私は簡単に、子どもを置いて遠くへ行けるんだと思った。

苦しくて苦しくて
思考も感情も止まって

夫が長男をお風呂に入れている間に、ハイハイで部屋中を動き回る次男を置いて出てしまった。
一度廊下で、ドアを隔てたリビングにいる次男に気持ちを馳せようとしたけれどできなかった。

もう離れたい
ここに居られない

無理無理とつぶやきながら外に飛び出た。

行く当てなどなく、心が固まったままの状態で

とりあえず近くのショッピングセンターの駐車場に停めて息を整える。
右手でギュッと左手首を握りしめて、衝動を抑える。
感情は湧いてこないのに、涙だけは流れる。

苦しい
居たくなかった
夫と一緒に居られない

流せない。
反応し続けている。
夫がしかける子どもへの誤魔化しの数々。
やめて欲しいという私の言葉に対する、あからさまな傷ついたパフォーマンス。
誰にでもわかる態度と言葉で返してくる。
私には大きな鋭い刃となって返ってくる。

傷つけた

私のぐんにゃりは止まらない。
ダメージが大きくてリセットできない。
こんな日常に溢れる出来事にひとつひとつ、こんなに大きなダメージを受けていたら生きていけない。

生きていけない

食べ吐きしても、お酒をたくさん飲んでも、自分を傷つけても、楽にならない。
傷つけることに傷ついて、生きることを恐れて回避していても解決しない。

なにを学んだの?
反応し続けている自分?
夫は私になにを見せてくれているの?
私のどんなパターンが隠れているの?
私はなにに反応しているの?
夫が何度もやめて欲しいと伝えていることを繰り返すこと?
本人は要求していないのに、積極的にスマホで気をそらせようとする
本人は要求していないのに、ジュースや食べもので誤魔化そうとする
いまだに食べものを細かく細かく切り刻んで(しかも素手で)長男の食事に干渉する

やめて欲しいと伝えたら、あの、傷ついたパフォーマンス
もう崩れる。

私はなにがイヤだったの?
1.何度改めて欲しいと伝えても同じことを繰り返すこと
2.傷ついています‼︎と周囲にアピールする態度

1→やっぱり私の話を聞いてくれない
私は居てもいなくてもいい存在
2→私が傷つけてしまった
傷つけた自分を罰したい

→夫という引き金が私をどこかにがーっと引き戻す
私がどこかで確立した、息苦しい思考パターンが表出する

これを崩したい
結局私は、自分を愛せていない
自分を痛めつけるスクリプトを用意して、夫にも上手に演じてもらっているだけだ
夫は引き金

私は被害者
それを感じたかった

崩したい

私を生きる覚悟
私を幸せにする覚悟

でも、何度も立ち戻るこのパターンはどこからきているか、見つめたい。
修正したい。
この原因は追求したい。
もう苦しい。
変えたい。

20分
どの依存対象でこの気持ちと時間を埋めて紛らわせるか葛藤。
どれも選ばなかった。
なにものも私の空虚を埋めることはできない。
ものや行為じゃ埋まらない。

向き合うことだけ
自分と繋がることだけ

帰宅してもしばらくは心が凍りついていた
子どもの笑顔も温もりも、遠いところから観ている映像の世界のようだった
心配していたことを私に伝える長男
三歳と三日。
日に日に賢く洞察し、物事を吸収し覚える長男に畏れを抱く。
誤魔化せない
私はもう何事も誤魔化せない
苦しいけど、苦しいから、時間をかけてひとつひとつ向き合って、対峙するしかない
長くかかる。
37年かけての今だから。
苦しさに気づいてもがきだしてからも24年経っているから。
クリアにするには時間がかかる。
時間をかける勇気。
慌てない、焦らない勇気。
今必要なものはとどまる勇気。