みんな消えちゃえ☆ 『NOTHING』 | 蝦夷☆オブ・ザ・デッド

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蝦夷の片田舎より分析しない掘り下げない脱力バカレビューをお届け(ホラー多めほぼネタバレ)

あほあほコンビの大喧嘩   
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<あらすじ>
舞台はカナダのトロント。
デイブとアンドリューは幼い頃からの親友同士。デイブは協調性が全くない自己中心男、一方のアンドリューは極度の心配性で家から出られない引きこもり。
ルームメイトの2人は、デイブが外で働き、アンドリューが家事を引き受けることで、なんとか互いに助け合いながら生きていた。
しかしそんなある日、2人はたび重なる不幸に見舞われ、ついには住み慣れた家からも追い出されようとしていた。
すっかり何もかもが嫌になった2人は、思わず『放っといてくれ!』と叫ぶ。
すると驚いたことにその瞬間から、彼らの周りは無の世界になる。
文字通り、何にもなくなってしまったのだ!
2人はおそるおそる家の周りの探索に出かけるのだが・・・

<レビュー>
ある日突然、周囲のものがすべて消滅する。
きっとこれは、とてつもない恐怖の物語なんだろうなと思いながら観ていたところ、途中からあることに気がついてしまいました。
これはただ単に
ムサいオッサン達の暑苦しいケンカを延々と見せられているだけなんだな、と。

デイブとアンドリューには次々と厄介な出来事が起こっていました。
同棲しようとしていた同僚の彼女が会社の金を横領し(韻踏んだラップみたい)、その罪を擦り付けられ解雇されてしまったり。
ひょんなことから家に入り込んできたガールスカウトの少女を追い返したら、逆恨みされて「性的ないたずらをされた」と警察を呼ばれてしまったり。
おまけに、自分達の住んでいる家の取り壊し通知が来てしまったり。
とにかく、八方塞がりの窮地に陥ります。
家は警察に包囲されてるし、地域住民からは非難轟々だし、取り壊し業者は来ちゃうし・・・
追い詰められた2人。
そこでアンドリューが叫びます。
「ほっといてくれよーーーーーー!!!」
彼が心の中で念じたのは
「みんな消えちゃえ」でした。
気がつくと、自分達と家以外はまっしろけの何にもない世界になっています。
文字通り、みんななくなっちゃいました。
映画の題名どおり、「NOTHING」な状態です。
 
家と自分たち以外はなんにもない、果てしなく続く「無」の世界

2人は「この世の終わりキタコレ」と思い込みますが、どういうわけかテレビはちゃんと映るし、特別なニュースもやっていない。
しかし、外の様子がどうも普通ではない。
ドアをあけると、なんとそこは、果てしなくどこまでも続く、まっしろな世界であった(雪国パロディ?)。
2人はまっしろな世界の先に何か存在しているのかを調べに行きます。
こんな扮装で。

 

ザリガニみたいです。
初代仮面ライダーの怪人?

まっしろな世界では、目印になるものが何もなく、方角もわかりません。
迷子になり家に戻れなくなったら困るので、背中のリュックに家にある小物などを詰め、それをばら撒きながらひたすら歩いていきます。
帰りはこの小物類を道しるべにして歩けば家に帰れるというわけです。
・・・ヘンゼルとグレーテルかよ。
しかし、いくら歩けどまっしろけ、ほんとうに何もありません。
持って来た小物も尽きたので、自分達の衣類を脱いでそれを道しるべ代わりに置いていく2人。
あんだけ重装備だったのに、こんなになっちゃいました。

 

とっても楽しそうです・・・。
この白い世界では、地面がトランポリンのように弾力性があって、ジャンプすると跳ねます。
しばらくオッサン2人が無邪気にたわむれるシーンが延々。
しかもこの人たち、この白い弾力のある世界を「トーフのような世界だ」をのたまいます。
なんでも、「喰ったことはないが、味も素っ気もない感じ」だそうで。
豆腐に対する冒涜です。

やみくもに歩いていたら何か見つかるかも知れないと思っていた2人。
しかし、行けども行けどもまっしろ虚無な世界が延々と続いています。
諦めて家に戻る2人ですが、彼らはここであることに気がつきます。
それは「念じれば物が消滅する」ということ。
面白がっていろいろ消したりしていくうちに、さらなる発見をします。
なんと、物理的なものばかりではなく、イヤな記憶を消してしまうこともできるようです!
でも、記憶を消してるときの顔、怖すぎです。

 
「・・・・・・・。」

この顔を見た私の記憶を抹消してしまいたいくらいです。

このあと、2人は調子に乗っていろいろ消していきます。
過去のトラウマを消して、自信を取り戻してみたり。
「これが苦手だ」という意識さえも消して、だんだん人格もポジティブに変わっていきます。
しかし、ここからまた雲行きが怪しくなっていきます。

苦手なものを消していく。
この作業は、自分自身を分析し、内面に向き合う作業でもあります。
何にもない世界で、「消す」作業をしていくうちに、2人はお互いの友情まで疑いはじめてしまいます。
そのうち、片割れがこんなことします。

 

お前は山海塾か。

白い世界に紛れて自分を消したように見せ、相棒の自分に対する本音を探ります。
相棒はつぶやきます。
「俺はお前を利用していたかも知れない」
それを聞いて白塗り山海塾の彼は激怒します。
ここから、オッサン同士のケンカ勃発です。
そのケンカも、
「おまえの大事にしてるゲーム機のコントローラー、消してやっからな!」
とか、
「じゃあおまえの大切にしてる本、消しちゃうかんね!」とか。
もう、おまえの母ちゃんデベソレベルです。
ヒートアップした彼ら、遂にはお互いを消し始めます。
一気に消すのではなく、身体のパーツをちょっとずつ。
徐々に輪切りになっていく2人。
空腹感などの身体感覚も消しちゃってるので、痛くも痒くもありません。
遂に首だけになった2人。
この何もない世界で、彼らはこれから一体どうするつもりなんでしょうか。
(注*輪切りの内臓まで映るので、気持ち悪いと思う人もいるかも知れません。でも、グチャグチャしてなくて、理科室の人体模型図みたいなビジュアルです。)

最後におまけ。
物語が始まる前のテロップです。

   

 

 

 

・・・もう、ええわ!
<超主観的評価>
ストーリー★★ スリル★ テンポ★ バカ★★★ グロ★
総合★★


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