金曜の夜にTくんから会社に電話が来た。

普通に仕事の電話だろうと思ったが、
もう業務時間外だったし、
普通に出るのもつまらなかったので、

近くにいた小橋を呼んで、


俺のフリして電話に出てみて


と命令をした。


ええ!!誰ですか相手!!


と困惑する小橋だったが、俺の意図を察したのか、
言う事を聞いて俺のフリをして電話に出てくれた。

さすが空気が読める男だ


小橋とTくんの初めてのやりとり。

これは面白そうだ。



小橋は気を利かして、少し声を低めにして俺っぽく電話に出る。



はい、お電話代わりました、小橋です




いや、小橋って名乗ったら意味ねえだろ!!


全然俺の意図を察してねえ!!!


空気を読め!!!





まぁ、俺のフリをさせたかっただけなので、
話に詰まったくらいで電話を代わるか、と思っていると、


あろうことか小橋は


はい、お世話になります
請求書関連ですか、そうですね
え!?利益を弊社にですか?
了解です!

と、
そのまま普通に会話をしているではないか。



何なんだお前の適応能力は!

そして会話中の「利益を弊社にですか?」ってなんだ!

重要そうな話を「了解です!」で済ますな!!





そしてそのまま俺に代わる事なく


では宜しくお願いします~


と電話を切る小橋。


何ちょっと仲良くなっちゃってんの!!



すげえなこいつのポテンシャルは。
と感心をしていたが、



冷静に考えてみると、
問題はもう一人の方だ。



あいつは何の用件だったんだ!!!



まさか今の電話で用件が済んだのか!


だとすれば誰でもいいから話せればよかったのか!!




寂しがり屋か!!




そのまま電話もかかってこないので、
しかたなくこっちから電話をかけてみると

すぐにTくんが出た。

そして開口一番に



さっきの誰!!!




遅いわ!!!




そして隣にいた小橋が



だから誰なんですか今の人!




お前らすごいな!!!