｢どうぞ｣
そう言うと同時に
ゴニル君が電気を付けた…
高層ビルの最上階の部屋はゴニル君のアトリエ。
ギャラリーのように
作品が壁に掛けてあった。
よく見ると全部私の絵
ブライダルフェスタの後から描きためていたと言う。
溢れる愛情に胸がいっぱいになる。
…イーゼルに真っ白なキャンバスが立てかけられていて
葉子ちゃんの今を描かせてほしい
そう言われてモデルになります。
ゴニル君の視線が
目を
頬を
前髪を捉える…
首筋を
体の線をなでていく…
心の中まで見透かされているようなその営みに
抱きしめられているかのような錯覚に陥った。
触れられているよりも
触れられている感覚。
寝ている時にしか黙っていないイメージがあるゴニル君の沈黙は
それだけでも新鮮だった。
しゅっしゅと
木炭を滑らせる音だけが響く空間…
愛を感じる時間…
デッサンの状態で一旦壁に飾りに行く。
モノクロの私は本当に幸せそうな顔をしていた。
最高のホワイトデーをありがとう…
心を込めてそう言うと
にっこり微笑んで
｢僕の一番好きな葉子ちゃん｣
ゴニル君はハングルで書いた題名を絵の下に貼った。
この後、ゴニル君にとても大きな仕事が入る。
日本と香港の合作ドラマの主演…
公私共々充実しているゴニル君は
ある出来事をきっかけに仕事に集中できない事態に陥ります。
全力で支えてあげないと…なこの時期に
私は仕事で腰を痛めてしまう。
ゴニル君は私が椎間板ヘルニアで全治１カ月と聞いて
ドラマの顔合わせをすっぽかして病院に来るんです。
｢たおれたって聞いてじっとしているわけには行かないよぉ｣
ゴニル君は悪びれた様子もなく、当たり前じゃない!?って顔してる。
マスコミにたたかれなきゃいいけど…
私は自分の体と同じくらいゴニルのことが心配になります。
『ゴニル顔合わせすっぽかし』
という記事が出たのは
入院生活が３週間経った頃…
相変わらず私のことを何よりも優先してしまうゴニル君に
心を鬼にして
もう病院には来ないでほしい…
そう告げた。
｢香港と日本行ったり来たりするよ。こんな葉子ちゃんを放って行けない…｣
そう言って
愛おしそうに私の髪をなでているゴニル君に
そんなこと言うなんて
忍びなかったけど。
③に続く☆
ソンジェお疲れさま☆
