君の瞳でつかまえて 14-1 | 妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

嵐のニノちゃん、大野さんをイケナイ目で愛でる妄想小説ブログです。

残念ながら、ちょっと腐な感じです。

あくまでも妄想なので、生温かく見守ってくださいませ。








Side N







そもそも、俺がこの国に来た理由は、絵だった。



ある日、トーマと仲が良かったいとこが、不慮の事故で亡くなってしまった。


トーマの悲嘆は深く、しばらく公務ができなかったほどだ。


そんなある日、行商人がやってきて、様々な品を城の広間に並べた。




その中に、その絵はあった。




亡くなったいとこに似た男が描かれたその絵を見たとたん、トーマは涙ぐんでその絵を買った。


描かれた男がトーマの亡くなったいとこに似ているということを差し置いても、その絵は人を惹きつけるものがあった。


肖像画は大体がこっちを見て静かに微笑んでいる姿を描くパターンが多いけれど、その絵に描かれた男は、背後にいるらしい誰かに首をひねって話しかけていた。男のはじけるような、少し幼い笑顔が眩しい。幾重にも塗り重ねられた絵の具が、想いの深さを表している。



この絵を描いた人は…



この男の、この瞬間の笑顔に魅了されたんだろうな…



すごい自然で、魅力的だもん…



自然と、描いた人のことに興味が湧いた。



SATOSHI OHNO



絵の隅っこに描かれたサインを頭に刻み込む。


絵は、トーマが買って2ヶ月ほど経ったある日、城から盗まれた。


トーマの悲嘆は、いとこが亡くなったときと同じくらい深かった。


悲しみに耐えながら必死に公務に励むトーマを見て、俺は考えた。


トーマの、亡くなってしまったいとこは取り戻せないけれど、絵は取り戻せる。


俺は絵を、トーマの笑顔を、取り戻してやりたい。


俺はある日、書き置きを残して城を抜け出すと、絵がこの国にあるとの噂を頼りに、この地にやってきた。













まさか、あの絵に描かれた男が、潤王子だったとは。



そして、それを描いたのが、大野さんだったなんて…



大野さんは、あの絵を、どんな気持ちで描いたんだろう。



あんなに自然に笑みを見せる潤王子の絵…




あれは、大野さんに向けられた笑みなんだろうか…



その考えは、俺の胸をちくりと刺した。