Side O
俺達に気づいて走ってくる。俺が「開」ボタンを押そうと思ったら、ニノがそれよりも早く「閉」ボタンを押した。
「わ、ニノ」
「うわ、ニノお前、ひっでー」
エレベーターのドアが閉じて、笑いを含んだ相葉ちゃんの声が、エレベーターの外で聞こえた。
「ニノ…ひっでぇ…っわ」
俺が笑ってニノを見ると、ニノに服の胸元をぐっとつかまれて引き寄せられる。そのまま、ニノの唇が俺の唇に重ねられた。
「んっ…」
ドン…と2人の身体がエレベーターの壁にぶつかった。ニノは俺の首に手をかけて、深い口付けをした。
「んっ…に…の…」
「ごめん…余裕あるフリ…して…」
「ニノ…」
唇を離して、顔を覗き込むと、ニノはふふっと微笑んだ。吐息もかかるような距離で見つめられて、ドキドキする。
「慣れてんのは…大野さんのこと…想う自分に…ってこと…」
「ニノ…」
「相葉さんには謝っとく…ね、もっかい…」
ニノはそう言って、一瞬、階層ボタンを横目で確認すると、また唇を寄せてくる。俺は夢中で、その唇を塞いだ。
ニノも…同じ…だった?
ニノも…俺に触れたいって思っててくれた?
「…着いちゃった」
エレベーターが停止して、ニノは残念そうに呟いて、唇を離した。そのまま降りようとするから、その手首をぎゅっと掴んだ。
「あの…」
ニノは振り返って、「ん?」って顔で俺を見つめた。
「きょ…今日さ…」
自分の顔が熱くなっていくのがわかる。俺が何を言いたいのかわかったのか、ニノの頰にピンク色が射した。