去年観た「ナイゲン
」がとても面白かったアガリスクエンターテイメント
今回は、休憩を挟んで45分×2という豪華二本立て・・・2015年度サンモールスタジオ最優秀団体賞受賞作品「七人の語らい~ワイフ・ゴーズ・オン」と、新作「笑いの太字」
劇場は、前回の新宿FACEに比べると小さいサンモールスタジオ…ここも良く行くところだけれど、最近行っていなかった。
◆七人の語らい~ワイフ・ゴーズ・オン
開演と同時に、客席後方から登場した男が、シチュエーション・コメディの何たるかを語り始める。
「ギャグやセリフ、奇妙な動作で笑わせるのではなく、真面目に演じれば演じるほど面白くなるのがシチュエーション・コメディ」
開演…
2人の女性と結婚しているディヴィッド。
うまく二重生活を送っているつもりだったが、その2人が友達同士で、お互いの夫婦でテニスをやることに…。
2人が会うことを避けたい男は、友人のジョンを巻き込んで何とか誤魔化そうとする。
・・・というシチュエーション・コメディを演じる7人の男女・・・。
突然笛が鳴り、出てきた男たちが文句を言い始める。
「これは、シチュエーション・コメディではない」
そこから、それぞれの主張と多数決によって物語が歪められていく
登場人物(役者)のこだわりはそれぞれ。
スタイリッシュであることにこだわる男・・・
面白ければ良いと主張し、笑いがない時間を許さない男・・・
気持ちを作ったシチュエーションを変えたくない女・・・
登場する意味を求める男・・・
差別的な表現に敏感な女・・・
果たして45分のシチュエーション・コメディは時間内納まるのか
「観客の想像力を広げるために」と取り除かれた時計の代わりにデジタル時計が現れて、終演までのカウントダウンが始まる
それぞれの主張がぶつかり合い、屁理屈がまかり通り、主役(演出)の男が翻弄されていく感じは、去年観た「ナイゲン
」に近いかもしれない。
幕が降りて流れる終演の音楽にまで文句をつける徹底ぶりがお見事
◆笑いの太字
幕が開き、2人の男が向かい合っている。
卒業制作に「オリジナルの脚本」という課題を与えられた学生が、三谷幸喜の「笑の大学」のセリフを起こし、タイトルだけを「笑の太字」に変えて提出したことから、学生と指導教官の議論が展開される。
「オリジナルの脚本」という課題に基づいて盗作を認めない指導教官と、屁理屈を通して何とか認めさせようとする学生
観たいと思う観客の気持ち、演じたいと思う劇団の想い、自分の知らない所で作品を上演されたくはない三谷幸喜の主張
屁理屈だとは思いながらも、学生の言うことにも一理あるかな・・・と思い始める。
作者の考えだけで、良質な作品が観られないというのは理不尽なことなんじゃないか・・・とか・・・演じ続けられること、語り継がれることによって作品が生き残っていくということ・・・とか・・・。
脚本の冨坂友は、この作品を通して、本気で三谷幸喜にケンカを売っているんじゃないかなぁ・・・
「笑の大学」は観ていないのでわからないけれど、リスペクトしているからこそ書けるのだと思う。
最後は、卒業制作としてのオリジナリティを持つ作品にするために、指導教官と学生の共作みたいな形になっていくが、学生は家庭の事情で卒業を前に田舎に帰ることになる。
その作品を、指導教官に託して・・・。
でも、そのまま終わることはなく、さらにひと捻りあるところが素晴らしい
「犬宇」・・・って・・・
アガリスクエンターテイメント、やっぱり面白い
東京公演は9/4まで、その後は大阪公演もあるみたいなので是非、観に行ってほしい。
ずっと笑い放し・・・