君の瞳でつかまえて 20 | 妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

嵐のニノちゃん、大野さんをイケナイ目で愛でる妄想小説ブログです。

残念ながら、ちょっと腐な感じです。

あくまでも妄想なので、生温かく見守ってくださいませ。









Side N








ああ、トーマ、ごめん…




俺は、この人が好きだ。



優しいのに、いや、優しいから、必死で俺に口を割らせようとしてる。






それに…



ふにゃりと笑うこの人が、



時折見せる、



瞳の強い光に、俺は抗えない…




もっと、



もっと、



俺のこと、触ってほしいんだよ…



「あの絵は…大野さんが描いたの?」


俺が聞くと、大野さんは訝しげな顔をした。俺が視線を壁の絵に向けると、彼は俺の体から手を離してその絵を見やり、合点のいったように、「おお」と言った。


「潤王子の絵?おいらが画家として仕えてるときに描いたやつだ」


「俺は…あの絵を求めて、この国に来たの」


大野さんは目を丸くした。


「マジか」


大野さんは驚いた声を出しながらも、俺から身を離すと、話し始めた俺の体を気遣ってか、ユカタの襟を合わせて体を覆ってくれた。


「あの絵、一度盗まれたんだよな…描いた後、おいらの部屋に保管してたとき…だからたぶん…画家から外された…」



そうだったのか…



俺は口を開いた。


「あの絵は、トーマが気に入って城にやって来た行商人から買って…そんで、また盗まれたんだよ」


「そうなんだ…トーマ王子が…」


大野さんは驚いた表情のまま、小さく呟いた。


「だから、俺はそれを取り戻しにきたの…まさかこっちからも、盗まれた絵だっての…知らなかったから」


大野さんは宙を仰いで、考えるような表情になった。


「王子の顔を描いた絵が盗まれたから、国のエライ人達がマズイって言い出して…取り戻すためにそういう者を雇って盗み出したんだと思う」



…そうか…



王子の顔だったから…



あの絵は、他の者の元に置いておけないと判断された。



「ニノが、取り戻すように言われたの?」


大野さんは、友達に聞くような調子で、俺に尋ねた。



この人、俺を取り調べてる感覚はなくなってんのかな…



その瞳に純粋な興味を宿して見つめられて、俺はくすぐったくなった。



するりと、何でも話しちゃいそうだな…



潤王子という人も、本当はそれを分かってて、この人に俺を任せようと思ったのかもしれない。


俺は頭を振った。


「トーマが悲しんでたから、絵を取り戻そうと俺が勝手に思って、勝手に城を出ただけ。だから、うちの城の人は、俺がこの国に来てるってしらないはず」



言ったら絶対止められてたし…



大野さんは、ふふっと笑った。


「ニノは、優しくて、勇気があんだな」


大野さんは、俺の頰をそっと撫でた。



ああ、




そんな優しい指で、




触れんじゃないよ…




本当は、心細かったし、



ずっと、不安だった。




そんな、心の底に押し込めていた気持ちを




つい、




思い出しちゃうじゃん…




「それに…ニノは、賢い…全部、ひとりで決めたって言うんだね…」


大野さんは目を細めて、俺の乱れた前髪を梳くようにして整えた。


「あ…」


大野さんの瞳の光が和らいで、髪に触れる指もやっぱり優しくて、胸がどきんとはねる。


「城で捕まっちゃったのは…城の中に絵があると思ったから、調べてた?」


「…違う…」


俺の脳裏に、月の光に照らされ、夜風に吹かれながら軽やかに舞うこの人が浮かんだ。



毎晩、絵を探す合間に、見惚れてたんだ…



ひらりと、踊るあなたに。



遠目からもわかる、



あなたの澄んだ瞳に…



大野さんはまっすぐ俺を見つめて、俺の言葉の続きを待っていた。