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「あなたの一番観たくない映画は?」



僕は「火垂るの墓」


だって観たら辛くなるに決まってるじゃないか。


だからずっと「火垂るの墓」から逃げてた。


一度も観た事がない。


TVで放送がある日も、チャンネルを合わせる事は無かった。


でも気になるから、観たって人に、

「どんな感じ?」って聞いては、想像して泣きそうになる。

そんな繰り返し。


「どんなセリフがあるの?」

と観た人には、踏み込んだ質問もする。


「天ぷらとおちゅくりとトコロテン、あとアイスクリーム」

大抵の人はモノマネをしながら、この台詞を言う。


観たことないので、自分で勝手に想像し、泣きそうになる。

それを堪えながら、

「せつこー」と涙目になる。

観てもないのに、このザマ。


これは観てしまえば大変な事になってしまうのは明らかだ。


20年の役者人生の中で、たった一度、唯一嫉妬した事がある。


それは「火垂るの墓」が実写化された、と聞いた時。


もう充分おっさん年齢に達した自分が、お兄ちゃんの役、

若しくはせつこの役をやれなかった事に猛烈に嫉妬した。

観たことないのに。


おっさんでありながら、少年にもせつこにもなれない事へ憤るとは、

もはや、入院が必要なレベル。



それぞれの役を演じた名子役たちは撮影の現場でも、

本当の兄妹の様に仲が良かった。

打ち上げの時にも、せつこはお兄ちゃんから離れなかった、

と実際、実写版を監督した方に聞いた時には、

羨ましさと悔しさが入り交じった変な気持ちになった。


観てもいないのに。


究極を言えば、自分一人で、せつこも、お兄ちゃんも演じたかった。

顔面の右側をせつこ、左側をお兄ちゃんにメイクして演じても、

自分は演じ切れる、という、他人には理解のしようもない、

根拠なき自信があった。


観た事もないのに。


いや、観たこともない上に年齢的にもアウト。

性別も超え、一人二役を演じたい?もう変態の域。


安保法案の真っ盛りの時期に、友達にハメられた。

何人かで家で飲もう、って話だったはずが、

「火垂るの墓」のDVDを入手してきた工作員がいた。


最大限、拒否したが、結局、見る羽目に。


どうだったか?


どうもこうもない。


観てる間、お兄ちゃんになったり、せつこになったり、

お客さんに戻ったり、忙しすぎた。

涙が止まらないのは当然の事、観た後、2時間は放心状態だった。


他人事を勝手に自分事にしてしまう性格?

役者の職業病?

とにかく、全細胞が疲れ切った。


数日経っても、印象的な場面を思い出すと、涙腺が緩みそうになる。

非常に危険、いや、素晴らしい作品だった。



現実を見てみると、憲法違反の戦争法案が可決され形になった。


例え、将来、日本が「火垂るの墓」にならなかった、としても、

この戦争参加法によって、世界のどこかが「火垂るの墓」的な状況

になり、それを我が国がアシストする事になれば、未来は地獄だ。


憎しみの連鎖は止めらず、

それに関わった国々に生きる人々の心の安寧は訪れない。


可決してしまった戦争法は、この国に生きる人々の手で変えられる。

いや、これは皆で変えなければならないミッション。


市民が大きく横に繋がる闘い方、政治をコントロールする方法を実践すれば、被曝も、原発も、貧困も、TPPも労働環境も変えられる。



皆さんと同じ時代に、歴史的瞬間に生きている。

ワクワクしながらやってやりましょう。