空白の瞬間
空白の瞬間 ~くうはくのとき~

MALICE MIZERが大好きです。
青春を捧げ、今も尚愛し続ける最高のアーティスト。
記憶も感情も、呼び覚ますきっかけさえあれば瞬時に溢れ出します。

過去で時間が止まっているミゼラーさんも、マリス活動停止後から興味を持った方も
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『LOTUS』の歌詞考察

考察依頼があったので私なりの歌詞解釈を書いてみます。

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眼を閉じる
此所は蒼い 朱鷺が鳴く 心の底
嵐が連れ去った 明日を感じたいから
剥がれ朽ちる絵と

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嵐が連れ去った明日を感じたいから眼を閉じる。
悲しい激動の出来事があって未来に希望を見出せなくなった時に
眼を閉じて希望を思い出そうとしているシチュエーションです。

朱鷺(とき)は鳥の名前ですが、朱鷺色というと朱色を意味します。
ざっくり言うと赤色。
「此処は蒼い」というのはそれと反対のことを意味していて
赤=情熱、青=冷淡のイメージとすれば
「本当は熱い気持ちがあったのに燃え尽きてしまった」という感じ。

大体の絵は経年で絵具や紙がボロボロに朽ちてしまいます。
どんなに時間をかけて一生懸命描き上げたものでも
傷付けないように大切に保管していたつもりでも。
それを自分の心と重ね合わせているんじゃないでしょうか。

 



MVで絵画から抜け出したような女性がなびかせている布が赤と青なのは
このフレーズを元に立体化したような印象。


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記憶からまだ涙を消せない
この闇の音も
きっとそれはもう癒えない
何処かで知りながら

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闇=何が潜んでいるか分からない空間
なのにそこから音が聞こえるとなれば不気味だと感じます。
見えない未来に不安を感じて怯えている描写と解釈。

悲しいことや嫌なことは忘れようとしても鮮明に蘇ってしまうもの。
きっとその傷は癒えないし、未来の不安もつき纏うと分かっていながら
過去も未来も全て忘れたいと願わずにいられない。


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記憶からまた涙を落とし
周りを見渡す
きっとそこにはもう誰の
為でもない今が…独り

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思い出すことでまた涙を流し
どこかに救いはないのかと周りを見渡すが孤独しかない。

前のフレーズでは過去と未来に注目したのに対して
ここでは「今」にフォーカスをあてています。
私は「誰の為でもない」=自分を苦しめる為ではない、という印象を抱きました。
孤独は感じるけれど、これ以上苦しむことにはならない状況だと。


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消えない傷でも綺麗でしょ?
夢が枯れてもまだ愛せるの?
確かに煌めく明日じゃない
壊れそうなその意思は
振り返る為の傷じゃない

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京くんはインタビューでこう語っています。
「振り返ってもなかなか前へ進めないことの方が多いと思う。
 でもそうじゃないんだよという歌詩を書きたかった。」

忘れられない苦しみを「消えない傷」と表現し、綺麗だと肯定しています。
確かに未来は希望に満ち溢れているわけじゃないけど
振り返って悲しむ為の傷じゃない。
つまり「強くなる為の一歩」みたいな捉え方なんですね。

夢=何かをしたいと願うこと=情熱=朱鷺
蒼色になる程に心が壊れそうだけど
まだ傷付くことを恐れず誰かを愛そうとする力が自分に残っているのかな?と自問。


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記憶からまだ涙を消せない
この闇の音も
きっとそれはもう癒えない
何処かで知りながら

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唯一繰り返されるフレーズであり
ライヴでは歌詞カードと違い「記憶からまだ」で締められることから
特に強調したい部分なんだろうと感じました。
次のフレーズ然り、この曲は結果的にポジティブ傾向に向かいますが
このフレーズはネガティブ寄りで
ここから這い上がることが容易ではないことを伺わせているように思います。


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壊れ行く 夜が 目の前で
何もかも捨てた お前は月
泣いて眠ればいい

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目の前で夜が壊れていく=夜明け=絶望から脱する

月=闇の中で煌めく存在
希望を一旦手放してリセットしたお前にもう怖いものはない
何が待ち構えてるか分からない闇の中でもきっと大丈夫、みたいな。

京くんは感情を剥き出しにすることに肯定的な人だとお見受けしているので
「泣いて眠ればいい」は言葉の通りで
自分に無理せずしたいことをしろ、それだけでいいんだという意味で捉えます。
傷付いた理由が何かしらの自己否定を含むものだと想定すると
とても優しさを感じるフレーズ。


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過ちが生き方を変えはしない
気高く真っ白な 蓮を咲かせ
背に描いた 意思はもう揺るがない
自由な空 眼を閉じよう

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「蓮は泥より出でて泥に染まらず」という言葉があり
蓮は清らかさの象徴とされます。
それに重ね、失敗を犯しても心が泥に染まるわけではないのだと言っています。

また、蓮と言えば蓮華座としても有名ですね。
京くんの背中には蓮華座の千手観音の刺青が彫られており
背中の絵柄は神様を入れたいと彫り師に相談して決めたそう。
「背に描いた意思」はそれに関係すると思われます。
MVの1:40あたりで一瞬宗教的な祈りのシーンも出てきますね。
次のフレーズに続く「信仰」を感じさせます。

「意思」は振り返る為の傷じゃないとされた「壊れそうな意思」として登場済み。
「消えない綺麗な傷」は京くんにおいては刺青を意味するとも考えられます。

冒頭の「眼を閉じて」に繋がり、希望ある明日を感じようとするわけですが
最初の苦しんで泣いていた「底」と違い
「自由な空」と前置きされたこちらのフレーズでは開放感が伺えます。
瞑想しているうちに心が落ち着いたようです。


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What is believing?
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「何を信じる?」
消えない傷を振り返って悲しむか、美しい前進と捉えるか
それは自分次第だよというメッセージ。

Toshiyaさんがインタビューで『DUM SPIRO SPERO』のジャケについてこう語っています。
https://gekirock.com/interview/2011/08/dir_en_grey_4_2.php
「神様って自分の中にいるものだと思っているんです。
 つまり、自分たちの“何か”を信じるって事なんだと思うんですよ。」

MVでは白骨化した死体のシーンで終わります。
「どうせ最後は死ぬけど」とでも言いたそうな感じで
完全なハッピーエンドの否定だと思いました。
絵は剥がれ朽ちるのです。
それでも自暴自棄になるかどうかは別なのだと。

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