(①~)
真っすぐに私の目を見つめる瞳
ひとつひとつ頷いてくれる仕草
そんなゴニルくんの姿に吸い寄せられるように
私はこれまでのことを話した。家庭の複雑な事情やそれに伴う私の想いに至るまで…。
それは決して前向きなものばかりではなかったけど。
すごいね
ゴニルくんはそう呟くと何かをかみしめるようにゆっくりと手元に視線を移す。
そして顔を上げ私の目をやさしく見つめて
「大切なことを話してくれてありがとう」
と言った。
その一連の動きはどんな饒舌なほめ言葉よりも
何より受け止めてくれたと感じさせて私はひとりじ~んときてしまった。
…ゴニルくんとの時間は楽しくてあっという間に過ぎて行く。
黒服のソンモくんが終わりの時間を告げに来た時ちょうどゴニルくんが私のほつれ髪を直してくれていて
前から抱きしめているような姿勢になっていたからかな
ソンモくんは何も聞かずに
「延長しておきます」って言って急いで部屋を出て行ってしまった。
それがなんだかおかしくて、ちょっぴり恥ずかしさもあって、
私たちは顔を見合わせて大笑いした。
「君のこともっと知りたくなった」
この日そう言ってゴニルくんは帰って行った。
それは作家としての創作欲なのか
ゴニルくん自身の男としての欲望なのか
私にはまだわからなかったけど。
「まだ知ってもらいたい」そう思った私の欲望は
キャバ嬢としてではなく正真正銘女としての欲望だったよ。
数日後
私はゴニルくんに誘われて出版社のパーティーに同伴します。
前日に贈られてきたドレスを見てちょっとびっくり…
ゴニルくんが私にと選んでくれたのは
紫色で胸元に深紅のバラの花があしらわれているタイトなドレス
君にはこうあってほしい…
そう言われている気がして普段のどちらかと言うと静かでこちらには何にも求めていないような雰囲気のゴニルくんとのギャップを感じてひとりで勝手に熱くなった。
作家としてのゴニルくんではなく
正真正銘男としての一面を見た気がしたからかもしれない
パーティーでの
スーツ姿のゴニルくんはモデルみたいで、あっという間に女性ファンに取り囲まれてしまう。
女性は苦手だ…とか言ってたけど、まんざらでもなさそうじゃん
ひとりになっちゃった私はちょっぴりおもしろくなかった。おもしろくなくてワインをがぶ飲みする。
もっといい人いるだろうに
どうして私を連れてきたんだろう
③に続く☆