本日の毎日新聞の日曜版を何気なく読んでいて
「お~…」と心に響く話が2つあったので、まずは書き留め。
吉本ばななさんのエッセイ「毎日っていいな」より
北海道に知人のご主人のお見舞いに出かけた時のお話。
当の知人さんに急な仕事が入ってしまい、
結局宿泊先のホテルで、家族で休暇のような過ごす方をしていたらば。
「ぼーっと温泉に入って、バーカウンターで無料のビールを飲んで
真っ赤になっていた私たちのところに」
その件の知人が立ち寄ってくれた。
「ご主人が病気でなかなか家を空けられないのに」
「さらには仕事帰りで疲れているだろうに」
「元気でのんびり温泉に入ってビールを飲んでいる私たちを
憎たらしく思ってもいいくらいなのに」
その知人は今の毎日を笑顔で淡々と語り(病気の夫のことなども)
「手作りのおいしいジャムや近所で評判のヨーグルトを私たちにくれて、ぎゅっとハグをかわしてさっと帰っていった」
「人は誰にもたいへんな時期と平和な時期があることを、
知り抜いた年齢にならないとできないような交流かもしれない」
「誰もが同じで、だからこそ今のあなたが妬ましい」
というのではなく。
「誰もが同じだからこそ、それぞれの今を祝福して精一杯生きるしかない」
ということを、分かり合っているということ。
「その祝福の気持ちが、たいへんなときを乗り切るための貯金になる」
…読み終えて「お~…」となったわけです。
結局の着地点。
今を精一杯生きる。
これが自分を(人のことも)助ける道に繋がるんですね。
物事はシンプルに出来ている。
もう一つは、藤原帰一(東大教授)さんの「映画愛」より。
今回は「オデッセイ」についての感想でした。
私が「お~…」と思ったのは監督についての記述。
この映画の監督はリドリー・スコット。
映像にこだわることで有名な監督さんでしたよね。
最近の作品は観ていませんが。
「ブラックレイン」や「テルマ&ルイーズ」は大好きでした。
(カッチョええのよ~)
そのリドリー・スコットも、70代の後半に入って変化したというのです。
「キャラクターよりもビジュアルに力が入っていた」監督だったのに。
この「オデッセイ」ではキャラクターを表に出していて、
しかも「おまけに明るい」のだそうです。
いつもと違うスタイル。
それが愉しい、と藤原さん。
「SF映画に生身の人間が現れるとホッとします」
「映画の画面を塗り替えてしまったリドリー・スコットが、
老齢を迎えて人の心に向かい合う映画作りを発見した」
「映画の温かさからつくり手の温かさを感じさせる作品です」
なるほど~…
キャラクターは大事だよ、うん。
漫画でもテレビドラマでも、ストーリーばかり追いかけても面白くはならないからね。
画面を派手に豪華にしても飽きられてしまう。
でも、この人面白い。
この人の気持ちがわかる~。
みたいに、キャラクターが前面に出ているドラマというのは人を惹きつけます。
例えSFでも、ホラーでも。
出ている人間が面白くない話は、どういじっても面白くならない。
「なんかピンとこない」話で終わってしまったり。
いろんな江戸物の小説はあるけど。
私が宮部みゆきさんの江戸物が好きなのは
人物が皆面白いからだなぁ。
それぞれの人物が、丁寧に描き込まれているところが魅力です。
たまに他の江戸物小説を読むこともあるけど(江戸物が好きなので、とりあえず読みたくなって)
でもだいたいガッカリしちゃう。
もっと丁寧な話がいいなぁ…と思っちゃう。
キャラがたっていないとツマラナイんだな、やっぱ。
映画評を観て興味が湧いた「オデッセイ」
DVDが出たら借りて観ようかな(^-^)
(映画館には行かないんかい!)←ヒトリ突っ込みなり(;^_^A