彩の国さいたま芸術劇場×劇団はえぎわ共同企画「マクベス」を観てきました。

この作品は2022年に彩の国さいたま芸術劇場がノゾエ征爾さんを招いて「マクベス」を題材として実施したワークショップから生まれた作品とのことです。

 

「マクベス」は何度も観ているのでストーリは分かっているので、どのような見せ方になるのか(演出)の方に興味が行きます。

ノゾエさんについては、去年観た演出作品「ガラパコスパコス~進化してんのかしてないのか~」が面白かったし、「ワークショップから生まれた作品」ということにも興味を惹かれて楽しみにしていました。

 

 

劇場に入って最初に目に飛び込んでくるのは整然と並べられた沢山の木の椅子。

開演前から魔女役の3人が登場します。

セリフを語るわけではなく、登場しては入れ替わり、両サイドの棚に並ぶ小道具を使ったりする程度でストーリーとは関係ないのですが、最後の場面とは緩く繋がっていました。


魔女に「王になる」と予言されたマクベスがダンカン王を殺害、王位を継承するが不安に駆られて罪を重ね、バンクォーの亡霊に怯える。

マクベス夫人は精神を病み亡くなり、イングランドに亡命したマルカムとマクダフの軍が攻めてくる。

再び魔女の予言を受けたマクベスは安心するが、バーナムの森は動き、最後に対峙したマクダフは「母親のお腹を破って生まれてきた」と明かして復讐を遂げる。

 

「演劇を見慣れていない若者に演劇の魅力を知ってもらいたい」という目標の元に、100分でコンパクトにまとめていますが、印象的なセリフはそのまま生かされていて、物語としては余すところのない「マクベス」になっていました。

ひとりが何役もこなしているので、切り替わりについていけない箇所がありましたが、それは多分観ている側の(自分の)理解力のせいでしょう。

 

原作にはないセリフを追加したり、バンクォーが同時に息子を演じたり、笑いの起きる場面もありました。

演出面では、椅子の配置変更や積み上げによって場面を作り出していく手法が面白く、音響効果としての役割も担っていたと思います。

また、打ち取られたマクベスの首の見せ方もシンプルではあるけれど上手く考えられていました。

 

出演者ではマクベス役の内田健司さんの声が嗄れ気味で、少し聞き取りづらかったのが残念です。

その反面、マクベス夫人を演じた川上友里さんの悪妻ぶりが見事でした!

 

「マクベス」に限らず、シェークスピア劇は数多く上演されていると思いますが、今回のような新しい試みによって、より身近なものになっていくことは良いことだと思います。

そして、どのように手を加えられようとも成立するのは、土台となる作品の力なのだろうとも思いました。