オードブルはなし!いきなりメインディッシュ! 『カンニバルシスターズ』 | 蝦夷☆オブ・ザ・デッド

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蝦夷の片田舎より分析しない掘り下げない脱力バカレビューをお届け(ホラー多めほぼネタバレ)


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<あらすじ>
ハリウッドでアニメ映画製作を仕事をしているトムは、ある時スランプに陥ってしまい、気分転換のため、友人と雪山へリゾートに出かける。
しかし、荷物を落として来てしまったことに気付きスノーモビルでひとり引き返す際、事故を起こしてしまう。
彼は、近所の山小屋に済む老姉妹へと助けを求めるが・・・
彼女達こそは、山中で迷い山小屋へ訪れた客人を捕えて喰らう、恐るべき「人食い姉妹」(カンニバルシスターズ)だったのだ!

<レビュー>
観賞当時、ものすごくありふれた食人映画だと思っていたら、あらまぁビックリ!
後半のサスペンス仕様の入り組んだ構成が見事、良い意味で期待を裏切られた作品。

主人公のトムはアニメ映画制作を生業としていますが、目下、いわゆるスランプ状態。
気分をリフレッシュさせるために仲間と雪山へ釣りに出かけます。
スノーモビルで無事目的地に到着するのですが、運転中にどうやら大事な荷物をどこかに落っことしてきてしまった模様。
ここで荷物を諦めれば始まった早々エンドロールが出てしまいますので、勿論そうはいきません。
ここからしばらくはホラーにありがちの、ごくごくありふれた展開で進みます。

荷物を探しに行く途中、スノーモビルが雪に埋まってしまったトム。
困り果てていた矢先、民家を見つけます。
すると、中から出てきたのは大変無愛想な高齢の女性。
しかし、助けて欲しいと言うトムの申し入れを案外アッサリ承諾、トムは家の中に入れてもらいます。
独り暮らしかと思っていた女性ですが、ソファにはもう一人、同じく高齢の女性がスリップ一枚で寝ていました。
目のやり場に困るトムを尻目に、けだるそうに起き上がった女性は、いきなりショパンをかけ、やはりスリップ一枚でバレエのエクササイズを始めます。

 
アン・ドゥ・トロワ☆

助けて欲しい旨を引き続き話すトムですが、最初にドアを開けてくれた女性に「シーーッ!!!」と言われ瞬殺。
仕方なくそのまま見てるんですが、スリップの高齢女性がグランプリエ(がに股でしゃがんだポーズ)をするたびに、うっすら股間が見えています・・・。
かなりいらないチラリズムです。

 
さすが私の妹ね!

スリップ一枚の女性を満足そうに見守るもうひとりの女性。
「妹は昔、芸能関係で活躍してたのよ」と、自慢げに語り始めます。
どうやら2人は姉妹のようで、ガタイの良いほうが姉、スリップ一枚で股間チラリズムが妹の模様です。
バレエエクササイズにも、股間チラリズムにも、初対面の妹自慢にも、もうどう反応していいかさっぱりわからず、ただただ愛想笑いを続けるトム。
いよいよもって本題に入りたいのですが、なかなか言い出せない雰囲気。
しかし、女性たちの知り合いがスノーモビルを修理できるそうで、電話して後ほど来てもらうことにしました。
少し安心したトム。
女性たちに勧められるがままにブランデーをご馳走になりました。
疲れていたのか、そのまま眠りに落ちてしまうトム。

・・・しかし、目覚めた時、もうそこは既に地獄の二丁目あたりでした。
なんと、車椅子に座らされ、ガッツリ拘束されていたのです。

 
「うちの敷地に入ったのが間違いね☆」

 
「あたしたちと一緒に楽しむんだよ!」

そう言われても、一体なんのレクリエーションが始まるのでしょう。
精一杯抵抗するトムですが、ガタイの良い姉にブン殴られ一撃KO。
・・・次に目覚めた時、そこはその家のキッチンでした。



キッチンの棚にはおびただしい数のビンが。
よくよく見ると・・・それらはすべて人体のパーツでした。
トムはここで謎の刻印を押されてしまいます。
姉妹にとって、JISマークみたいなものなんでしょうか?
 
  
デコに「★」マーク

関係ないけど、これ思い出しちゃいました。


ペンタゴン

姉妹はヒソヒソ話しています。
なんでも、スノーモビルでうるさい輩が近辺に多いのでつかまえて食べていたようです。

 
うるさいんだよ!お前らスノーモビル族はよ!

ここで、トムの前に料理が運ばれて来ましたよ。
前菜もなしに、いきなりメインディッシュ、ドーン!!!

  
わー!ヤダ!もう、付けあわせの野菜ばっかり食べちゃう!

このお料理の食材は、さきほど話に出ていた「スノーモビルを修理してくれる友人」だったのでした。
頼めない!修理!直せない!スノーモビル!
震え上がり涙ぐむトム。
しかし、インテリな彼は姉妹をどうにかして話術で懐柔出来ないかと考えます。
そこで思いついたのは、彼の作品に姉妹をキャストとして迎え入れると言うこと。
勿論、内心本気ではなかったものの、とりあえず逃げ道を模索するために、姉妹を精一杯持ち上げ、女優としてオファーを持ちかけることにします。

 
「作品に出てもらうなら、髪を整えなきゃね☆」

自分の作品のこの配役にピッタリだ、と口から出まかせで姉妹を褒め称えるトム。
褒めるとこなんかひとっつもないのに、「この配役の雰囲気そのものだ」と姉妹をとことん持ち上げます。
一体どんな脚本なんだ・・・。
もともと有名になることに憧れていたらしい姉妹は、次第にまんざらでもない表情を見せ始めます。
(どうでもいいけどテーブルの頭蓋骨料理、早く下げろ!)

 
「今度は口紅を塗ってみては?」

トムはまず、妹に比べて地味で、身だしなみに無頓着に見える姉にメイクを勧めてみました。
(どうでもいいけどテーブルの頭蓋骨料理、早く下げろ!)
一旦席を外す姉、なんと本当に口紅を塗って来ちゃいましたよ。

 
「どおっ?」

さらに、妹まで勝負服を着てきちゃいます。

 
「私は当然イケテルわよね☆」

このあと、いい感じに話が進むんですが、姉妹が油断した隙に車椅子の背もたれに包丁を隠し持っていたトム、まんまと見破られてしまいます。
あーあ・・・。あと一歩だったのに。
発狂した姉妹に地下室へ連行されるトム。
いよいよ解体されてしまうのでしょうか。
作業前に、つなぎを着て給食キャップのようなものを被る姉。
そして、なにやら儀式チックな謎のタコ踊りをはじめる妹。

 
作業開始の恒例儀式か?謎のタコ踊り

作業台に乗せられたトムの額に、姉の持つドリルの先が迫ります。

 
おデコの刻印は作業のための目印だったの!?

さっきのJISマークめがけてドリルの先が徐々に近づき・・・
もうだめー!!!脳天直撃セガサターン!!!
・・・と、思いきや!

 
スナイパーな友人

なんと、地下を覗く窓から友人がスナイパーよろしく銃を構え、姉めがけてズガーン!

 
うわぁお!!!

飛ぶ姉。
このあと、友人に助けられて雪山をスノーモビルで逃げるのですが、当然、残った妹に追撃されます。
追跡劇の果てに、友人がトバッチリを食らい、アウト。
しかしここで、自然の助けなのか、どえらい規模の雪崩が。

 
ゴゴゴゴゴゴ・・・

いや、自然の助けじゃありません。
トムすら飲み込む勢いの、本気モードの雪崩。

 

しかし、ここで本当に神の助けがあったのか、妹が雪崩に飲み込まれ、トムは九死に一生を得たのでした。終わり☆
・・・じゃないからね!!!

この後の展開が非常に面白かったです。
ここまでのカニバリズム映画はさしずめオードブル。
ここから先が本気のメインディッシュでございます。

助かったトムは、自身の凄惨な体験からインスピレーションを得て、あの姉妹をベースに映画を製作しようとしていました。
そこで、姉妹のルーツを探ることに。
実は、雪崩に巻き込まれた妹ですが、若い頃に子ども(女児)を手放していました。
トムはあの手この手を使って、その子どもの消息を突き止めます。
子どもはとっくに成人しており、結婚して一男を設けるも離婚。
シングルマザーとして働きながら、反抗期真っ盛りの長男と生活していました。
しかし、あの妹の血をひいているのか、彼女は働きながらも女優を目指していることが判明。
偶然を装い、彼女に近づくトム。
そして、自分の作品の主要キャストに彼女を抜擢します。
その主要キャストとは・・・
なんと、雪崩に巻き込まれたあの妹、つまり彼女の実の母です。
勿論、彼女はそのことを知りません。
この後、あの忌まわしい「カンニバル・シスターズ」の隠された過去、呪われた血が、彼女と関わることで白日の下にさらされていきます。
後半で一番気持ち悪かったのは、彼女の息子ですね。
なんとこの息子、生まれながらのサイコパス。
この息子がやらかす数々の行動にご注目下さい。
不幸の連鎖は続くのか・・・呪われた血は受け継がれて行くのか・・・最後は思わせぶりに終わります。

観賞後、パッケージを見て仰天!!!
・・・アルバトロスフィルムです。
こういう隠れた佳作があるから、アルバトロス漁りはやめられないんだよなぁー

たかがアルバトロス、されどアルバトロス。

<超主観的評価>
ストーリー★★★★ スリル★★★ テンポ★★★ バカ★★ グロ★★
総合★★★★

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