はあ…
マッチさんひでぇ…
おいらだって…ニノのことハグしたいのに…
ニノがマッチさんから離れたのを確認して、ため息をつく。
「よしっ、まだいっちゃいますか?…王様だーれだっ?」
山田くんの声に促されて、みんなで割り箸を引く。
ん?
見たことない番号…
「あ、おいら、王様だあ」
俺が声をあげると、みんなこっちを見た。
「あれ?リーダー初?」
「うん」
「おーちゃん、大チャンス」
有岡くんがすかさず呟くとみんな笑った。
「大野さん、大チャンスだって…何番…の人に何やってもらう?」
ニノを見ると、彼は笑みを浮かべたまま「何番」を言うときに2回、パチリ、パチリとウィンクをした。
「え、何すっかなあ~」
みんなをぐるっと見回して、ニノに戻ると、ニノは「ホラ、王様、早く」って言いながらまた、パチパチっと2回、ウィンクを投げてよこす。
あれ…
もしかして…
「どうすっかな~」と考えるフリをしながら、首を傾げてもう一度ニノを見ると、割り箸の番号が書かれた部分をぎゅっとにぎって隠したまま、顔の近くで箸を縦に持って、また2回、ウィンクした。
んふふ…
ニノのウィンク、
やっぱ最高だな…
「えっと…王様はぁ…」
「お、王様、『は』?」
俺が口を開くと、皆が驚いたように繰り返した。
「なになに、なんですか?」
「王様は?」
みんなが前のめりで先を促す。
「王様はぁ…2番とぉ…」
そこまで言って言葉を切る。命令を言い終わるまでは誰が何番か言わないルールだから、みんな黙って俺を見つめている。
俺は、興味津々でこちらを見る輪の面々を見回した。
一呼吸おいて口を開く。
「王様は2番と…帰りますっ」
「えっ」
「は?」
「帰る…?」
「どういうこと?」
「2番って誰?」
「俺…2番だよ、王様」
ニノはにこにこして、割り箸の番号を見せるように上にかざして、もう片方の手を俺に向かって伸ばした。
俺はすっくと立ち上がって、あっけに取られる輪の面々の前を通ると、正面に座っていたニノの手をぎゅっと掴んで立ち上がらせる。
ニノのもう片方の手から『2』と書かれた箸がこぼれ落ちた。
ニノは笑いながら、俺の手をぎゅっと握り返してくる。
「…ってことで、王様は2番と帰ります」
「王様の命令なんで…ワタシもお先に失礼しますね」
ニノがマッチさんに素早く短い会釈をした。
そのままニノの手を引いて、あっけにとられたままのみんなの輪を突っ切る。
「わははっ…王様帰っちゃったよ」
「王様ー、国外逃亡してんじゃねーよ」
「大野くんっ…僕も帰りますー」
「ニノは残してってー」
「大野くん、大チャンスー!」
一部意味不明の、やいやいと飛んでくる声を背中に聞きながら、俺とニノは部屋から逃げ出した。
「俺…2番だよ、王様」
ニノはにこにこして、割り箸の番号を見せるように上にかざして、もう片方の手を俺に向かって伸ばした。
俺はすっくと立ち上がって、あっけに取られる輪の面々の前を通ると、正面に座っていたニノの手をぎゅっと掴んで立ち上がらせる。
ニノのもう片方の手から『2』と書かれた箸がこぼれ落ちた。
ニノは笑いながら、俺の手をぎゅっと握り返してくる。
「…ってことで、王様は2番と帰ります」
「王様の命令なんで…ワタシもお先に失礼しますね」
ニノがマッチさんに素早く短い会釈をした。
そのままニノの手を引いて、あっけにとられたままのみんなの輪を突っ切る。
「わははっ…王様帰っちゃったよ」
「王様ー、国外逃亡してんじゃねーよ」
「大野くんっ…僕も帰りますー」
「ニノは残してってー」
「大野くん、大チャンスー!」
一部意味不明の、やいやいと飛んでくる声を背中に聞きながら、俺とニノは部屋から逃げ出した。