思い出の売春捜査官
あけましておめでとうございます!
お知り合いの方のお誘いで、つかこうへい作「売春捜査官」を観に行って参りました。
「売春捜査官」を初めて観たのは、まだ大分で短大生だった19歳の時。
もう23年も前になるのかw
高校では演劇部に所属していたくせに、舞台の表現ってなんか大げさでちょっと観るのも気恥ずかしいよな…
なんて思っていた当時の私でしたが、どこかに行った時に、たまたま「売春捜査官」の公演チラシを見つけ、
そこに写っていた女の人がかわいい!というだけの理由で、しかもなんか2000円とかで安かったし、
何の前知識もなくふらっと観に行ったのが最初でした。
大分市つかこうへい劇団というのができて、その旗揚げ公演だったみたいです。
だから演出もつかこうへいさん。
初演だったのだなぁと今思えば感慨深い。
私がチラシで一目惚れした女優は、由見あかりさんという方でした。
そこで観たのは、私が好んでいなかった、全身全霊で情熱ぶつけまくりのお芝居。
突如マイクを持って「愛しさと切なさと心強さと」を歌い始めたり、
あんな綺麗な女優さんが、ハゲヅラにちょび髭腹巻きの加トちゃんスタイルで出てきたり(したと思う)、
とにかく役者が動き回って、唾飛ばしまくって、大声張り上げまくって、いい大人が全力でバカやって、
観客を圧倒する気迫で舞台上を目まぐるしく駆け巡る。
そんな演出にも役者たちにも度肝を抜かれ、私の目はくるくるしていたと思う。
な、なんなんだこれは…。
こんな舞台始めて観た。
気恥ずかしいとか言ってる程度のもんじゃねえ。そんな気持ち吹っ飛んだ。
全力で演じている役者を目の当たりにして、こんなに真剣に全身全霊捧げてる人たちがいるのに、
私何やってんだろう?
自分が情けなくて、いつの間にか笑いながら泣いていた。
当時の私は、思いの行き場がなくてくすぶってしまったような状態というか、
とにかくいろんなものに対するエネルギーというものが枯渇していたのだ。
どういう物語だったのかは、正直何となくしか覚えてない。
ただ、あの情熱をまた体感したくて、もう一度観に行った。
それから23年経った「売春捜査官」は、今の時代に合わせてどのように変わっているんだろう?と思ったけど、
机に黒電話のセットもそのまま、歌もあのままでほとんど変わっていなかったので懐かしく感じた。
やっぱり私の中のあの初めてには敵わないけど、今回は物語に泣いた。
いい大人になった今、あの当時の戯曲ほぼそのままのこの物語を見て、
ああ、こういうことを言っていたんだと、やっと物語自体を理解できたのだけど、
女性軽視、同性愛者、在日朝鮮人という様々な差別にあっている者たちの話で、
やはり19歳の時よりも、いろんな人に出会ってきた今、より共感できる。
でも、今でも共感できるってことは、23年経っても、それは大して変わっていないってことだ。
色褪せない物語ってのはあるけど、こういうのは色褪せなきゃいけないのにね。
しかしもう、つかさん演出は見れないんだなぁ。
何で東京来てから一度も観に行かなかったのか、今さら後悔…。