皆さんは介護問題について詳しいですか?

2025年には団塊の世代全員が75歳以上の後期高齢者となり、

5人に1人が後期高齢者といいます。

このブログを読まれる方の中には、既に介護をされている当事者もいらっしゃるかと思います。

 

恥ずかしながら、山本太郎はこの分野をまだ深められていません。

不勉強で申し訳ありません。

 

まずは現場がどのような状態かを聞かせていただく機会を、

今年の春、当事者の方々から頂戴しました。

 

話だけでは解り辛いので、この夏、

いくつかの施設にお邪魔しました。

 

他産業と比較しても、

給与は年収で約140万円程低い介護現場を

支えているのは、数々の制度などではなく、

現場で働く方々の気持ち、善意であったことがよくわかりました。

 

まず、かなりザックリでごめんなさい。

 

介護サービスは、

「居宅」と「施設」に大きく分けられるようです。

 

「居宅」は基本、自分の家に住み、 訪問サービスや通いでサービスを受ける。

 

「施設」は老人ホーム等に入所して介護サービスを受ける。

 

今回、全てご紹介できる量ではないので、

お邪魔した一部のやり取りをブログにあげます。

「居宅サービス」の中の、デイサービス(通所介護)について。

大きな施設ではなく、民家を活用した小規模のデイサービスにお邪魔しました。

 

 

このサービスの素晴らしいところは、

高齢者が他者との関わりを持つ事ができるだけでなく、

介護する家族が自分の時間が持つ事ができる点。

当事者同士で家に籠りきりでは、孤立し、追いつめられ、

最悪は介護殺人と言う最悪の結果も招きかねません。

 

以下、千葉県内で民家を活用したデイサービスを行う小野さんとのお話です。

―――――

小野 僕たちのところは、

ちょっと特殊でお泊りも出来るデイサービスなんです。

緊急の受け入れとかも24時間365日やっています。

 

山本 一日当たり利用額は??

 

小野 宿泊が1泊1000円です。

 

山本 安い!

 

小野 安いんです。

1泊1000円で夕食代が700円、

次の日の朝食代が300円なので2000円です。

その前後でデイサービスを使ってもらう前提ではあるんですが。

そのデイサービスのお金でやりくりをしています。

 

山本 いわゆる会員さん向け、ですね。

 

小野 そんな感じですね。

 

山本 デイサービス自体、月額でいくら位なんですか?

 

小野 介護度にもよるんですが平均して大体一人当たり1回(約8時間)1000円位 だと思って頂ければ。 介護度で変わるんですが700円から1400円の間くらいです。

 

山本 それは全国的に?

 

小野 一律でやっています。

僕たちみたいに一軒家を使ってやるサービスを地域密着デイって言 うんです。地域密着のデイサービスはこの値段で、通常の大きなデイサービスは別の値段という風に価格設定があります。 後は地域の制度で各市区町村で等級があって、介護度に寄っても違いますし地域によっても違ってきます。

比較的田舎の方が料金が安いです。千葉県は3級地から7級地まであります。

 

山本 地域の等級が上がれば上がるほど料金が高くなるんですか?

 

小野 等級が上がれば上がるほど料金は上がります。

※補足※地域の等級は、自治体の財政状況によって1級地から7級地までに分けられ、裕福な自治体は利用料が高くなり、裕福でない自治体は安くなる。それぞれの利用者の介護度とは異なる指標である。

http://www.janis.co.jp/download/AreaNotice.html

 

山本 介護度は低いけれども認知症があると、

値段が変わったりすることもあるんですか?

 

小野 そこに差はないです。

介護度で値段が決まってしまっている感じです。

 

山本 厚労省の発表で特別養護老人ホームの待機者数が36万人、っていう数字ありましたよね。もともと52万人だったのに、

要介護1や2を要件から外したことで数が減ったという話があった と思います。

それによってデイサービスを利用する人々が、

更に増えたという事はありますか?

 

小野 まさに介護度1や2の方の行く場所が無くなってしまったという事 が起こっているのでそこで受け皿になるのが僕らみたいなお泊り出 来るデイサービスだったりこれから行くサービス付き高齢者住宅だ と思うんです。

どうしても有料老人ホームやショートステイ施設になってしまうと料金が高くなってしまうのでそう言った面では需要がありますね。

ただお泊り出来るサービスでも連泊は何日までという上限が決まっ ています。 現在は理由書に記載があれば連泊を許可することが出来ます。

でも市や国ではこういった小さなデイサービスを排除して大きな所 を残すという意向みたいなんです。

 

山本 どうしてですか?

 

小野 介護保険のお金の事が絡んでいるようですね。

大きな施設に纏めようとしている動きは感じています。

お泊りデイサービスも宿泊できる人数が一つの施設に対しての人数が決まってきてしまっています。

職員の数に対してという形ではなくて施設の広さ一人当たり4・ 2畳分の広さがないと1人泊められないという事になってしまって いるので、僕たち1軒屋のデイ施設では最大5人までという風に言われています。

今までは何人でも泊めても良かったので、そこで問題が生じてしまったということもありました。

 

山本 どういった問題が起こったんですか?

 

小野 ある施設で10人以上一気に泊めてしまって、雑魚寝状態で合宿状態に。

そういうことも問題だったのかなと思いますね。

 

山本 資格って、行うサービスによって違う物なんですか?

 

小野 介護福祉士を何人かおかなければいけないというような規定はあります、

介護福祉士は国家資格です。

 

山本 その資格を取るために2、3年勉強しなきゃならないっていう事で すか?

 

小野 そんなに勉強しないでも旧ヘルパー1級という実務者研修を終了した人は受験資格があるんですよね。

 

山本 車の免許みたいに教習所に通って資格を取るか、

試験所で一発合格狙う、みたいな感じですか?

 

小野 そうですね。 でも介護福祉士は5年以上の実務経験が必要になっています。

実務経験があればいきなり国家試験を受けられるといいうことですね。

5年だったか3年だったか。すみません。

新しくそういう規制が出来ていますね。

 

山本 全く経験がないです、と言う人達も働いているんですか?

ゼロベースの人も働けますか?

 

小野 勿論です。すぐには介護福祉士にはなれないですが。

 

山本 資格はない、全く経験が無い人も働ける?

 

小野 はい、大丈夫です。

無資格の人も全く介護をやったことが無い人も入れます。

そういった人たちをフォローするために、

介護福祉士や看護師の配置基準みたいなのが、

施設の規模ごとによって変わってきますが、あるんですね。

 

山本 その基準は緩和されるんですか?

 

小野 緩和はされないですね。

介護福祉士の数に対して、未経験者は何人までというような形で緩和はされないです。

利用者さんの数に対して、介護福祉士の人数が決まっているということはありますが。

 

山本 利用者に対しての数なんですね。

介護に関わっている人たちの給与は国や自治体の負担があるんですか?

 

小野 今、職改善加算というのがあって、それが少し国から出ている物です。

国からの補助はそのくらいしか受けられないですね。

基本は利用者さんから貰うことになっています。

 

山本 施設に対しての補助金は何かあるんですか?

 

小野 僕たち営利法人にはそういった制度はないですね。

100%利用者からのみです。

後は国から介護保険が入って来るのでそこから出している感じです 。

例えば平均で言うと僕たちの所では一日10人までしか利用できな いんです。 1人当たり平均1万円だとすると1000円が利用者さんの負担で9000円が国から入ってくるんです。

だから1日の利益は10万円で30日300万円という感じです。

10人毎日居たらというざっくりしたものですけど。

 

山本 その負担の1割の金額が上るっていう話ありますよね?

 

小野 去年くらいから1割負担の方と、

収入や貯蓄の割合で2割負担の方が居たりします。

今度からは3割の方が出てくるので

 

山本 一割~三割の負担。

それぞれの線引きのラインを少し越えた人と、線の中にいる人と。

収入はホトンド変わらないのに、

負担が増える方に振り分けられる人もいるでしょうね。

 

小野 調べる人とかで変わって来るんだと思うんですけど、

中には何で2割負担なんだろう?っていう人もいます。

その辺りは役所の担当の見方によっても違うのかなと思えてしまう んですけどね。

 

山本 3割の人は貯蓄、資産があるとされる方ですか。

 

小野 そうですね。

でも3割だと1回のデイサービスで3000円払う事になってしまうので

 

山本 それはお泊りというときにも値段が上がってしまうんですか?

 

小野 お泊りは完全自費で1000円のままです。

 

山本 3割負担になった方が、

デイサービスとお泊まりで一回5千円、となると、

なかなか利用できなくなるでしょうね。

 

小野 経営状態が悪化してしまったら利用料金を上げざる負えないでしょ うね。

会社の判断になってしまいますが。

会社それぞれの体力で違ってくるので。

これからはお泊りデイでも、一軒家はスプリンクラーを付けないといけなくなるんです。

来年4月から。

 

山本 消防法の改正ですね。

それ障がい者施設も同じですよね。

施設で火災による死亡事故があったことから、

スプリンクラーの設置を義務付けた。

来年4月からですよね、これで閉鎖せざるえない施設もでてきますか?

 

小野 そうですね。

泊まれなくなってしまう人が今度の4月に続出してきてしまうと思います。

 

山本 調べたら必ずしもスプリンクラーを付けなければならない、

という条件から外れる施設もあるんですよね。

例えば、利用者が利用する居室が避難階で、開口部が広く居室から2方向に避難が可能であるとか。

 

小野 介護1、 2の人は2名くらいまで泊まることが出来るみたいなんですけど、

それもまた月に5日換算みたいになって来る。

っていう話をちょっと聞きました。

週に1度しか泊まれない感じですね。

千葉では緊急のお泊りは出来ますというガイドラインが出ている感じですね。消防法が結構入って来るみたいですね。

僕たちも1軒屋で6店舗を構えているんですけど、

結構厳しくなっている感じがしています。

6店舗中5店舗はスプリンクラーを付ける経済力が無いので。

 

山本 簡易的なスプリンクラーでも一部屋で30万円くらいとか?

 

小野 そんな感じですね。4畳半くらいでそのくらいの値段です。

 

山本 それ、一軒家でスプリンクラーにいくら払えっちゅうねん!

っていう感じですね。

 

小野 この間、見積もり取ってもらったんですけど、

安くても1軒屋全部で400万円くらいですね。

そこまではちょっと…

 

山本 費用の2分の1を国が。

残りの2分の1、半分を自治体が負担する補助金あるんですよね?

 

小野 補助金の申請がもう取れない感じなのでダメって、言われちゃったんですよね。

 

山本 えー。来年の春からですよね。

 

小野 そうですね。補助金の申請が通れば一番いいんですけどね。

 

山本 事業者負担が4分の1、と言っても重すぎますよね。

 

小野 それでも100万円になりますからね。

 

山本 それで6施設?

 

小野 6施設あるんです。

 

山本 600万。無理やろそんなの。

 

―――――

山本・メモ

 

台所はIH。

利用者はタバコをすわない。

この施設には火元が存在しない。

けれども、とにかく一律にスプリンクラーの設置が必要、というのは、

かなり強引なやり方。

結果、続けられない施設が出てくる。

では、そこから溢れる利用者(高齢者・障がい者)は、どこにいくのか?

家にいろ、という話になる。

そこに掛かる当事者たちの精神的・体力的負担には蓋をするのか?

個別具体的な介護サービスを提供できる小さな施設を追い込めば、

それによる社会的な影響は計り知れない。

 

新アベノミクスでは、「介護離職ゼロ」と言いながら、

利用料負担増も含めて、全く本気で向き合う気がないのが丸わかりだ。

スプリンクラーの件も含めて、

もっと柔軟な考え方が必要なのではないだろうか。

―――――

 

小野 僕たちの強みとしては少人数なので時間の幅を大きく設けられる。

朝7時に送迎して夜は8時半に寝るためだけのために自宅に送る、

っていうことは強みの一つと思いますね。

みんな決まった時間に一気に送迎、ということではなくて、

その人に合わせて送迎できるということは、

小さいデイサービスの強みなのかな。

山本 個別具体的な対応が出来るなんて最高じゃないですか。

 

小野 強みも結構あるんですけど、

やっぱりギュっと絞られているということは感じています。

この2年3年でもだいぶ変わって来たので。

 

山本 1割から2割負担になると言うだけでもかなりヘビーですよね。

 

小野 そうですね。

それで利用回数が減ったり週に3回通われていた方が、

お金が辛いからという理由で利用回数が減ったり、

という現象は起きていますね。

これからどうなっちゃうんだろう、

時代を見てそこに合わせて行かないといけないなと思ってるんです

山本 一つの施設に何人のスタッフがいるんですか?

 

小野 僕たちのところは利用者10人に対して職員3人から4人で見てい る感じです。 その内、生活相談員の配置義務があるので、要件を満たす介護福祉士が常勤、非常勤合わせて3名います。

運営日は必ず生活相談員が1人は在住しています。

※補足※「相談員」になれる要件としては介護福祉士のほかに社会福祉士、社会福祉主事(任用)等がある。

 

 

山本 一番給料が安い人でどのくらいですか?

 

小野 一番安い社員の人で18万くらいですね。

勤続年数5年くらいでもそのくらいの給料になりますね。

一般の社員でそのくらいの値段です。

 

 

山本 朝の7時から帰り時間の夜9時まで。

そこから泊まりになる人もいるわけですよね。

 

小野 だいたい夜勤の人の給料とかを含めると、半分以上人件費。

だからデイサービスも利用者が6人以上はいないと赤字になっちゃいます。

やり甲斐は凄くある仕事なので楽しくて仕方ないですけどね。

 

山本 どういった時に楽しくてしょうがないと思いますか?

 

小野 困難事例がかなり多いんです。

小規模のデイ特有の物かもしれないですけど、

そういう方が順調に通ってきてくれるようになったりすると、

もう凄い遣り甲斐を感じるっていうか

 

山本 困難事例とは?

 

小野 やっぱり認知症の方の対応が小規模なデイサービスの強みだと思うんです。

個人的な見解になりますが、

一般的な規模のデイサービスに比べると、利用者様の人数に対し、スタッフの密度が濃いし、

利用者様毎の個別対応が出来るっていうのが小規模の良いところだと思うんです 。

認知症の症状が強い方は帰ろうとしたり暴れたりする方もいらっし ゃるので、 そういう方がだんだんと落ち着いてきて第2の自分の家だと思って くれるようになると、よし!と思いますね。

それで家族もケアマネージャーさんも喜んでくれることが一番うれしいです。

――――――

 

山本・メモ

この日お邪魔した、一軒家のデイサービス。

あまりの居心地の良さに予定の滞在時間をオーバーしてしまった。

到着して、 すぐに利用者みんなで作ったちゃんちゃん焼きをごちそうになった

ごはんを作る事もレクレーションの1つにしているそうだ。

 

他にもこの日、手が動く人は、書道の時間もあったり、

将棋をしたり色んなメニューを、

参加を希望する人がやれる仕組みになっていた。

 

10人程の利用者がいたが、認知症でないのは1人。

そのような環境に一瞬でも身を置いた事がない自分だったが、

親戚の家に遊びにきたような感覚になった。

 

90歳を超えた女性が、東京音頭を2度披露して下さり、

終るとその都度握手を求められ、手の甲にキスをされたかと思いきや、

腕にデイープキスの嵐を頂戴したことも、みんなで笑った。

歌が大好きだという80代の女性は、 自分で書き溜めた歌詞カードを開き、

是非一曲と、お腹から出るよく響く声で情感タップリに「 荒城の月」を4番まで唄って下さったばかりでなく、 続けて3曲聞かせてくれた。

最後の曲の際には、「1番だけにしなさいよ」と、

職員の方からのツッコミがあった時にもみんなで笑った。

もちろん、私が見たのは密着型デイ施設の数時間であったが、

家の中で、要介護者と介護者だけの閉鎖的な時間が続くよりも、

このような場がある事で、どれだけ救われるだろうか、と強く感じた。