この2週間謎の体調不良に翻弄されてきて、金曜の夜が最悪だったので、もうこれは無理かなと思ってました。

 

しかしどうしたことか、日曜の朝になったらけっこうな寝不足なのに体調は一応安定し、

 

 

そのまま新幹線で仙台へGO。

 

 





 

無事10–BOXに着きました。


大阪は真っ赤で舞台の高さがかなりあって、BGMが強烈だった印象ですが、せんだい演劇工房10–BOXは外が真っ黒で(グレイッシュ?)、舞台は青っぽかった。

 

 

往きは不安だったのでとにかく乗車時間が短く済む方を選び(こまち号ータクシー)

還りは元気が出たのか、徒歩ーバスー(降りそびれて)-仙台地下鉄–やまびこというフルコース。

 

いやなに田舎は新幹線の本数も少ないので、どのみち帰宅時間は同じくらいってこともあります。

 

 

大阪は通し券を買っても見られない作品もあったのですが、仙台は通し券で全7作品見られてよかった。遠方から行くものには切実です。

 

私はチケット予約はなる早ですが、かといって予習するわけでなく、いきなり現場でこんな作品だったかという感じです。劇団名や作品名からネットで検索っていつも見たあとです。ポリシーがあるわけではないのですが…。

 

a ニライカナイの風 井伏銀太郎さんの存在感が大きかった。灯籠流しと訛りから東日本大震災の数年後の物語と次第にわかってくる。

ひとりで絵付をしながら大津波に呑まれてしまった妻に語りかける。訥々とした口調の中に時にユーモアがあり、じつに魅力的な人物だと感じる。亡き妻が勤め先の屋上で海を眺めながらお昼を食べるのが好きだったという、ほほえましさと痛ましさの入り混じったエピソード。震災後痩せこけてもどってきたサスケ(猫)。

沖縄の花ハイビスカスを描いた面を見せて、妻が暖かい沖縄の海へ流されているのではないか、と語る場面がことに切なかった。

 

c 問答姫 中村輝×日本人 盛岡の「いわてアートサポートセンター」風のアトリエで中村さんの「問答姫」も他の方の「問答姫」も見ているのだが、いわゆるハコが違うとすべてが変わることに気づかされた。

 

 あの凝った照明セットを、また違うかたちの照明に替えて、全体として物語の骨格が浮かび上がったように感じた。何度も見ているのに、今回はじめて姫に逢いに行った青年僧(色好みであり学才もあるようだ)が坊主頭も伸びかけて無精ひげも生えていたということを知った。いままでなにを聞いていたのか。いや聞いていると同時に見ていたわけで、薄暗がりの中にぼうっと浮かび上がる物語には耽美なものしか見えなかったというか…。

今回はじめて、「問答姫」に生きろ、という力強いメッセージを感じた。両腕を天へ拡げた姫に哀切さより、蘇生を連想したのである。

 

f いし 渡辺睦×X梨ライヒ×渡辺陽  盛岡では「クローゼット」を渡辺陽×X梨ライヒ、大阪では「アンガの日記」X梨ライヒ×渡辺陽を見て、今回「いし」ですよ。それまで暗い中に人物にだけスポットが当たる、ような照明だったのがこちらは「お母さん」のキャラにあわせてか明るい! 1本にしておけばいいのに、2本はダメというアイスキャンディーとお腹が弱い息子の思い出から、彼ピッピッピ(なんでも多くつけちゃうお母さんなのだ)と同棲中だけど心配なお姉ちゃんのこと、雪下ろしをしていて屋根から落ちたお父さんのこと…。笑いに満ちたエピソードのなかに、照明がフッと消えてライターの灯りごしに浮かび上がった暗い疲れた表情に私たちはうすうす気づいている。

哀しみを堪え、悩みがあっても、ベリーダンスを習い始めたというお母さんはやはり底が明るく、そこに生きろ、というメッセージを感じてしまう。このお母さんの実在感もすばらしかった。

 

e 10+2 谷津りりこ×谷津智里 たぶん、りりこさんがお嬢さんで智里さんがお母さんのユニット。いままでのなかでいちばん若い役者さんである。私は初めて見たガスマスクを装着して外に出ることを義務付けられているらしい、コロナ禍の12歳。うさぎ年。12歳の誕生日にうさぎのぬいぐるみをもらった、というエピソードからこれは2023年の話らしい。私もうさぎ年なので来年が還暦かあということでピンと来たのである。

クラスメートからは恋愛相談のあれこれを頼まれる、たぶん、友達の多い、明るい子。しかし彼女が習っているダンスの練習をはじめたところから、この物語も東日本大震災の後の物語だったのだと気づかされる。最初はコロナ禍の小学生の暮らし、と思っていたのに、彼女は震災の時に誕生した子、だった。そのことから震災10年目の節目の年に、マスコミに取材攻勢を受けてしまう。彼女の祖父は敗戦の年にシベリアで生まれ、日本へ帰って来たという。大変な時に生まれた子どもは私だけじゃないと彼女は思う。

クマのぬいぐるみの扱い方が上手くて、ほんとうにダンスを習っている子なんだろうなあと思った。

 

d 「phantom party」 ファントムといえば「オペラ座の怪人」、でもそのファントムではなかったようだ。

あとで調べたら、ファントムには亡霊の意味があるようだ。亡霊、幻のパーティ? 医学用語で幻肢(事故で失った手足があるように感じること)の意味も。

 

黒いスーツに身をつつんだ、どこかまだ若さを残した青年がなにものかとのお別れ会をしたいのだと告げる。友人を亡くしたとか、恋人を失ったとか、才能や職業、なにを失ったのかは明かされない。ただ、お別れの会をできるだけ安くあげたいとも思った青年はネットで検索したところ、ある動画にあわせて好きなことをすればそれがお別れの会になる、という一本のYouTubeを発見したという。

 

この作品はその次の転換がすごい。僕はダンサーだから動画に合わせて踊ることでお別れの会をします、ということで青年は踊りだすのだ。スーツのままで。軽くウェーブのかかった髪を振り乱し、ダンスは流されている動画(抽象的なもの)にシンクロし、あとは最後まで踊りつづけたのだ。落ちもまとめもなく、踊りの中に彼の怒りも激情も戸惑いもあるようだ。

踊り終わった彼はすごくカッコよかった。彼はなにとお別れしたのだろうか。

 

g 25歳 川久保晴  大阪で半年くらい前に見て、すごくいいと思った作品だった。今回もまたよかった。前回ともしかしたらすこしだけ変えたところがあったのかもしれない。私が覚えてなかっただけかもしれない。

 

やっぱり最後は泣いてしまった。

 

トンチンカンなビジネスホテルのフロント、いきなりしゃべりだすアレクサ、アラームがなぜかM1グランプリのBGMにも使われたことのある「Because You Can」がこれまた大音量で流れる。時間はもう深夜で、主人公は同室の人達が起きだしたらと心配で仕方ない。25歳の川久保(主人公の名前)さんは「Because You Can」がはじまるたびにアラームを留めていたのだが、

 

ついに繰り返される「You Can」に怒り、堪えてきたものを迸らせてしまう。そのあとフロントに電話をかける彼女の目から滴が落ち、物語の中の川久保さんと演じている川久保さんが交錯したようだった。やがて川久保さんは大きなトランクケースをもって、帰るべきところへ向かう。

 

トンチンカンな受け答えばかりしている陽気なフロントの女性(川久保さん二役)が最後に放った言葉に、考えすぎかもしれないけれど、深く死を願うことは激しく生きたいと思うことのはじまりだ、というメッセージを感じた。

 

というような午後だった。

 

体調はこのブログを書いているいまも特に素晴らしいわけではないが、いちおう小康状態である。よしよし。

 

というか、なにか目標ができると体もそれに合わせてなにかホルモンをだしてくれるのかもしれない。ということにして、若干空腹ではあるけど、歯を磨いてこのまま寝るのだ。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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いつもは土曜日の夜にやっているライブですが、

デカ盛りハンターに出演直後に、皆様と楽しくお話しできたらと思いました!

20時~21時と短い時間ですが、ぜひぜひご視聴くださいませ♡

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大食い~この人に訊け!は全7人の方へのインタビューが予定されています。

三宅智子さんと菅原のエピソードはこちらもご覧くださいませ

三宅智子さんと私 第六回

三宅智子さんと私 第七回
三宅智子さんと私 第八回

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