Side L
電話を切った後の二宮さんが、そわそわしていることに俺は気づいていた。
俺がちょっかい出したせいで途中で切った…
途中で切っても許される相手ってことだよな…
かなり、親しい仲の人間か…
会が再び盛り上がりを見せた頃、二宮さんは「ちょっと…ゴメン」と皆に断って部屋を出た。その手に携帯が握られていたのを俺は見逃さない。
トイレに行く、と言ってこっそり後をつける。
二宮さんは部屋から少し離れた廊下の片隅で、誰かに電話していた。
俺は二宮さんから見えないよう、廊下の角に隠れるようにして聞き耳をたてる。と、同時に携帯のカメラを録画モードにしてボタンを押した。
姿は映っていないけど、声だけで充分だ。
こういうのが、後でいろいろ役立つんだよな…
「今、寝てたでしょ。もう、俺ん家いるの?早いね」
俺がすぐそばにいるのに気づかず、嬉しそうに話す二宮さんの声が聞こえてきた。
「ふふっ…声が寝起き」
自分の不在時に、家にあがらせている相手、か…
相手もくつろいで寝ている…と。
家族でなけりゃ…
つまり、そういう関係、なワケだよな…
「うん…大丈夫だって。ちょっとふざけてただけ」
…さっきの、俺のことか。
ってことは、やっぱ、さっきの電話の主と同じなワケだ。
「大野さんはメシ食った?あるやつ勝手に食ってていいよ」
大野さんって…
俺は思わず二宮さんの顔を盗み見る。
笑いながら電話している横顔は本当に嬉しそうだった。
俺の脳裏に、いつの日かの飲み会で俺の隣で寝てしまった二宮さんを連れて帰った男の顔がよぎった。
これはこれは…
面白い。
俺は思わずにやっと笑う。
俺の目的は、ニノミヤカズナリを手に入れること。
別にどんな手段だって、かまわない、と思っている。
彼ら2人が…デキている。
この事実は、俺の目的を達成するのに役立つに違いない。
「ちゅうってあなたね…もう少ししたら帰るから…待っててよ」
可愛いこと言ってるねぇ…
「ん……帰ったら…ちゅう、かな?…あー、もう、切るよ?」
カンペキに、クロ確定…
二宮さんが電話を切って部屋に戻ろうとしたから、俺は角からひょっこり顔を出した。
「あ、二宮さん、ここにいた。なかなか戻ってこないからみんな心配してますよ」
「マジで?ゴメン、ちょっと電話してた」
「仕事ですか?戻らなきゃいけなくなりました?」
俺はなに食わぬ顔で聞いた。
「いや、仕事じゃないよ。プライベート。…俺ちょっとトイレ行ってくる」
「あ、俺もです」
トイレを探して歩き出した二宮さんの後ろで俺はほくそ笑む。これで最後に残っていた、何かの仕事のために家を行き来しているという線も消えた。
彼らは確実に、デキている。
しかし、ネタとしては、まだ弱い…か。
俺は次の策に頭を巡らせ始めた。
俺の脳裏に、いつの日かの飲み会で俺の隣で寝てしまった二宮さんを連れて帰った男の顔がよぎった。
これはこれは…
面白い。
俺は思わずにやっと笑う。
俺の目的は、ニノミヤカズナリを手に入れること。
別にどんな手段だって、かまわない、と思っている。
彼ら2人が…デキている。
この事実は、俺の目的を達成するのに役立つに違いない。
「ちゅうってあなたね…もう少ししたら帰るから…待っててよ」
可愛いこと言ってるねぇ…
「ん……帰ったら…ちゅう、かな?…あー、もう、切るよ?」
カンペキに、クロ確定…
二宮さんが電話を切って部屋に戻ろうとしたから、俺は角からひょっこり顔を出した。
「あ、二宮さん、ここにいた。なかなか戻ってこないからみんな心配してますよ」
「マジで?ゴメン、ちょっと電話してた」
「仕事ですか?戻らなきゃいけなくなりました?」
俺はなに食わぬ顔で聞いた。
「いや、仕事じゃないよ。プライベート。…俺ちょっとトイレ行ってくる」
「あ、俺もです」
トイレを探して歩き出した二宮さんの後ろで俺はほくそ笑む。これで最後に残っていた、何かの仕事のために家を行き来しているという線も消えた。
彼らは確実に、デキている。
しかし、ネタとしては、まだ弱い…か。
俺は次の策に頭を巡らせ始めた。