Side N
大野さんの顔が近づいてきて、俺の胸の音が大きくなった。
どうしよ…
キ スされる…と思った瞬間、大野さんは俺の頰から手を離して、身を離した。大野さんはそのまま、向こうを向いて首を振りながら、「ダメだよな…」と呟いた。
よかった…
胸がバクバク言っているのに気付いて、俺は自分でも恥ずかしくなった。この手首の戒めがなかったら、身を縮めたい。
キスなんかされたら、ホントに好きになっちゃうじゃん…
大野さんは、狭い牢屋の中を、下を向いたままぐるぐると歩き回った後、いきなり俺の顔のななめ上の壁に手をついた。
「言うなら今のうちだぞ」
ふふっ…唐突なんだよな…いっつも…
って、さっき初めて会ったばかりだけど…
俺は口元が緩んでいるのに気付いて、また結びなおした。笑い声を漏らしそうになるのもぐっと堪える。
俺に口を割らせようと、口調は必死で怖くしてるみたいだけど、
俺にはわかるよ。
あんたは、やさしい。
拷 問とか、平気でできる人じゃないんだよ。
だからこそ、トーマとの関係は言えない。
トーマとの関係を言えば、俺の捕虜としての価値は跳ね上がるだろう。
この人はきっと、それ以上の情報を俺から得るように、さっきの櫻井大尉みたいな上の人に命令されて、その優しい心を痛めるかもしれない。
「言うまでやめねぇから」
大野さんは唇を尖らせて眉を寄せると、壁に片手をついたまま俺の鎖骨に手を這わせた。
「っ…」
少し肌寒いくらいの牢屋の中なのに、大野さんの長い指先は温かくて、触れられると胸の奥がどきりと揺れる。
大野さんは、鼻先が触れ合うくらいの距離まで俺に顔を寄せたまま、片手を下へずらした。
「っ、あっ…」
敏感な場所を長い指先に捕らえられて、つままれると、もう声が抑えられなかった。
「やあっ…ぁん…あっ……んぅ…ぅ」
次の瞬間、俺の声は、眉を寄せて苦しそうに目を閉じた大野さんの唇に塞がれて、聞こえなくなった。
バカ…
なんで、キスしちゃうんだよ…
あんたは、やさしい。
拷 問とか、平気でできる人じゃないんだよ。
だからこそ、トーマとの関係は言えない。
トーマとの関係を言えば、俺の捕虜としての価値は跳ね上がるだろう。
この人はきっと、それ以上の情報を俺から得るように、さっきの櫻井大尉みたいな上の人に命令されて、その優しい心を痛めるかもしれない。
「言うまでやめねぇから」
大野さんは唇を尖らせて眉を寄せると、壁に片手をついたまま俺の鎖骨に手を這わせた。
「っ…」
少し肌寒いくらいの牢屋の中なのに、大野さんの長い指先は温かくて、触れられると胸の奥がどきりと揺れる。
大野さんは、鼻先が触れ合うくらいの距離まで俺に顔を寄せたまま、片手を下へずらした。
「っ、あっ…」
敏感な場所を長い指先に捕らえられて、つままれると、もう声が抑えられなかった。
「やあっ…ぁん…あっ……んぅ…ぅ」
次の瞬間、俺の声は、眉を寄せて苦しそうに目を閉じた大野さんの唇に塞がれて、聞こえなくなった。
バカ…
なんで、キスしちゃうんだよ…