シアタートラムで上演中の「カラカラ天気と五人の紳士」を観てきました。

別役実の不条理劇を加藤拓也さんが演出。

出演者が豪華で、かつシアタートラムのキャパを考えるとチケットが取れるか心配でしたが先行抽選で当選して、「このメンバーで面白くないはずはない」と楽しみにしていた舞台です。

 

 

舞台は地下鉄のホーム。

開演前から浮浪者風の穂高真奈美さんがヴィオラを手にして登場します。

「演奏」というほどのメロディはなく、「音響効果」というほどドラマティックではなく・・・という感じで、所々でヴィオラの音が流れていましたがその意図はよくわからず・・・。

 

そこに棺桶を担いでやって来た5人の紳士たち(堤真一溝端淳平野間口徹小手伸也藤井隆)。
小手さん演じる「紳士3」がハズレ1等でもらった景品が棺桶なのですが、それを支える足場に置くまでに会話のすれ違いがあり不条理劇が始まります。

 

せっかくの景品を役立てるためには、そこに誰かが入らなければいけないということになり、話の流れで野間口さん演じる「紳士4」が梯子を上らされてしまうのですが、本人は決して死にたいと思っているわけではありません。

それでも確実に死ねる方法を巡って再び議論が始まるのですが、そこにふたりの女性(高田聖子中谷さとみ)がやってきます。

ふたりは5人には頓着なくバッグの中身をホームに並べ始めます。

実は彼女たちが1等(青酸カリ)を当選した本人なのですが、いざ薬を飲もうとするとカラカラ天気で水がない。

挙句の果てラジオ放送でその薬が偽物だと知り、パラソルを持って駅を飛び出して行きます。


極端な言い方をしてしまえば、5人と紳士とふたりの女性がかみ合わない会話を続けていく物語なのですが、どこにもたどり着かずに終わるのかと思えば、彼女たちは別の方法で自殺を実施し、棺桶には彼女たちが残した遺品を入れることで使い道を見つけるという結末が待っていました。


不条理劇は「わからないことが面白い」みたいなところもあると思うのですが、出演者が異なるキャラを見事に演じていることもあって、この作品は普通の意味で面白かったです。

女性陣に紳士たちが翻弄される姿も面白おかしく演じられていますし、70分でコンパクトにまとまっていたことも功を奏しているかもしれません。

窮地に追い詰められていながら、科学の知識を披露してしまう飄々とした感じの野間口さんが最高でした!