さっきまで探るように俺の唇をついばんでた柔らかさは消えて、くぐもった水音があがる。
「っふ…ん…ぁ」
俺の全部を知り尽くそうとしてるみたいに、大野さんは俺 の 口 内 を 貪 っ た。大野さんの手が俺の髪の隙間に滑り込んで、くしゃ、って撫でる。その 指 が 耳 に 触 れ て、身 体 中 が 熱 くなっていく。
「んっ…はぁ…あ」
脚に力が入らなくなって、壁にもたれかかったまま膝を折り曲げて、ゆっくりと床に座ると、大野さんもしゃがみこんだ。
一瞬、唇を離して、目を合わす。
「ニノ…」
「ん…」
「ごめん、もっかい…」
大野さんは俺の方を向いてしゃがみこみ、背中を丸めた。両手で俺の頬を挟み込む。眉をぎゅっと寄せてまた俺に唇を重ねた。