人それぞれ自由でいいのではないのでしょうかということです。

 

暦というのは確かにわかりやすい。でもそのわかりやすさに寄りかかって、きものも衣類であり身体を守るものであるという大切なことを見失っているように感じています。暦やマニュアルに縛られて着物を着ることを諦めてしまうのが勿体無いと考えているのです。

 

 

 

最後に、

 

消費者として、職人こそが酬われるようになってほしい…、と願っております。