次の王様は岡本くんだった。
「じゃあ、またハグにしますか。3番が6番をハグ!」
「わっ、俺だ」
ニノが驚いた声をあげた。
「え?ニノどっち?」
「6番」
げ、ハグされんのかー!
「3番は?」
「俺~!」
と、面白そうに松潤が手を挙げた。ニノは顔を片手で覆ってうつむき加減に笑う。
…松潤か…
まだ、メンバーでよかった…かな…
松潤はニノの真正面に座ると、俺の方をちらりと見て、ニヤッと笑った。
「悪いね、智さん」
「なっ…なんでおいらに謝んの…」
「Sorry, Jun…」
すかさず岡本くんが片手を口に当てて言うと、松潤は苦笑いしながら
「お前、それ使い方ちげーし、俺を巻き込むなっつってんだろ!」
と岡本くんに言うと、ニノに向き直る。
「いいですか?」
「ふふっ…いいですよ…って、うわっ」
松潤はいきなりがばっとニノを抱きしめた。ニノの後頭部と背中に松潤の腕が巻きつく。
「ちょっ…待って…」
見る間に赤く染まっていくニノの耳に、もどかしい気持ちになる。
そんなかわいいの…人前で見せんじゃねーよ…
「この場合、10秒間できなかったら嵐さんの負けですね」
山田くんが楽しそうに笑う。
「大丈夫だって、な、ニノ?」
「J…ちょっ…くるし…」
ぎゅうぎゅうと松潤がニノを抱きしめるから、ニノは真っ赤になって苦しげな声をあげた。
「あ、ごめん、ニノ…」
松潤が慌ててニノを抱きしめる腕を緩めたら、岡本くんがまた
「Sorry, Jun…」
と呟いて、松潤は吹き出した。
「だから、使い方ちげぇって言ってんじゃん、お前は~」
松潤はニノを片手に抱いたまま、脇にいた岡本くんの肩をパシッとはたいた。はたかれた岡本くんが「わ~すいません!」って逃げ出した先の、個室の襖がいきなりバンっと開いた。
「二宮くんを合法的にハグできる会はここですかー⁈ 」
このくそややこしいときに、マルきたー‼︎
「丸山だ」
「丸山くんっ」
マッチさんやJUMPくん達が嬉々とした声をあげる。
誰だよ…マル呼んだの…
「お前がニノをハグすんのは全部違法‼︎ 」
「おおちゃんひどーいっ!誕生日一緒やのに~」
座ったまま、マルに人差し指を向けてびしっと言うと、マルはすでに酔っているのか、両手をグーにして顎の下に置くぶりっこポーズでくねくねと不思議な動きをしながら答えた。俺は思わず立ち上がる。
「一緒にすんな!」
「いや…誕生日は仕方ないよ大野さん」
いつのまにか松潤の腕の中から抜け出したニノが苦笑いしながら、俺を見上げる。
「ニノ、お前の貞操があぶねぇんだぞ?」
「貞操って…あんた何言ってんの?もう…酔ってるでしょ…座って?」
ったく、全身、桃色に染まって…
酔ってんのはニノだろ?
マッチさんはゲラゲラ笑って、マルを輪の中に迎え入れると、「じゃあ、丸山きたし、もうちょっとやろっか」って言った。
はあ…
早く帰っておいらがニノをハグしたいっつーの…